新型コロナによる海外からの入国拒否や検疫強化の中身は?日本人も帰国後に空港でPCR検査を実施

到着客もほとんどいない成田空港第2ターミナルの到着ロビー(4月4日、筆者撮影)

 東京都をはじめ、7都府県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県)に緊急事態宣言が発令された中で、海外からの新型コロナウイルス感染を防ぐことを目的に、羽田空港、成田空港、関西空港などでは海外から到着する外国人に対して「入国拒否」などの措置を課すと共に、日本人を中心とした日本入国者に対し、一部の国からの便を除き原則全員がPCR検査の対象となった。

 そこで、改めて日本政府が行っている「入国拒否」「検疫強化」の状況について情報を整理したいと思う。

海外からの入国拒否は73の国・地域に

 諸外国に比べると日本の対応は遅い状況であったが、ようやく4月3日の午前0時より新たに49の国・地域が入国拒否の対象となり、全体で73の国・地域に広がった。アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、中東はほぼすべての国が対象で、そのほか中南米やアフリカの国も一部対象となっている。

 入国拒否の対象地域からの外国人の入国が不可になるが、日本国籍者、また外国人の場合でも「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格がある場合の入国も可能であるが、再入国の場合は「特別永住者」以外においては4月2日までに出国した場合に限って入国できる運用となっている。

現在、日本に入国ができるのは日本人及び長期滞在ビザなどに限られている(成田空港第1ターミナル南ウイング到着ロビー、4月4日筆者撮影、以下全て筆者撮影)
現在、日本に入国ができるのは日本人及び長期滞在ビザなどに限られている(成田空港第1ターミナル南ウイング到着ロビー、4月4日筆者撮影、以下全て筆者撮影)
到着便のほとんど欠航になっている(第1ターミナル南ウイング到着ロビー)
到着便のほとんど欠航になっている(第1ターミナル南ウイング到着ロビー)

入国拒否の対象は外国人のみ。自国民の入国制限はない

 日本を含む各国では、発行済みビザの効力を無効にし、加えてビザなし(査証免除)での入国を認めないなどの入国制限を強化し、徐々に対象国を拡大した。この数週間の傾向としては更に強化し、永住権を持たない全ての外国人において入国拒否をする国がほとんどであることから、日本人が海外へ渡航することは一部の国を除きほぼ不可能な状況になっている。

 このように入国制限や入国拒否を実施しているが、各国共通での運用としては、自国民の入国は制限されていないことだ。つまり、日本人であれば、出国日にかかわらず、日本に入国(帰国)することに制限はないのだ。

入国拒否の対象国は各空港の国際線エリアに掲示されている(羽田空港第3ターミナルにて撮影)
入国拒否の対象国は各空港の国際線エリアに掲示されている(羽田空港第3ターミナルにて撮影)

PCR検査が必須。判定までに1~2日要している

 4月3日以降、大きく変わったのが検疫の体制だ。日本路線の運航を継続している国からの便(救援便・臨時便を除く)では、メキシコとミャンマーを除いた全ての国が入国制限対象地域となっており、羽田空港・成田空港・関西空港に到着後、全員にPCR検査が実施されている。

 4月3日以降に対象人数が大幅に増えたことで、空港に飛行機が到着しても、順番が来るまで機内待機になっており、降機するまでに数時間を要することも珍しくない。検疫で質問票を提出し、その後PCR検査が行われるが、検体数の増加により、PCR検査後すぐに結果を出すことが難しく、現状、結果が出るまで1日~2日程度の時間を要している。4月に入り、検疫体制が強化されて以降は、自宅で待機が可能な場合(症状がなく、公共交通機関を利用せずに自宅へ戻れる場合)に限り、到着ロビーを出てからすぐに自宅に戻ることが可能となっている。結果はメールもしくは電話で伝えられることになっている。到着ロビーに出るまで、数時間~長い場合には8時間以上かかったケースも出ている。

