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YouTube Capture、どう使う? - 動画版Instagramとは違う道

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
YouTube Captureでの撮影。Instagram的なフィルタ機能はない
YouTube Captureの起動画面。Googleアカウントでログインする。
YouTube Captureの起動画面。Googleアカウントでログインする。
動画を撮影したら、すぐにアップロードや共有する画面へ。トリムとBGM挿入は可能。
動画を撮影したら、すぐにアップロードや共有する画面へ。トリムとBGM挿入は可能。

Instagramは、Twitterとの間で写真表示に関わる争いや、先般のプライバシーポリシー変更でユーザーからの反発に遭うなど、いくつかの問題に直面しています。しかしInstagramは、写真を劣化させることによってモバイルで誰でもが印象的な写真を撮影できるようにし、フォト・コミュニケーションを実現しました。

写真の次は動画。面白い動画を見つけられるアプリの取り組みとしてSqurlをご紹介しましたが、Instagramのように、気軽に動画を撮影して共有するカルチャーは生まれるのでしょうか。引き続き、動画系のアプリなどについて見つけていきたいと思っています。

そんな中で、世界最大の動画エンジンであるGoogleのYouTubeが、「YouTube Capture」というアプリをリリースしています。このアプリは、動画を撮影して、手ぶれ補正を施して、色味などを自動調整することができ、BGMを乗っけてYouTubeへ共有。そしてGoogle+はもちろんのこと、TwitterやFacebookに動画を共有することができる、というアプリです。

ただ、Appleが提供しているiMovieのように、複数の動画を組み合わせて編集すると言うよりは、目の前の風景を短く「キャプチャ」して共有することに特化しているアプリです。もちろんInstagramのように動画にエフェクトをかけたり、効果音を良いタイミングで入れたりすると言った機能もない、とてもシンプルなものです。

iPhoneが写真と動画を変えつつある

アプリの初回起動時には、簡単なガイドが表示されるが、とてもシンプル。
アプリの初回起動時には、簡単なガイドが表示されるが、とてもシンプル。

iPhoneのカメラは、写真やビデオの撮影環境を大きく変えるきっかけを作ってきました。FlickrはYahoo!

に買収された写真共有サービス。写真のメタデータには撮影したカメラの機種などの情報も含まれるのですが、iPhone 4以来、Flickrにアップロードされる写真はiPhoneによるものがトップを独走しています。そしてInstagramはiPhone向けアプリとしてスタートし、現在に至ります。

またiOS 4.1でiPhoneには、HDビデオをYouTubeにアップロードする機能を搭載しました。これにより、YouTubeにiPhoneからたくさんのビデオがアップロードされるようになり、スマートフォンから高画質のビデオがウェブにアップロードされるという環境が整ったかに見えました。

しかし動画は難しい。

そもそも編集された動画が自由にYouTubeで見られるようになっていると、手ぶれMAXでカット割りも何もない、単なる流し撮りの動画は、記録として貴重な事は分かるし写真以上の情報を伝えることもできますが、「見栄え」を手軽に作り出すことはなかなか難しいのです。

YouTube CaptureとYouTubeでのビデオ編集

YouTube CaptureはInstagramのような加工なしに、生のビデオをYouTubeにアップさせようという仕掛けがポイントになっています。もちろんこれをそのまま共有しても良いのですが、共有した先の準備をYouTubeのウェブ上に準備しています。例えば複数のビデオをミックスしたり、ビデオにフィルタをかけたり、BGMを載せたりすることが可能です。

YouTubeの動画編集画面。アップロードした複数の動画をつなぐことができる。
YouTubeの動画編集画面。アップロードした複数の動画をつなぐことができる。

例えば、YouTube Captureでビデオを撮影してYouTubeに送り込んでおけば、後でYouTube上でビデオ編集する「準備」をしておくことが可能になるわけです。モバイルアプリやタブレットのブラウザから、クラウド上のビデオを編集させることもできれば、ビデオ編集のハードルは格段に下がります。

ビデオの蓄積と編集はクラウドで、という体制を整えていけば、スマートフォンではひたすらビデオを撮影することにフォーカスすれば良いということになります。始めからフィルタをかけた動画を撮影してしまっては、編集するときに困りますしね。

YouTube Captureのアプリが進化するのか、あるいはこの状態で完成形なのかわかりませんが、ビデオという重たいコンテンツを、デバイスやコンピュータの役割を明確にしながら扱うアイディアが成功するか。ぜひ皆さんも試してみて下さい。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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