乗らなくても応援できるJR北海道の観光列車「流氷物語号」 運転中です!

MOTレールクラブのWebサイトから。

40代から50代ぐらいまでのファミコン世代の皆様方には懐かしいゲームソフト「オホーツクに消ゆ」とタイアップした観光列車がこの冬JR北海道で走っています。

その観光列車というのは北海道の道東地区、釧網(せんもう)本線の網走から知床斜里までの約37kmを走る「流氷物語号」。オホーツク海に沿って走る絶景路線で、ちょうど今の季節は流氷が着岸して、日本で唯一列車の窓から流氷が見られる路線として有名な区間です。

網走駅で発車を待つ「流氷物語号」
網走駅で発車を待つ「流氷物語号」

車両にはオホーツクに消ゆのサボ(列車名板)やヘッドマークが。
車両にはオホーツクに消ゆのサボ(列車名板)やヘッドマークが。

筆者は今月の初旬、厳寒の地網走にこの観光列車を訪ねてみました。

筆者が乗車した日は最高のお天気で、流氷の向こうに知床連山を望む絶景を思う存分楽しむことができましたし、乗客もカメラを構えて夢中になってシャッターを切っていました。

ところが、今年はコロナ禍ということで例年なら乗り切れないほどの観光客でにぎわうはずのこのオホーツク絶景路線も乗客は10数名という状況です。

▲北浜駅に停車中の「流氷物語号」。ホームには人影がありません。
▲北浜駅に停車中の「流氷物語号」。ホームには人影がありません。

▲こちらは2017年2月の北浜駅。列車に乗り切れないほどの観光客で賑わっていました。
▲こちらは2017年2月の北浜駅。列車に乗り切れないほどの観光客で賑わっていました。

とにかく今年は東京や大阪などの大都市圏で緊急事態宣言が出されていますし、もとよりインバウンド需要はゼロですから、これだけの絶景路線でも実に厳しい状況なのです。

地元に目を向け始めたJR北海道

ではなぜ、こんなに乗客がいない時期にJR北海道がこのような観光列車を走らせているのか。それは地元の団体の皆様方がしっかりとこの観光列車を支える活動をしているからです。

JRは今まではあまり地元との関係を深めることはしてきませんでした。国鉄時代からの教訓で「地元住民は利用もしないのに要望ばかり出す。」といったイメージがあったからだと思いますが、すでに国鉄改革から30年以上が経過し、実際に地元は車社会で列車に乗る人はごく限られた人たちばかりです。

そんな環境の中で鉄道という社会インフラを運賃収入だけで賄うことは到底無理な話ですから、昨今のJR北海道の経営危機は、鉄道をどうやって維持するかという制度そのものを変えなければならない段階に来ていることは明白で、その前提となるのが、地域がこの鉄道をどう見ていて、支えるためにどんな活動をしているかということになると考えます。

前回お知らせいたしました標茶町での「SL冬の湿原号」のおもてなしもそうですが、地域の人たちが一生懸命鉄道を支える活動をしているところと、要望ばかりで自分たちからは動かないところとは当然差がつくことになる。その差というのが、こんなコロナ禍の観光客がいない時期でも、鉄道会社は例年通りに観光列車を走らせるということなのです。

その市民活動をしている網走市観光ボランティア「MOTレール倶楽部」の皆様。

代表の石黒明さん(左)にお話をお伺いしました。

「私たちはこの網走のすばらしさを世界発信することでJRの路線を何とか維持していきたいと活動を続けてきました。今年はご縁あってファミコンゲームの『オホーツクに消ゆ』とコラボ企画が実現したのですが、緊急事態宣言の第2弾で観光客はほとんどいらっしゃらない状況です。」とのこと。

