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Surfaceは良い感じ - Microsoft Storeで触ってきた

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
パロ・アルトのMicrosoft Store

10月26日に発表・発売されたMicrosoftの最新OS、Windows 8。いわゆる従来のパソコン版に加えて、タブレット向けのバージョンWindows RTを搭載したデバイスSurfaceも登場しました。シリコンバレーはPalo Alto、StanfordショッピングセンターにあるMicrosoft Storeで、Surfaceに触れてきました。

普段iPadを使っている筆者個人的に、とても良い雰囲気のデバイスとOSだな、と感じました。

Microsoft Storeとは?

Microsoft Storeの店内。Windowsパソコンなどが陳列されている
Microsoft Storeの店内。Windowsパソコンなどが陳列されている

まず、Microsoft Storeというお店から。

これまでAppleはメーカー直営の小売り店、Apple Storeを展開してきました。日本にもありますが、1号店の銀座店を高級ブティックが建ち並ぶ目抜き通りにオープンさせたのは、Apple製品がプレミアム感の高いものだという印象を与えてくれます。

Apple Storeは全く新しいカテゴリのデバイス、例えばiPhoneやiPadを人々に触れてもらい、理解してもらう場として重要な役割を果たしているほか、製品のサポートを受け付ける場としても認知されています。新製品に触れたかったらApple Store、困ったことがあったらApple Store、という場所が、いつの間にか目の前をフラッと通りかかったら、取りあえず入ってみようという感覚になっている自分に気付かされます。

Microsoftも、そうした顧客との接点の場、顧客に製品を知ってもらう場としてMicrosoft Storeを用意し、WindowsやWindows Phoneに対応する製品を紹介・販売する場として用意しており、まさにWindows 8発売やSurface発売といったタイミングは、Microsoft Storeが最も輝く瞬間でもあるのです。

Surfaceと対峙する

Microsoft Store店頭のSurface。多くの人が触りにきていた。
Microsoft Store店頭のSurface。多くの人が触りにきていた。

お店を入ると目の前に置かれていたのがSurface。「今日出たんだよ!好きなだけ触ったり写真を撮っていいよ!」との店員さんのお言葉に甘えて、色々触らせてもらいました。

内蔵スタンドとキーボードカバーが一体となっているスタイル。
内蔵スタンドとキーボードカバーが一体となっているスタイル。

まず目の前にあるデバイス。横長の画面がちょうど良い角度で立っているだけ、と思いきや、手間には白いキーボード兼カバーがついていました。什器も真っ白だから気付かないほど薄いのです。本体背面に内蔵されているスタンドとキーボードで、これまでのようなノートパソコンスタイルでの活用が可能なタブレット、というのが展示されている風景そのままの印象であり、Surfaceの特徴とも言えるでしょう。

タッチのレスポンスは良い。筆者はこのWindowsの新しいUIが好み。
タッチのレスポンスは良い。筆者はこのWindowsの新しいUIが好み。

タッチのレスポンスは良好。iPadでは物理的なボタンのようなデザインやアナログの再現をインターフェイスに取り入れていたのに対して、Windows RTではすっきりとした四角形と文字で構成されたデジタルなデザイン。これもシンプルでなかなか心地よいものです。スタートメニューの中はタイル状に配置された四角形で新着メールやスケジュール、天気などを表現してくれて、デジタルを操っている感覚すらします。

薄すぎて白い机に同化しているキーボード。iPadと同じように打鍵感はない。
薄すぎて白い机に同化しているキーボード。iPadと同じように打鍵感はない。

キーボードですが、お世辞にも打ちやすいものではありませんでした。シート型のキーボードはタッチの感覚がなく、iPadのバーチャルなキーボードをタイピングしている感覚とあまり変わりません。ある程度慣れが必要でしょうが、iPadの場合画面を隠してしまうキーボードが分離されている点で、タイピング中も画面が広く使えるというメリットもあります。

そして、このキーボードはフタになっています。フタにキーボードの機能を持たせた点では、ちょっとAppleが悔しがるかも知れませんね。

手に持つとずっしり。長時間このスタイルで使うことは難しそうです。
手に持つとずっしり。長時間このスタイルで使うことは難しそうです。

Surfaceはタブレットですので、手に持って利用する事もできます。10.6インチ、厚さ9.7mmの端末の重さは676g。iPadより重く、iPad miniに比べれば倍以上の重さは、もう少し軽いタブレットが欲しかった筆者からすると、少し対象から外れてしまいます。1366x768ピクセルの16:9の画面のため、縦に構えるとかなり縦長になる印象。ただ、ウェブページを読むには良さそうですが、重たいので長時間読むには、スタンドを使った横長の画面になりそうです。

タブレットではなく、パソコンとして見れば

PowerPoint。新しいUIに対応して、すっきりと利用できそうだ。
PowerPoint。新しいUIに対応して、すっきりと利用できそうだ。

後発でOSのデザインや動作にも好感が持てるSurfaceですが、重さの面ではやはりiPadなどのライバルに比べてネガティブな印象を持ちました。しかし、タブレットとしてではなく、パソコンとしてみるとどうでしょう。これは家庭や教育向けのパソコンとしては、非常に可能性の大きな製品になると思いました。

もちろんキーボードのタイピングは結構な慣れが必要だと思います。しかし(この話は後にしますが)Windows RTのメールやSNSのメッセージなどを統合的に扱えるOSの機能や、Word、Excel、PowerPointといったおなじみのOfficeアプリケーションは無料で利用できます。

さらに、iPadでも人気のあるEvernoteやNote Anytimeなどの仕事効率化のアプリもWindows Storeからダウンロードでき、Windows、Macを含むパソコンからもスムーズに乗り換えられるでしょう。32GBのメモリで499ドルという価格に、高いモバイル性、タッチインターフェイス、カメラ、Officeアプリが備わっているとすれば、デジタル文房具としての要件は十分に満たしているのではないでしょうか。

1つだけ要望があるとすれば、カラフルなキーボード部分(Surface Touch Coverといいます)に、グリーンが用意されていない点。ぜひとも、ユニクロ並のバリエーションで色を揃えて欲しいものです。

ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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