19日に2日目が指し継がれた第62期お~いお茶杯王位戦七番勝負第4局は、藤井聡太王位(19)が挑戦者の豊島将之竜王(31)に140手で勝利し、シリーズ通算3勝1敗として防衛まであと1勝とした。

 相掛かり戦法から序盤は豊島竜王のペースだったが、中盤以降は藤井王位の攻めが急所を突き、徐々にリードを広げて押し切った。

 なお、この対局は佐賀県嬉野市で開催予定だったが、大雨の影響で関西将棋会館での対局に変更された。

 嬉野市では大きな期待をもってこの対局を待っていたと聞く。

 今回は非常に残念だった。また機会を改めて嬉野市でタイトル戦が開催されることを一棋士として切に願う。

内容を上げてきた藤井王位

 王位戦七番勝負は初戦に豊島竜王が勝った後、藤井王位が3連勝している。

 第1局は豊島竜王の完勝、第2局も途中までは豊島竜王の完勝ペースだった。

 しかしその第2局で藤井王位が逆転勝利をおさめて流れが変わった。

 第3局、第4局と戦型や先後は違えど、序盤でやや押され気味の藤井王位が中盤以降に巻き返して勝つ、という展開になっている。

 完全に藤井王位のペースで進んでいるといえよう。

 藤井王位の指し手の精度は局を追う毎に上がっている。

 一方、豊島竜王は2日目に入ってからやや精彩を欠くようにみえる。

 藤井王位への意識が強すぎるのか、それとも1日目の消耗が激しいのか。

 原因は分からないが、簡単には改善できない要素であろう。

 第5局は藤井王位の先手番で迎える。一気に防衛という線が濃くなってきたようにもみえるが、まだ流れが変わる可能性も秘めている。

豊島竜王は反撃のチャンスをつかめるか

 王位戦七番勝負第5局が行われる2日前、22日(日)にも二人は大一番を戦う。

 第6期叡王戦五番勝負第4局だ。

 こちらも藤井二冠がタイトルまであと1勝に迫っている。第4局に勝てば奪取、そして史上初の10代での三冠となる。

 藤井二冠が勝った第1・3局は、藤井二冠が序盤でペースをつかんで押し切っている。

 豊島叡王が勝った第2局は、藤井二冠が優勢の終盤戦でミスを出して逆転でのものだった。

 王位戦七番勝負と違い、叡王戦五番勝負では藤井二冠が序盤でリードして豊島叡王が追い上げる構図となっている。

 同じ人が指しているにもかかわらず展開が違うのが面白い。

 要因の一つは持ち時間だろう。叡王戦(4時間)は王位戦(8時間)の約半分である。その影響は間違いなくある。

 実力に差がない同士だとちょっとしたことで展開が変わるのだろう。

 叡王戦第4局は王位戦第4局と同様に豊島叡王の先手番だ。

 王位戦第4局では相掛かりを用いた豊島叡王だが、今回はエースの角換わりを持ってくるだろう。

 作戦のローテーションという意味では、叡王戦第4局を意識して王位戦第4局では相掛かりを用いたとも読める。

 22日の対局では、まず豊島叡王の作戦面に注目したい。

「夏の十二番勝負」も大詰めに

 王位戦七番勝負と叡王戦五番勝負で合わせて十二番勝負となっている両雄の戦いは、ここまで藤井二冠が5勝2敗と大きくリードしている。

 短期間に対戦を重ねる場合、その時々の流れが結果に大きく影響する。

 そういう意味でも22日の叡王戦第4局がこの十二番勝負の山場となりそうだ。

 もし叡王戦第4局で藤井二冠が勝ってタイトル奪取を決めるとなれば、24日から行われる王位戦第5局も俄然有利になる。

 一方、豊島叡王が勝って踏ん張れば王位戦七番勝負にもいい影響が生まれる。

 そうなると十二番勝負の行方もまたわからなくなる。

 豊島叡王はこの叡王戦第4局に最も自信を持つ作戦をぶつけてくるはずだ。

 そして中終盤は死力を振り絞る戦いになるだろう。

 将棋界の最高峰の二人による、最高の将棋がみられることを期待したい。