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MEGUMIさん(42)が夫・降谷建志(44)さんと「別居」~夫婦の「同居」と「別居」の関係

竹内豊行政書士
結婚をすると「同居」が義務付けられます。(写真:イメージマート)

タレントMEGUMI(42)さんが夫の人気バンド「Dragon Ash」のボーカル・降谷建志(44)さんと別居しているという報道がありました。

9月23日、小誌(筆者注:週刊文春)はMEGUMIを直撃。夫の不倫について問うと、冒頭のように語り、否定はしなかった(降谷の事務所にも質問状を送ったが回答はなかった)。そして、記者がさらに夫の不倫に端を発する「騒動」について、質問すると、MEGUMIはしばらく考え込んだ後、「ウソをつくのは嫌なので……」と前置きし、「たしかに今夫とは離れて暮らしています」と淡々と話し始めたのだった――。

引用:《衝撃不倫》「もうすぐ離婚する」MEGUMI(42)夫“Dragon Ash”降谷建志(44)が30代“ヤンキー風”匂わせファンと“ドロ沼不倫”「MEGUMIだけ関係を知らなかった…」

そこで、今回は、夫婦の「同居」と「別居」の関係について考えてみたいと思います。

結婚をすると「同居」が義務になる

結婚をすると、法律上、いくつか義務が生じます。その中でも、たとえば民法752条は次のように義務を規定しています。

民法752条(同居、協力及び扶助の義務)

夫婦は同居し、お互いに協力し扶助しなければならない。

このように、結婚をすると、夫婦相互に同居義務が課せられます。

同居義務は、結婚の成立、つまり役所に婚姻届を届出た時から発生し、結婚の解消まで存続します。この同居とは、「夫婦としての同居」であって、単なる場所的な意味ではありません。同じ屋根の下でも、たとえば障壁を設けて生活を別にするのは民法が意味する同居ではありません。

「原則」としての同居

しかし、夫婦の具体的事情は千差万別です。夫婦の事情や考え方によって、お互い話し合って合意した上で、「別居」を選択しても構いません。

つまり、民法752条は、夫婦はその性格上同居することを原則とする。しかし、同居するかどうかは、夫婦間の協議で決めることができる。ただし、「お互いに同居する」と合意した場合は、「正当な理由」がない限り互いに同居義務を負うと考えるべきでしょう。正当な理由とは、たとえば転勤等の職業上の理由、病気による入院等による一時的な別居が挙げられます。

「別居」が「離婚」の理由になることも

正当な理由なくして同居を拒否した場合、他方は相手に対して家庭裁判所に同居を命ずる審判を求めることができます。

しかし、いくら裁判所から同居の命令を下されても、実際のところ同居という作為義務は直接強制にも間接強制にもなじまないため、これを強制する手立ては実際のところありません。このような場合は、同居義務違反として離婚原因(民法770条1項2号「配偶者からの悪意の遺棄」)となり、離婚慰謝料の理由となる可能性があります。

民法770条(裁判上の離婚)

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

同居を拒否できるケース

婚姻生活が破綻したり離婚訴訟が継続中で夫婦の信頼関係が奪われたりして、円満な夫婦生活が期待できないような場合には、一方の同居請求に対して同居を拒むことができます。

結局のところ、結婚という制度を考えれば、原則として「同居」は義務付けられる。しかし、夫婦が「自分たちにとって別居が現時点ではよい選択」であるとの合意の下であれば「別居」もあり。ただし、何らかの事情で一方の同居請求に対して同居を拒むことができるということでしょう。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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