レビュー:watchOS 2で本領発揮となるApple Watch

Apple Watchの新色。イベントではwatchOS 2で動作していた。

Appleは日本時間9月22日未明、Apple Watch向けのOSの最新版となるwatchOS 2をリリースしました。当初は9月16日のiOS 9と同時にリリースする予定でしたが、問題の修正のために延期されていたものです。

watchOS 2によって、Apple Watchは、アプリや通信の速度、アプリの自由度、日頃の利用の中で快適さが増す新機能が盛り込まれています。

ハードウェアに変更はなし

Appleは9月9日のスペシャルイベントで、iPhone 6s・iPhone 6s Plusなどを発表しましたが、このイベントでApple Watchシリーズにも新製品を追加していました。

iPhoneとの完璧なカラーコーディネートを行うことができるApple Watch Sportにゴールドとローズゴールドの新色を追加。ステンレススチールのブラックモデルにスポーツバンドとの組み合わせ加え、エルメスとのコラボレーションモデルも10月に登場する予定です。

いずれのモデルも、内部の性能は4月に発売されたモデルとは共通の仕様となります。

新製品であるApple Watch Sportローズゴールドで、1週間、watchOS 2を試した感想を、ご紹介します。

目覚めから、その変化を体験

ナイトスタンドモードは、充電中枕元でアラームクロックとしての役割を果たしてくれる
ナイトスタンドモードは、充電中枕元でアラームクロックとしての役割を果たしてくれる

まず、watchOS 2の変化は、ベッドから目覚めるときから感じることができます。枕元でApple Watchを充電している際、「ナイトスタンドモード」を利用できます。これは、Apple Watchを充電中に横向きに置くと、専用の時計モードに切り替わる仕組みです。

時間を確認したい場合は、ボタン類を押す必要はありません。時計が振動を感知すると、自動的に点灯するからです。例えば、ベッドの上に置いておくと、寝返りを打つだけで時間が確認できます。またアラームを設定しているとき、電源ボタンを押すとアラーム切り、デジタルクラウンを押すとスヌーズになります。

新たに追加された文字盤、「写真」
新たに追加された文字盤、「写真」
新たに追加された文字盤「タイムラプス」
新たに追加された文字盤「タイムラプス」
文字盤のカスタマイズでは、色名が表示され、本体色と合わせやすくなった。
文字盤のカスタマイズでは、色名が表示され、本体色と合わせやすくなった。

次に、新たに追加された文字盤とその機能について。新たな文字盤には、写真、フォトアルバム、タイムラプスの3種類が追加されています。写真は、Apple Watchに同期している自分の好きな写真を選んで表示させる機能です。

またフォトアルバムは、やはりApple Watchに同期させたフォトアルバムの写真を、手首を上げるごとに切り替えて表示してくれます。自分で撮影した花の写真や、思い出深い旅行の風景、子どもの様々な表情など、Apple Watchと写真をより身近に楽しめる文字盤といえるでしょう。

そしてタイムラプスは、あらかじめプリセットされている世界の都市で24時間のタイムラプスを撮影してあるものですが、残念ながら日本の風景は収録されていませんでした。

時計表示の際にデジタルクラウンを回すと、タイムトラベルモードになる。
時計表示の際にデジタルクラウンを回すと、タイムトラベルモードになる。

もう1つ、文字盤関連で面白い機能がタイムトラベルです。コンプリケーションズをサポートする文字盤を選択している際、デジタルクラウンを前後に回すと、過去へ時間を戻したり、もしくは未来へと時間を進めたりすることができます。

そのときに文字盤に何が表示されるか、を表現することができる仕組みです。つまり、時計の時間と連動して変化する、コンプリケーションズの表示内容から、その先の予定などを知ることができるのです。

例えば、東京にいて、「午後5時になったらサンフランシスコは何時だろう?」と疑問に思ったとき、デジタルクラウンで時間を進めて、東京の時間を午後5時に合わせれば、サンフランシスコの夏時間が午前1時であることがわかります。同じように時間を進めたときの天気予報や気温などを表示することもでき、夕方仕事が終わった際の気温を調べて、夕食のお店を考えても良いでしょう。。

ちなみに細かいことですが、ミッキーマウスの文字盤で時計を進めてみると、短針がある方向にミッキーが向くという今まで何気なく見過ごしてきたギミックに気づくこともできました。

