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近くにいる友達センサー:Facebookのモバイルアプリに「Nearby Friends」機能

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
Facebookの友人が近くにいると通知する新機能(画像:Facebook)

Facebookは、同社のモバイルアプリに、「Nearby Friends」と呼ばれるオプション機能を順次展開すると発表しました。名称から察することができる通り、近くにいる友人を見つけることができる機能です。

・Facebook Newsroom

この機能はFacebookのアプリでON/OFFを設定することができる機能で、ONにし、誰に位置情報を共有するかを設定しておくと、お互いが近くに来た際に自動的にプッシュ通知で知らせることができるようになります。

ソーシャルメディアのネットの世界でのつながりを、より現実世界でも活用しようという取り組み。Facebookがモバイルと位置情報に取り組み始めたときに、近くにいる友人と街で出会うことができるようになる、というストーリーを披露していたのが印象的でしたが、このNearby Friends機能によって、予定していないけれど友人とちょっと会って話すといった体験ができるようになりそうです。

さすがに少し慎重に構えざるを得ない

Nearby Friendsの動作イメージ。通知が届き、友人の居場所がわかる。
Nearby Friendsの動作イメージ。通知が届き、友人の居場所がわかる。

ネットのつながりがよりリアルな世界で活用できる。Facebookがモバイル化した際に出された方向性でもありました。しかしこの機能をみんながみんな、喜んでONにするかという点については、かなり懐疑的です。

これまで位置情報の通知は、お店や公園といった「場所」(POI、Point of Interest)に「チェックインする」、もしくは投稿に位置情報タグを付けるという形でFacebookの友人に共有してきました。このチェックインや場所のタグ付けの情報を見て「お、近くにいる」と気づいてメッセージを送って落ち合う、という滅多に起きない偶然性は、ちょうど良い感覚だと感じていました。

しかしこれが自動的に共有され、丁寧に通知までされるのは行き過ぎだ、と感じざるを得ません。あるいは、この機能をONにする相手を慎重にグループ分けして選ばなければ、「正直しんどい」と感じるのではないでしょうか。Facebookを長く使っていくと、このグループ分けもハッキリいって使いやすいとはいえず、このNearby Friendsも面白いけれど様子見かな、という状態になってしまいます。

このことからも、Facebookのユーザーとして重要な点は、やはり友人とのつながりであり、これをどのように活用するかという点にFacebookの革新があるのではないか、と再認識させられます。こうした管理機能が不十分だからといって、他のサービスに乗り移れるか、といわれるとそう簡単にもいきませんし、Facebookにはなんとか上手い方法を作り出して欲しい、と思っています。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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