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広末さんは不倫疑惑を断固否定~不倫とは、不倫の「アウト」「セーフ」の境界線

竹内豊行政書士
広末さんは”不倫疑惑”を否定しています。そもそも不倫とは何でしょう。(写真:アフロ)

広末涼子さんの“不倫疑惑”が話題になっています。当のご本人はこの疑惑を否定しています。

8日発売の「週刊文春」によると、広末は6月3日午後9時半ごろ、自宅からタクシーで都心の高級ホテルに向かい、チェックインしたという。不倫相手とされるシェフの鳥羽周作氏は、広末と時間を空けてチェックインしたという。  広末はそれから5時間ほどたった4日午前3時過ぎ、チェックアウト。鳥羽氏は同9時半ごろ、関係者らしき男性とともにチェックアウトしたという。  ただ当の広末は文春の直撃取材に「絶対にありません!」と断固否定した。関係者によれば、広末は周囲にも同様に否定したという。その根拠が〝顔出し2ショット〟だ。(引用:広末涼子 有名シェフとのW不倫を頑なに否定する「根拠」

そこで、不倫、すなわち「不貞行為」とはそもそも何であるのかを判例も交えて考えてみたいと思います。

不貞行為は離婚原因になる

民法770条1項1号は、「配偶者に不貞な行為があったとき」を離婚原因として規定しています。

民法770条(裁判上の離婚)

1 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。

二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。

三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

これは、婚姻の効果として夫婦間に貞操義務があることを前提として、その義務違反としての不貞行為を離婚原因とする趣旨です。

「不貞行為」とは

では、何をもってして不貞行為にあたるのでしょうか。

不貞行為という概念をどのように理解するかは、多分に社会的倫理観によって左右される面があり、必ずしも確定したものではありません。

「判例」では

判例は、不貞行為とは、「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいう」とし、被告配偶者の自由意思にもとづく姦通(配偶者以外の異性との性交)に限定しています(最高裁判決昭和48年11月15日)。現在では、通説も判例と同様の立場に立っています。

「1回」だけなら許されるか

もっとも、不貞行為を姦通に限定するとしても、その回数や期間は問いません。したがって、ごく短期間の一時的な関係であっても、不貞行為となります。

不貞行為の立証方法

たとえば、夫が不貞行為をしたとします。しかし、夫は認めず、妻が原告、夫を被告として裁判で争う場合、妻が夫の不貞行為の現場を押さえることは稀でしょうから、原告において不貞行為を立証することはふつう容易ではありません。

実際のところ、原告としては、間接証拠を積み重ねるしかなく不貞を推測させる手紙やメール、ホテルや食事などにかかわる領収書やクレジットカードの明細などを証拠として提示することになります。

不貞行為を認めた裁判例

不貞行為を認めた裁判例をご紹介しましょう。

朝帰りが続き職場でもかなりの噂

夫が特定の女性と連れ立って頻繁に外出し、帰宅が遅くなることも稀ではなく、翌朝まで帰宅しなかった日もあったこと、二人の関係は友人の間でもかなり噂になっていたことなどの事実を認定し、「単なる友人の域を越えて性的関係ありと推認すべき」として不貞行為に該当するとした事例があります。

鍵をかけて二人きり、明確に不倫関係を否定しない

妻がアパートの一室に鍵をかけて特定の男性と二人きりでおり、ドアをノックしてもすみやかに開けなかったことや、示談の席で不倫関係を明確に否定せず、示談金の提案に対しても「考えてみる」といった態度であったことを総合して、妻について「通常の交際の範囲を超えた深い男女関係にあったと推認」して不貞行為を認めた事例があります。

なお、不貞行為は、まず被告配偶者にさえ自由意思が認められれば足ります。したがって、被告配偶者が強姦をしたという場合も、当然、不貞行為にあたります。

不倫、すなわち不貞行為は離婚原因になるなど当事者とその家族にとってその影響は大きなものです。たとえ疑惑であっても倫理と結びつきやすいため、社会的影響も少なくありません。疑われるような行為は慎んだ方が無難なようです。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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