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スマホのながら運転をいかに防ぐか?フォルクスワーゲンがながら運転の事故車から作ったiPhoneケース

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
スマホのながら運転は各国で禁止され、スマホ各社、自動車メーカーの取り組みが加速

ゴールデンウィーク、自動車で行楽に向かわれる方も多いのではないでしょうか。スマートフォンはナビや行楽地、食事処の検索、そして音楽と、クルマの中でも大活躍します。その一方で事故も多発しており、スマホのながら運転は各国でも規制が強められています。そうした中で、日々スマホを手に取るたびに、運転中のスマホ操作をやめようと思わせてくれるiPhoneケースを、フォルクスワーゲンが製作しました。

Crashed Cases

Crashed Casesは、スウェーデンで今年2月から運転中のスマホ操作が禁止されたにも関わらず、事故が減少していない問題に注目し、スマホ操作による事故で傷ついたボディの箇所をiPhoneケースにしました。売上は交通事故の被害者支援のために寄付されます。

ケースはすべてハンドメイドで製作され、すべてのケースが異なる事故車から作られているそうです。1つ599スウェーデンクローナ、日本円で約75万円です。

日本では、交通に危険を及ぼした場合、現在は3ヶ月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金でしたが、これを1年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金に引き上げる方針が明らかになりました。反則金を納めても刑事訴追を免れることができない、交通反則通告制度の対象からも除外されます。事故が起きなくても、発見された場合も現在の5万円以下の罰金から、6ヶ月以下の懲役もしくは10万円以下の罰金に厳罰化されます。

産経新聞:スマホ「ながら運転」厳罰化へ 事故なくても懲役6月以下 道交法改正案

米国の場合、州ごとに異なりますが、私の住むカリフォルニア州では「運転中スマホ」がより厳格に規定され、スマホを手に取ってスワイプやタップするだけで1回目が2200円、2回目以降は5500円の罰金となります。罰則自体は日本より軽いためか、みんな守っているかと言われると、疑問です。ちなみにスマートフォンをフロントガラスなどに固定し、指1本で操作する事は許されています。

しかしテクノロジー企業は、スマートフォンと自動車を連携させ、より安全にスマホの機能を社内で活用する取り組みを強めています。

Bloombergによると、テクノロジー企業の車載機連携では、Appleが自動車メーカー15社に連携機能CarPlayを搭載しており、GoogleのAndroid Auto、Amazonの音声アシスタントAlexaがこれに続きます。

シボレー・カマロの車載機にiPhoneを接続した様子。車内での利用に対応する限られたアプリがディスプレイに表示される(筆者撮影)
シボレー・カマロの車載機にiPhoneを接続した様子。車内での利用に対応する限られたアプリがディスプレイに表示される(筆者撮影)

例えばCarPlay対応の車載機とiPhoneを連携させると、iPhoneの電話帳や音楽、地図などのアプリを、車のハンドルに備わっている音声認識ボタンを押してSiriを介して操作できるようになります。またメッセージは読み上げられ、声で返信も可能になります。おまけの機能として、駐車してiPhoneとともに車を離れてショッピングモールなどで買い物をした後、車の停車位置までiPhoneのマップアプリで歩行ナビゲーションをする機能までついています。

またCarPlay連携をしなくても、iPhoneが加速度センサーなどで運転中であると認識すると、自動的に通知などをオフにする運転中モードに入ります。

自動車も、運転者の不注意をサポートする自動ブレーキ機能の搭載が進んでいますが、運転中のスマホ利用が根本的になくなったわけではなく、これに起因する事故は起きているのが現状です。

フォルクスワーゲンのiPhoneケースは、とても身近な金額とは言えませんが、スマホを手に取った瞬間に使用をためらうようなデザインは、ながらスマホの意識を変える上で良いアイディアではないでしょうか。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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