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映画「インタビュー」、オンラインでも今日から公開

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
セキュリティ・国際問題も巻き起こすコメディ映画、本日公開 image: IMdb

年末にして最大のサイバーセキュリティ問題、国際問題への発展と、本編の軽さに見合わない大事になっている感が強い映画「The Interview」。

公開中止から一転して、クリスマスイブに300カ所の映画館での公開に続き、オンラインでの公開も決まりました。YouTubeやXBOXなどでレンタルもしくは購入し、ストリーミングで楽しむ事がでいます。

気になる映画の内容

映画の内容として、CNNのBreaking Newsとして知るのもどうかと思うこの映画。北朝鮮のリーダー金正恩の暗殺を依頼されたジャーナリストが北朝鮮に渡るという内容。結果的に金正恩の頭を爆発させるオチ(でした)。

これでかいつまみすぎてないところがスゴイのですが、爆発オチについて親会社のソニー平井社長による指摘から、シーンの修正が行われたそうです。このことも、ハッキングされたメールで分かりました。

公開がここまで延びたのであって、いわゆる華々しい、映画会社肝いりの「クリスマス映画」、ではないはずです。もはや「ぜひ見たい」と思いますが。

サイバーセキュリティ問題から上映中止に

映画の内容とはまた別の文脈で、Sony Picturesがハッキング被害を受けていました。SonyやMicrosoft、Appleといった大企業は、つねにハッキングの標的となっている「デカイ山」というわけです。Sonyの対応不足などもあり、ソーシャルメディアアカウントの乗っ取りや情報流出が行われた事件が発生しました。

犯行は、Guardians of Peace(GOP)と名乗るグループが行ったと言われています。

その中には、未公開の映画の情報や映像、機密情報等も含まれており、公開を取りやめなければこれら機密情報を公開する、あるいは上映する映画館に「9.11を彷彿とさせるテロ行為を及ぼす」との要求が突きつけられました。

という状況ではあるのですが、ハッキングと脅迫に屈し、映画館も公開を取りやめたことから、公開しないことを決めたSony Pictures。

北朝鮮「やってない」、オバマ大統領「(上映中止は)間違いだった」

映画の内容は、北朝鮮にとって到底容認できるものではありません。また、その裏返しで、北朝鮮によってハッキングが行われたのではないか、という疑惑も浮上します。

FBIは、マルウェアがかつて北朝鮮から使われたものであること、朝鮮語でプログラムが作られていること、2013年に韓国の銀行やメディアに使われたものであること、かつて北朝鮮と結びつきのあるIPアドレスが使われたことを挙げ、北朝鮮の関与を指摘しました。

しかしこれに対して、北朝鮮は「やっていない」と答え、またセキュリティの専門化は100%の断定はできない、と指摘しています。ただ、人々が「北朝鮮の関与」を信じるには十分の内容の映画、でもあります。

映画公開を取りやめたことに対して、オバマ大統領は「間違いだった」と記者会見で語りました。テロとの戦いの文脈で言えば、「表現の自由を犠牲にしてテロに屈した」という事実が残ってしまいます。これはテロリストに対して、ハッキングによって思い通りにできるというメッセージになる。そうした危惧からの発言でした。

President Obama Press Conference - CNN

そして、12月24日、映画館とオンラインストリーミングで公開へ

こうした経緯を経て、Sony Picturesは12月24日に、300カ所の映画館での公開を決め、またYouTubeやGoogle Play、Microsoft XBOXで米国東海岸時間午後1時から、レンタルが5.99ドル、購入が14.99ドルでストリーミング配信されます。

現在は米国内からのストリーミングで、www.seetheinterview.comからアクセスできます。今晩、見てみようと思っています。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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