1位プリンス、2位ドーミー、3位アパ・・・あのホテルの意外な数字!?

新たなホテルブランドの展開も進むプリンスホテル(筆者撮影)

興味深いホテル売上高ランキング

ホテル活況下、様々なブランドが実に多彩なホテルを展開している。ホテルには様々なカテゴリーがある。シティホテル、ビジネスホテルというのはよく知られているしリゾートホテルというのも馴染み深いだろう。ホテルのカテゴリーが色々あるように、ホテルを手がける企業にも特色がある。ビジネスホテルを専門に展開する会社もあれば、加えてリゾートホテルや温泉旅館も手がけるケース、高級ホテルを主体とする企業など実に多様だ。

ホテルを手がける有名企業の売上高ランキングは、業界専門誌などの媒体で定期的に発表されるが、その順位や数字は実に興味深い。単に売上高をもってホテル企業の強さを表すことが出来ないことは当然としても、業態のブームやカテゴリー勢力図などが数字を通して表れる。今回は売上高ランキングにみるホテルカテゴリーのブームなどを考察したい。

※本稿のデータは綜合ユニコム株式会社「レジャー産業資料10月号 レジャー&サービス産業総覧2020/企業売上高ランキング」より引用。売上高のデータは最新決算期の数字(1億円以下切り捨て)。

首位はプリンスホテル

1位は、「プリンスホテルズ&リゾーツ」を展開するプリンスホテルで圧巻の2021億円。グランドプリンスホテル赤坂(旧称赤坂プリンスホテル)の跡地に「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」が誕生したのは印象的なニュースだった。近年、プリンスホテルでは積極的なリニューアルや特色あるブランディング、コンセプト化を打ち出し大きな変革が進んでいる。“ザ・プリンスギャラリー” “ザ・プリンス” “グランドプリンスホテル” “プリンスホテル”の各ブランドに加え、新ブランド“プリンス スマート イン”の展開がスタートした。“次世代型宿泊特化ホテルブランド”を謳い、中長期で国内100店舗の展開を予定しているという。

2位は、各種人気ランキングで目下赤丸急上昇の宿泊特化型ホテル(ビジネスホテル)ドーミーインも手がける「ドーミーイン・共立リゾーツ」の共立メンテナンス1415億円。ドーミーイン(ドーミーイン/ドーミーインPREMIUM/ドーミーインEXPRESS/御宿 野乃/グローバルキャビンの5ブランドで構成)が圧倒的知名度を誇るが、温泉を愉しめるリゾートホテルなども多数手がけている。

先日、日本最大級客室のホテル(アパホテル&リゾート〈横浜ベイタワー〉)を横浜に開業、独自の経営手法でも注目されるアパホテル(アパホテルズ&リゾーツ)が1008億円で3位となった(本稿記載売上高の多くは2019年3月決算期であるがアパホテルの売上高は2018年11月決算期であることを付記する)。アパホテルも宿泊特化型ホテルとして圧倒的な知名度を誇るが一部リゾートホテルも展開している。

参考)日本最大級“2,311室”の「アパ」が横浜に誕生 意図的に狭くする客室? ホテル数字のマジックとは

1位から3位までザッと見てみたが、1位以外は“ビジネスホテルブランド”として知名度の高い企業だ。4位以下もビジネスホテルブランドが続く。4位はルートインジャパン(ルートインホテルズ/994億円)、5位東横イン(東横インINN/907億円)、6位ダイワロイヤル(ダイワロイネットホテルズ/880億円)と、ランキング上位から宿泊特化型ホテルのインパクトがうかがえる。

勢いある共立メンテナンス

一転、7位以降をみると、7位東急ホテルズ(東急ホテルズ&リゾーツ/831億円)、8位に近鉄・都ホテルズ(都ホテルズ&リゾーツ/585億円)、また11位には阪急阪神ホテルズ(阪急阪神第一ホテルグループ/494億円)と、シティホテル・宿泊特化型・リゾートホテルなど複合的な宿泊施設展開をする企業が名を連ねた。

ちなみに、御三家をみると帝国ホテル579億円で9位、ニューオータニ(ホテルニューオータニ)が527億円で10位となった。

10位までを対前期比でみると、共立メンテナンス(2位)の113.6%(1245億円→1415億円)が突出しており、アパホテル(3位)の108.0%(933億円→1008億円)が続く。他は概ね102%~106%程だが、特徴的なのが、前期比割れした東急ホテルズ(98.5%)、近鉄・都ホテルズ(98.6%)。前述の通りどちらも多様な形態のホテルを手がける企業。より宿泊に特化したホテルを多店舗展開する企業の売上高や伸び率の高さが特徴的だ。

ますます人気のビジネスホテル

ホテル売上高ランキングの上位をみてきたが、やはりビジネスホテル主体の企業が際立つ。確かに同じパターンの建物・客室を増やしていくスタイルや、簡略化されたサービス、リース方式(所有者から土地や建物を借りホテル会社が運営を担う)などの手法は展開にスピード感を生み、短期間での多店舗展開を可能にする。

このような宿泊に特化したホテルは、経営効率の良さからも参入が相次いでいる業態だ。一方、フルサービス型といわれるシティホテルがサービスを合理化し、ビジネスホテル化するようなケースも散見する。同じホテルでも宿泊に特化する効率の良さはビジネスとしても強いのだろう。

他方、ビジネスホテルブランドごとのスタンスも気になる。東横インをみると303施設907億円である一方で、194施設のアパホテルが1008億と施設数だけに着目すると意外な数字が見て取れる。しかしながら、1店舗あたりの客室数の差をはじめ企業としてのプライスポリシーなども鑑みなくてはならない。東横インは料金変動させないプライスポリシーで知られるが、アパホテルは繁忙日と閑散日の料金変動幅で知られる(※)。

※料金変動させる手法はレベニュー・マネジメントといわれ、需要を予測して売上高の最大化を目ざした販売の管理方法を指す。 

ホテル売上高ランキングから興味深い数字をピックアップしてみた。興味のある方であれば、ホテル内の部門別売上や利益率などもっと深くホテルを知るための数字を調べてみるのもいいかもしれない。

ホテル業界の隆盛が叫ばれて久しいが、一方で、供給過多による稼働率や平均客室単価の伸び率の鈍化も指摘されている。オリンピックを来年に控えまだまだ開業ラッシュは続く。来年、そして再来年以降のホテル売上高ランキングも大いに気になるところだ。