Yahoo!ニュース

【JAZZ LIVE】ギラ・ジルカJAZZ ReSTYLE NEO JAPAN@恵比寿アクトスクエア

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、ギラ・ジルカによる歌謡曲のジャズ・アレンジ企画のステージ。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ギラ・ジルカJAZZ ReSTYLE NEO JAPAN@恵比寿アクトスクエア
ギラ・ジルカJAZZ ReSTYLE NEO JAPAN@恵比寿アクトスクエア

ギラ・ジルカは、イスラエル人の父と日本人の母をもちながらも、コテコテの神戸生まれで関西育ちのシンガーである。

米バークリー音楽大学を卒業して帰国した1990年代からタレント&歌手としての活動を開始。2002年からはゴスペル・スタイルのコーラス・グループ“voissalot choir”による活動に重心を移し、2006年からは矢幅歩と男女混声デュオ“SOLO-DUO”もスタート。2009年には“voissalot choir”でニューヨークのアポロ・シアターの出場を果たしている。

満を持してソロ活動に専念すると、2010年に「第11回神戸ジャズクイーンコンテスト」でグランプリを受賞し、初ソロアルバム『all Me』をリリースして、ジャズ・シーンに“遅咲きの大輪”がようやく花開いたことを強烈に印象づけて話題となった。

“日本語とジャズ”への挑戦を秘めたしたたかな偽名

今回の“JAZZ ReSTYLE NEO JAPAN”と題されたライヴは、ギラ・ジルカが“ギラ山ジル子”と化して、日本のヒット・チャートを賑わせた名曲たちをジャズにリ・アレンジして届けようという企画。

もしかしたら、“ジャズ歌い”としてのギラ・ジルカのステージを楽しみにしている人が、当夜もジャズ・スタンダードを中心としたプログラムだと勘違いして来場し、ガッカリしないようにという彼女らしい配慮が“ギラ山ジル子”というステージ・ネームに込められているとも考えられるのだが、もちろん彼女のステージを知っている人なら、そんなうわべだけの理由でないことは百も承知だろう。

これまでのステージでも一部のコーナーで“チラ見せ”していた日本語のリ・アレンジものを、真正面から取り組んで全面的に自分の音楽観を反映させようという“背水の陣のような決意”をこのステージ・ネームに感じたとしても不思議はない。

予定されている曲は以下のとおり。

「年下の男の子」

「異邦人」

「あなた」

「いちご白書」

「パープルタウン」

「Ride on Time」

「三年目の浮気」

「ガンダーラ」

「魅せられて」

「木綿のハンカチーフ 」

「喝采」

「勝手にしやがれ」

「さよならの向こう側」

これら“日本のスタンダード”と呼べる名曲たちを、ギラ・ジルカのアルバムでもその才能を遺憾なく発揮している竹中俊二がコンテンポラリーなセンスをたっぷりと含ませてジャズに引き寄せてくれるはずだ。

カヴァーではなくリ・アレンジ。その似ているようで大きく違うニュアンスを味わおうというのが当夜の趣向。日本語とジャズの新たな出逢いがどんなものになるのか、楽しみだ。

では、行ってきます!

●公演概要

9月18日(金) 開場18:00/開演19:30&20:50

会場:恵比寿アクトスクエア(恵比寿)

出演:ギラ山ジル子(ヴォーカル)、竹中俊二(ギター、アレンジ)、松本圭司(ピアノ)、中村健吾(ベース)、岡部洋一(パーカッション)、ゲスト:矢幅歩(ヴォーカル)

♪「SOLO-DUO」”YESTERDAY ONCE MORE” album

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

富澤えいちの最近の記事