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バッドボーイズ佐田さんが子どもを「認知」~認知とは?認知をするとどうなるの?

竹内豊行政書士
バッドボーイズの佐田さんが不倫報道を受けて、子どもを「認知」したと語りました。(写真:イメージマート)

お笑いコンビ・バッドボーイズの佐田正樹さんが5月1日、自身のYouTubeチャンネルで5月1日に『文春オンライン』で報じられた隠し子報道について次のように話しました。

「この動画は、文春さんの記事を受けて配信しております。記事の内容は私の不倫です」と切り出すと「記事にある通り、私にはお付き合いしている女性がいました。そして、その方との間に認知している子どもがいます」と明かした。続けて「既婚者でありながら、許される行為ではないということは重々承知しております。このことで、妻や妻の家族を大変深く傷つけてしまい、誠心誠意、謝罪させていただきました」と告白。「ですが、私が妻に与えた傷は、計り知れず、決して謝って許されるものではありません」と思いを語った。引用:隠し子報道のバッドボーイズ佐田が謝罪「尊い命を一生かけて守っていく義務がある」 妻に与えた傷「計り知れない」

このように、佐田さんは不倫を認め妻以外の間に生まれた子どもを「認知」したと語っています。そこで、今回は認知とはどういうことなのか考えていたいと思います。

認知とは

法的に結婚した男女間に生まれた子どもは、夫の子どもと推定されます(民法772条1項)。「法的に結婚した」とは、婚姻届を役所に届出したことで認められます。

民法772条(嫡出の推定)

妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。

2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

法律婚をしている男女の間に生まれた子どもを「嫡出子」(ちゃくしゅつし)といいます。

つまり、法律婚をしていない男女間で生まれた子ども(「非嫡出子」といいます)その男性の子どもとは法律上認められないのです。そこで、非嫡出子を事実上の親である男性が認知をすることで法律上の父子関係を生じさせる制度が認知なのです(民法779条)。そして、認知をすることで、子どもが生まれたときにさかのぼって法律上の親子関係が生じます(同784条)。

民法779条(認知)

嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

民法784条(認知の効力)

認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。

認知をする方法

認知は、戸籍法の定める届出によって行います。(民法781条)。父子関係の証明も不要で、単なる役所への届出によって認知の法的効力が発生します。

なお、生前に諸事情で認知できない場合、遺言によってもすることができます。ただし、そうすると、死後に隠し子がいたこが親族に知れるので相当衝撃を与えることになります。

民法781条(認知の方式)

認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによってする。

2 認知は、遺言によっても、することができる。

認知の効果

認知により、相続権や扶養義務など法律上の親子としての権利義務が発生します。 婚外子(法的な結婚をしていない男女間に生まれた子ども)は母が親権者で、母の氏(苗字)を名乗りますが、父が認知した後では、親権者を父に変更したり、父の苗字に変更したりすることができます。

母の認知はない

判例で、母は出産したという事実によって親子関係が当然発生するとされています。したがって、母親が子どもを認知するということは実際ありません。

色々な事情はあると思いますが、子どもの利益になるように、認知制度が活用されることが大切だと思います。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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