関西国際空港、滑走路閉鎖の中で空港利用予定の人が今後考えなければならないこと

通常運用時の関西国際空港(2018年1月、筆者撮影)

 台風21号の影響で空港閉鎖が続いている関西国際空港(以下関西空港)。運営する関西エアポートは9月5日の滑走路再開の予定がないことを明らかにしている。昨夜、空港内に滞留した人数について関西エアポートは旅客だけで約3000人と発表し、夜間は国内線ゲートエリアや空港内にある「ホテル日航関西空港」の会議場なども開放した。

 

空港滞留者の脱出ルートは神戸と泉佐野の2つ

 関西空港と対岸のりんくうタウンを結ぶ連絡橋へのタンカー衝突によって通行止めが続いているが、今朝からは神戸空港への高速船を空港会社がチャーターする形で空港滞留者を無料で利用できるようにしたほか、衝突の影響がなかった片側について緊急車両の通行が可能となったことから朝8時過ぎより関西空港から南海電鉄泉佐野駅までのバスの運行も開始され、高速船同様に空港会社のチャーターで無料で乗車可能となっている。南海電鉄も正午ごろから難波~泉佐野間の運行を再開したことから、大阪市内への移動についても高速船利用での神戸空港経由、バス利用での泉佐野経由の2ルートで関西空港に留まっていた人の脱出が本日中に解消されることになる。ただバスの乗車までにかなりの時間を要している模様だ。あくまでも空港滞留者を脱出させる措置であり、関西空港に一般の人が入ることはできない状況となっている。

 9月5日10時30分現在において、緊急車両の走行ができるようなったことで、物販などの搬入ができるようになったが、関西空港内は一部場所での停電や携帯電話が繋がりにくい状況が完全に解消されておらず、まずはこの点が解消されない限り、復旧の目処が立てられないのが現状のようだ。また、JR西日本(日根野~関西空港)や南海電鉄(泉佐野~関西空港)については、タンカー衝突の被害具合次第ではあるが当面の運休は避けられそうにない。

 飛行機については、ANA機が3機、ピーチ機が3機駐機していたが被害は出ていない。しかし、第1ターミナル、A滑走路、駐機場などが冠水したことによるコンテナや空港内を走行する車両などの被害状況の把握もこれから進められることから、滑走路が使えるようになっても運航再開までどの程度の時間を要するのか、関係者の話を総合すると現時点で見通しを出すこと自体が難しいようだ。

伊丹空港・神戸空港は通常運用に戻る。ただし国際線は飛べない

 既に伊丹空港と神戸空港においては通常の運用に戻っており、関西空港の欠航便の影響によって、ANA・JALの羽田~伊丹線、スカイマークの羽田~神戸線などは混雑をしているが、通常通りの運航に戻っている。ANAやJALについては、5日の国内線航空券については、関西空港発着便を伊丹空港や神戸空港発着便への変更や無手数料での払い戻しが可能となっており、ホームページ上での変更も可能だ。国内移動に関しては、関西国際空港を発着するLCC(格安航空会社)を除いては影響は最小限となっている。ただ、国内線LCC利用者については伊丹空港や神戸空港からLCC便がなく空港振替ができないことから、空港再開までは他の交通機関を考えるしか現状ではないだろう。しかしそれ以上に国際線における影響は大きい。

 その理由は関西3空港(関西空港、伊丹空港、神戸空港)の中で国際線が発着できるのは関西空港のみだからだ。昨日もJALのホノルルやロサンゼルスからの関西空港到着便(合計3便)のダイバート(代替空港)先も、伊丹空港の運航が再開された状況であったが、出入国の機能がないことから中部国際空港と福岡空港となった。関西空港が閉鎖された時の国際線の受け皿空港がないことが今回改めて課題となった。1994年の関西空港開港時に伊丹空港の国際線が完全廃止され、神戸空港も関西空港が至近距離にあることから国内線専用空港として2006年に開港した経緯もあり、代替便が両空港を使うことは現行ルールではできない。運用が再開された後、オペレーションが正常に戻った段階で改めて関西3空港の在り方、特に神戸空港の国際化も含めて考えるべきだろう。

他の国内各空港発着便へ振替する航空会社も

 フルサービスキャリア(大手航空会社)の国際線については、本日以降、中部国際空港、羽田空港、成田空港など他の空港から出発する予約していた同じ航空会社の便への振り替えなどの対応を行っている。基本的に海外の航空会社便では振替便出発の空港までの費用は自己負担になるケースがほとんどだが、他空港に移動して出発することが可能となっている。LCC(格安航空会社)の国際線についても、エアアジアXやスクート、香港エクスプレスなどでは既に国内他空港発着便への無料振替を開始しているが、関係者に話を聞くと、元々日本国内を発着するLCC便の予約率が高いことから、振替便が満席で予約が取れないケースもあるそうだ。

 昨年、エアアジアX(本社マレーシア)とスクート(本社シンガポール)の2社は、LCCとして初めての日本~ハワイ路線となる関西~ホノルル線を開設し、エアアジアXはクアラルンプール~関西~ホノルル、スクートはシンガポール~関西~ホノルルのルートで運航しているが、このうちスクートは明日9月6日については関西空港を経由せずにシンガポール~ホノルル間をノンストップでの直行便で運航することを明らかにした。

ピーチはホームページも繋がりにくい状況に

 関西空港を拠点とし、同空港の最大便数を運航するピーチは、本日出発の関西空港発着便全便を含む国内線・国際線合計72便を欠航しているが、システム障害も起こっており、ホームページも午前10時頃からアクセスできない状況となり、13時前にアクセスできるようになったが、昨日から断続的にアクセスできたり・できなかったりの状態が続いており、コールセンターも繋がるまでにかなりの時間を要している。

 基本的にピーチでは、自社便・同一路線への振替もしくは手数料なしでの払い戻しのみの対応となることから(他路線への振替はない)、利用者自身で別手配で航空券を予約するか旅行を延期もしくは中止するのかの対応が迫られるだろう。関西空港は国際線利用者の約7割が外国人利用者となっており、日本人以上に今回の空港閉鎖の影響を受けており、特にLCC利用者は金銭的な負担も含めた影響は必至だ。

日本政府も全力を尽くすことを表明

 日本政府も午前の菅義偉官房長官の会見の中で関西空港の運用再開に全力を尽くすとしており、早期の復旧が望まれている。今回は空港の復旧に加えて、連絡橋の復旧状況によっては影響が長期間に及ぶ可能性がある。仮に空港機能が復旧したとしても、鉄道アクセスが復旧しない限りは利用者が不便を強いられることになり、観光も含めた経済的な影響は避けられないだろう。

 先が見えない状況であるが、関西空港から海外へ出かける予定がある人は、伊丹空港から羽田空港・成田空港経由での利用もしくは中部国際空港からの利用も選択肢として考えられるが、関西空港を利用予定の人は各航空会社のホームページなどで最新情報を確認した上で、代替手段も含めて検討する必要があるだろう。