 公共交通機関を利用させないことを徹底させる為に、係員が到着ロビーまで同行し、出迎えの家族や友人、レンタカー利用、もしくはハイヤーの利用(タクシーは公共交通機関に属するが、ハイヤーはOK)を確認する運用となっている。最も到着便の数が多い成田空港を運営する成田国際空港会社によると、出迎えまでに時間がかかる場合の待機場所を用意し、到着ロビーに滞留させないような運用をしているそうだ。

成田空港第1ターミナルには到着客を自宅まで送迎するハイヤーが検疫強化後に多く見られるようになった(4月10日撮影)
成田空港第1ターミナルには到着客を自宅まで送迎するハイヤーが検疫強化後に多く見られるようになった(4月10日撮影)
到着ロビーには入国に時間を要する旨が掲示されている(羽田空港第2ターミナル、国際線到着ロビーにて撮影)
到着ロビーには入国に時間を要する旨が掲示されている(羽田空港第2ターミナル、国際線到着ロビーにて撮影)

自宅が離れている場合は国が用意するホテルに一時待機

 自宅が離れている場合などにおいては、まずはPCR検査の結果が出るまでは、国が用意した空港近隣ホテルで待機となる。自衛隊が協力し、専用バスでホテルまで送迎してくれるほか、部屋で食べる食事も用意されることになる。帰国した人に配られた資料によると、1日~2日程度で陰性が確認された後、専用のバスで到着した空港まで送迎され、その後は事前申告したホテルなどに入国した次の日から起算して14日間待機したのちに、自宅に戻ることになっている。

 ホテル代については、陰性が確認するまでの待機場所としての宿泊は国の負担となるが、その後の待機期間は自己負担となる。ホテルについては、原則は到着した空港近くのホテルとなっているが、7日の夜には一部の一時待機者を成田空港から中部空港へチャーター機で移動させ、中部空港近くのホテルに宿泊させたケースもあった。

(4月10日20時追記)成田空港では、国が手配している空港周辺ホテルが満室で、到着時に預けた荷物を引き取るターンテーブル前にダンボールを組み合わせた仮設のベッドが用意され、結果が出るまで滞在するケースが発生している。

日本入国者全員をPCR検査の結果が出るまでは全員隔離すべきでは

 取材を進めていると、限られた一部の運航便には、日本に帰国したい人の搭乗者が一定数おり、空席は多く目立つが、極端なガラガラではないという声が聞かれている。海外勤務で日本への帰国が決まって日本帰任する人以上に、一旦は滞在している国にコロナ収束まで留まる決断をしたが、情勢の変化によって日本帰国へと方針転換した人の利用が多いようだ。一部では、待ち時間が長いという声も出ているが、このタイミングでの帰国において、厳しい検疫体制は当然のことあり、実際に海外渡航からの帰国者から陽性が出ていることも考えると、可能であれば自宅が近隣にある場合でも陰性が確認されるまでの1日~2日は全員、国が用意するホテルで待機させるべきだろう。

成田空港や羽田空港の国際線現状

 筆者は3月前半から緊急事態宣言が出た4月7日まで、週1~2回、羽田空港と成田空港で取材を続けているが、3月に入ってからは中国や韓国の入国制限が開始されるなど、アジア便の欠航便が相次いだことで、今までチェックインカウンターで多く見られた中国人や韓国人の姿が見られなくなり、閑散な状況ではあったが、欧米便やオーストラリア便などの運航は一部で継続していたことで、少ないながらも空港機能は果たしていた。しかし、大きく変わったのは4月に入ってからだ。3月末で運航を休止した路線も多く出たことで、羽田や成田でも1日あたりの国際線発着が10~20便程度になり、運航する便の搭乗客もわずかな状況であることから、チェックインカウンターのフロアには、人がほとんどいなかった。すれ違うのは空港勤務者ばかりであり、レストランやショップなども半分以上が臨時休業となっており、開いているお店も短縮営業になっている。

