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ガーシー容疑者がパスポートを紛失!?~パスポートを失くしたらこうする

竹内豊行政書士
パスポートを失くしてしまったらどうしたらよいのでしょうか(提供:アフロ)

ガーシー容疑者がパスポートを紛失したことが話題になっています。海外でパスポートを紛失してしまうとかなり困ったことになりそうです。そこで今回はパスポートを紛失してしまった場合の対処法についてお話しします。

パスポートとは

パスポートとはどういうものなのでしょうか。パスポート(正式には「旅券」といいます)は、旅券法に基づき発行されます。パスポートは、国の用務のため外国に渡航する者及びその家族などに発給される「公用旅券」と公用旅券以外の「一般旅券」の2種類あります。一般に言う「パスポート」は一般旅券のことを言います。

世界のほとんどの国が、外国人の入国・滞在を許可する条件の一つとして、パスポートの携帯及び呈示を求めています(日本は、入管法で日本に入国・上陸するための条件の一つとして「有効なパスポートを所持していること」を挙げています)。また、通常、自国民の出国・帰国の際にもパスポートの携帯及び呈示を義務付けています。

加えて、パスポートは、外国滞在中に事件に巻き込まれた場合など、必要に応じていつでもどこでも呈示を求められます。このように、パスポートは海外において自身が何者か、国籍や名前、年齢などを具体的に国が証明してくれる、唯一の身分証明書と言えます。

パスポートを紛失してしまったら

このようにパスポートは重要な書類です。では、万一紛失した場合はどのように対応したらよいのでしょうか。

日本で紛失してしまったら

日本国内で紛失した場合は都道府県知事を経由して外務大臣に対し紛失した旨を届け出なければなりません(「紛失一般旅券等届出書」の届出)。パスポートが必要な場合は同時にパスポートの申請を行うことができます。

海外で紛失してしまったら

一方、海外でパスポートを紛失してしまうと日本に帰国することができなくなってしまいます。海外でパスポートを紛失または焼失した場合は、領事官に対し、その旨を届け出なければなりません(旅券法17条1項)。

届出は、パスポートの名義人が病気等の真にやむを得ない理由により自ら届け出ることが困難であると認められるときを除き、本人が行わなければなりません。

届出をするとパスポートは失効します(同法18条1項7号)。したがいまして、一度失効したパスポートは、その後見つかったとしても使用することはできません

「帰国のための渡航書発行」または「パスポートの再発行」の手続きをする

パスポートを失効させると、日本に帰国することもできなくなります。帰国するためには、「帰国のための渡航書の発行」(同法19条の3)か「パスポートの再発行」のどちらかの申請を領事官に対して行います。

パスポートの再発行には日数がかかるので、海外旅行で紛失してしまった場合は、短期間で発行される「帰国のための渡航書」の申請を通常は選択します。

このように海外でパスポートを紛失してしまうと日本に帰国することができなくなってしまいます。そればかりか悪用されてしまう可能があります。国外ではパスポートの管理は特に厳重にしましょう。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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