フィットネス機能は大幅な進化

ワークアウトアプリの情報は、3重のリングにも反映される。
ワークアウトアプリの情報は、3重のリングにも反映される。
ワークアウト結果は、終了時に自動的に保存されるようになった。
ワークアウト結果は、終了時に自動的に保存されるようになった。

最後にフィットネス機能の進化をご紹介しておきましょう。Appleでこの機能の開発を担当するディレクター、ジェイ・ブラーニック氏へのインタビューの際にも「大変楽しみなアップデート」と語っていました。

watchOS 2では、Apple Watchをつけ続ける大きな動機を作っているフィットネス機能をさらに進化させてくれます。同時に、Apple Watchの目的の1つである、人々がより動き、健康的になることを後押しするようになるでしょう。

フィットネス機能の象徴となっているのが、3重のリングです。それぞれ外側から、消費カロリーをカウントするムーブ、早歩き以上の運動を計測するエクササイズ、1時間あたり1分以上立ち上がるとカウントされるスタンドを表しています。

今回より使いやすくなったのはエクササイズ機能です。Apple Watchでは、早歩き以上の運動を自動的にカウントするが、別途用意されているワークアウトアプリで種目別の計測を行っても、リングのエクササイズの分数には記録されませんでした。そのため、リングを完成させたいため、ワークアウトアプリをあえて使わない、という習慣も生み出していました。

watchOS 2では、この点が改善されていました。例えばジョギングをワークアウトアプリを用いて25分運動すれば、3重のリングにもきちんと25分のエクササイズが加算されるようになったのです。

それだけでなく、今後リリースされるApple Watch向けのスポーツ系サードパーティーアプリでの計測も、3重のリングに加算され、何のアプリで加算したのか、iPhoneの「アクティビティ」アプリから確認することもできようになります。

人気の機能をより深く活用できる仕組みを備え、iPhoneでエクササイズアプリを楽しんできたユーザーにとって、Apple Watchを購入する大きな動機を与えることになるでしょう。

本領発揮となるアップルのウェアラブルプラットホーム

watchOS 2にアップデートが成功すると、ロック解除画面のボタンが四角くなる
watchOS 2にアップデートが成功すると、ロック解除画面のボタンが四角くなる
ミュージックアプリはApple Musicをサポートし、ラブや楽曲の追加に対応
ミュージックアプリはApple Musicをサポートし、ラブや楽曲の追加に対応

watchOS 2は、ユーザーにとっても、アプリの動作速度の向上や、日々の生活に便利な新機能、フィットネス関連機能の進化などのメリットがもたらされます。それ以上に開発者にとっては、より自由なアプリ開発の可能性が広がる点で、「やっと自分のアイディアが表現できるようになる」との感想も聞こえてきます。

watchOS 2では、Apple Watch向けに、いわゆるネイティブアプリケーションを開発することができます。これまでiPhone任せだったアプリの処理をApple Watch本体で動作させることができるため、高速に動作します。

また、マイクやモーションセンサー、心拍センサーといったハードウェアを生かしたアプリ開発が可能になります。前述のエクササイズ系アプリについても、Apple Watchのモーションセンサーで計測ができるため、iPhoneを持ち歩かなくてよくなるのです。

Siriの機能向上によって、アプリの機能を呼び出すこともできるようになり、また文字盤に小さな情報を表示させるコンプリケーションズを開発することもできるようになります。前述のタイムトラベル機能と組み合わせて、過去、現在、未来の情報を小さなアイコンで通知する仕組みは、開発者のアイディアの見せ所となるでしょう。

Apple Watchの新色とともに投入される、新OSであるwatchOS 2。デザインやファッション面、そして機能面、Appleが有するiOSをベースとしたエコシステムの面など、1つずつを採ってもスマートウォッチ市場ではより競争力が高まったというのが感想でした。

既にスマートウォッチ市場でもトップランナーであるApple Watch。目下の目標は他社との競争ではなく、どれだけのiPhoneユーザーにApple Watchを身につけてもらうかです。新しいwatchOS 2で、サードパーティーのアプリからより機能的で自由なアプリが大量にリリースされると、より多くの人々に「よいかも」と思わせる魅力を備え、着実な成長を見せることになると考えています。

1980年東京生まれ。現在、米国カリフォルニア州バークレー在住。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。テクノロジーを活用した新しい学びを研究・ビジネス化するキャスタリア株式会社取締役。

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