成田空港第1ターミナル南ウイング、チェックインカウンター(4月4日午前8時30分頃)
成田空港第1ターミナル南ウイング、チェックインカウンター(4月4日午前8時30分頃)
成田空港第1ターミナル北ウイング、チェックインカウンター(4月4日午前8時30分頃)
成田空港第1ターミナル北ウイング、チェックインカウンター(4月4日午前8時30分頃)
成田空港第2ターミナル、チェックインカウンター(4月4日午前9時30分頃)
成田空港第2ターミナル、チェックインカウンター(4月4日午前9時30分頃)
羽田空港第3ターミナル(旧国際線ターミナル)チェックインカウンター(4月4日午後10時頃撮影)
羽田空港第3ターミナル(旧国際線ターミナル)チェックインカウンター(4月4日午後10時頃撮影)

 現在、日本発着国際線のほとんどが運休になっているが全便ではなく、北米、ヨーロッパ、中東(カタールのみ)、オセアニア(オーストラリアのみ)、東南アジア、中国、香港、韓国、台湾などへは一部便の運航が継続している。運航している便に搭乗しているのは、日本発便は外国人、日本着便は日本人が中心となっている。

ANA、JALの国際線運航状況

 4月8日現在では、ANAは、上海、香港、台北、シドニー、バンコク、ハノイ、ホーチミンシティ、クアラルンプール、シンガポール、ジャカルタ、マニラ、ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、バンクーバー、メキシコシティ、ロンドン、フランクフルトとなっている。多くの路線では週3往復で運航されているが、週1往復や毎日運航の路線もある。

 またJALは、ソウル、香港、台北、バンコク、クアラルンプール、ジャカルタ、ハノイ、ホーチミンシティ、マニラ、ニューヨーク、ボストン、シカゴ、ダラス、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴ、シアトル、バンクーバー、ロンドンを運航しており、週2~4便程度の路線が多いが、バンコク線やロンドン線のように毎日運航もある。逆にニューヨーク、ボストン、ダラス、サンフランシスコ、サンディエゴ、シアトル線では4月16日~30日まで運休することが決定している。

 ANA、JAL共に突発的な運休や片道運航の形態もあるので、最新の運航状況は各航空会社のホームページなどで確認して欲しい。

羽田空港第3ターミナルに駐機するANA機とJAL機(4月4日、午後10時30分頃撮影)
羽田空港第3ターミナルに駐機するANA機とJAL機(4月4日、午後10時30分頃撮影)

入国しない外国人の乗り継ぎは可能

 最後に、国によって対応が異なっているのが、乗り継ぎの取り扱いについて触れる。シンガポール、香港、オーストラリアなどでは、自国に入国しない乗り継ぎも認めない方針となっていることから、外国人はこれらの国に入国しない場合でも飛行機に乗れない状況になっているのに対し、日本では乗り継ぎだけで入国しない外国人に対しては基本的に制限を設けていない。その為、乗り継ぎだけで利用する外国人の利用もあり、例えば、アジア各都市やオーストラリアなどからアメリカやヨーロッパへ行く場合などにおいて、羽田や成田で乗り継ぐというケースも出ている。

 運航を継続している便は、双方の国から自国へ戻ることをはじめ、乗り継ぎ需要、物流における一定の荷物を空輸、更に緊急時の往来の手段を残すという観点もあり、乗客がわずかであっても全便運休はせずに、一部の便に限られるが運航を継続している。これはANAやJALだけでなく、一部の海外系航空会社も同様であり、今後も継続されることになる。そうなれば、必然的に日本に入国する人が出てくることから、帰国後数日間の強制隔離も含めて検疫強化は不可欠だろう。

参考:出入国管理及び難民認定法に基づき上陸拒否を行う対象地域(外務省発表資料より)

(アジア)インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、台湾、中国全土(香港及びマカオを含む)、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア

(大洋州)オーストラリア、ニュージーランド

(北米)カナダ、米国

(中南米)エクアドル、ドミニカ国、チリ、パナマ、ブラジル、ボリビア

(欧州)アイスランド、アイルランド、アルバニア、アルメニア、アンドラ、イタリア、英国、エストニア、オーストリア、オランダ、北マケドニア、キプロス、ギリシャ、クロアチア、コソボ、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、バチカン、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、マルタ、モナコ、モルドバ、モンテネグロ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ルーマニア

(中東)イスラエル、イラン、エジプト、トルコ、バーレーン

(アフリカ)コートジボワール、コンゴ民主共和国、モーリシャス、モロッコ

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】