この日に乗車していた方数名にお伺いしたところ、伊達、厚岸、札幌からと、皆さん北海道内の方々でした。

前回の「SL冬の湿原号」と同じように、北海道の人たちが北海道を旅しているという構図が見えました。

苦境を乗り越えるために

観光列車というのは、ある意味で数字が問われます。

こんなに乗客が少ないのでは来年以降の運行が不安になります。

そう考えた石黒さんたちが始めた面白い取り組み。それは「乗らなくても支援できる」という応援方法です。

それがこれ。

石黒さんたちMOTレール倶楽部の皆さんが車内限定で販売している『オホーツクに消ゆ』の各種グッズの通信販売です。

車内販売限定品を通販で売るためにはどうするか。

そう、乗っていただかなければなりません。

でも、コロナ禍で乗りに来ることができない。

ということで、石黒さんたちが今、取り組んでいるのが流氷物語号が走る「網走-知床斜里」の乗車券を皆様がお住まいの地域のお近くのJRの駅でご購入いただいて、その切符を現金書留で代金と一緒にお送りいただければグッズをお求めいただけるというシステムです。

切符を買っていただければ、鉄道会社にとっては乗ったのと同じことになりますから。

「今どき現金書留で通販ですか?」と筆者が尋ねると、

「そうなんです。何しろこのゲームは昭和のゲームですから。当時は現金書留だったじゃないですか。」と石黒さん。

なるほど、うまいこと考えましたね。

購入方法でも当時を再現できるというのは面白いストーリーです。

もちろん乗車券をご購入いただくことでJR北海道の売り上げになりますから、直接的応援になります。

乗らなくても応援できる観光列車。

これなら北海道の人だけでなく、九州からでも東京からでも大阪からでも、全国どこからでも応援できますね。

詳細は MOTレール倶楽部WEBサイト にてご確認ください。

時々、JRの駅の窓口で「関係ない区間の切符は売れない。」と杓子定規なことを言う駅員さんがいるようですが、コロナ禍でJR北海道どころか自分のところだって危機のはずですから、そんな杓子定規なことを言うのはその危機感を自覚していない証拠でしょう。そういう時は駅員さんと喧嘩をしないで同じように駅構内で営業している日本旅行さんなどの旅行会社の窓口でご購入ください。

乗車券発券機がある旅行会社なら全国どの区間の切符でも購入することができます。

切符を発券することで、発券箇所にもわずかながら収入が上がりますが、今の時代、そのわずかな収入がありがたいはずですから。

そうやって皆さんで業界を応援していただくことで鉄道業界が次の時代へと続くのではないかと考えます。

乗客が少ない割には車内でのグッズ販売は飛ぶように売れています。皆さん、これがお目当てのようですね。
乗客が少ない割には車内でのグッズ販売は飛ぶように売れています。皆さん、これがお目当てのようですね。

そして、さらに楽しいのはお金と一緒に現金書留で送った切符は「オホーツクに消ゆ」の記念スタンプを押印して網走からご注文の商品と一緒に送り返されてくるということ。

1~2週間かかるようですが、自分が買った切符がオホーツクまで行って戻って来るというのは、このデジタルの時代にあって実にアナログ的で、ゲームの世界の時代背景そのもののような気がします。

列車を見送る知床斜里駅の駅員さんたち。時々、楽器演奏のパフォーマンスをする駅員さんもいらっしゃるようです。そんな駅員さんに出会えたらラッキーですね。
列車を見送る知床斜里駅の駅員さんたち。時々、楽器演奏のパフォーマンスをする駅員さんもいらっしゃるようです。そんな駅員さんに出会えたらラッキーですね。

この、「流氷物語号」は2月28日までの毎日運転。

グッズのお申し込みは3月3日までとなっております。

なかなかの人気でそろそろ品切れとなっているグッズもあるようですので、ご希望の方はどうぞお早めに。

頑張っている北の国の鉄道と、それを支える地元の皆様に、ぜひ、温かいエールを送っていただければと思います。

※通信販売、商品のお問い合わせは上記のリンクからMOTレール倶楽部にお願いいたします。業務に混乱をきたすことを避けるためJR北海道へのグッズ関係のお問い合わせはお控えください。

※使用しました画像はお断りしているものを除き、筆者が撮影したものです。