Yahoo!ニュース

一年の計は元旦にあり~定年後に実績を活かせる狙い目の「資格」はこれだ!

竹内豊行政書士
自分の「実績」や「知識」を独立して仕事にするために便利な資格をご紹介します。(提供:イメージマート)

山田太郎さん(仮名・57歳)は、3年後の定年を機に会社を退職する予定です。定年後にも嘱託で会社に残ることは可能ですが、給与は大幅カットされてしまいます。なにより、自分の部下が上司になるのでお互いやりにくくなるのが目に見えているのが大きな理由です。また、今まで法務関係に関わってきたので、この実績を活かして、雇われではなく「独立」して仕事をしてみたいという気持ちが強いのも理由のひとつです。しかし、いくら会社で法務関係の仕事をしていたといってもそれだけでは独立するのは厳しいので実績を「補強」する証しが必要だと考えました。そこで、「一年の計は元旦にあり」ということで「資格にチャレンジしよう!」とインターネットで探してみました。すると弁護士、司法書士、社会保険労務士、税理士など聞いたことがある資格が目に付きました。その中に「行政書士」という資格がありました。「法律系の国家資格はわかるのだけど実際にどんなしかくかわからないな・・・」と思いスルーしましたが、なんとなく気になります。

実は、行政書士は仕事などで培った「実績」や習得した「知識」を活かして独立して仕事をするのに使い勝手がよい資格なのです。そこで、「聞いたことがあるけど何者かよくわからない」という声をよく聞く「行政書士」についてご紹介したいと思います。

行政書士の「本質」とは

行政書士の本質は、ズバリ「分野不特定の法律系国家資格」です。他の法律系国家資格が分野を特定しているのに対して、行政書士は行政書士制度成立の背景から分野不特定となりました(説明すると数時間を要してしまうので割愛します)。このように、行政書士の本質は「分野不特定」と「法律系国家資格」という二つの構成要素によって成立しています。

「分野不特定」を活用する

行政書士の本質の要素である「分野不特定」から、官公署の手続に関する書類に関する相談・作成・提出代理のほとんどをカバーできてしまいます。また、権利義務・事実証明の書類に関する相談・作成のほとんどもカバーできます。

このような、「広範な業務範囲」が行政書士には許与されているので、自分が培ってきた「実績」や習得した「知識」を行政書士業務として成立できる可能性が高いのです。

「法律系国家資格」を活用する

行政書士のもうひとつの本質である「法律系国家資格」には「信用」が付与されています。国家資格ですから、法律の規制の下で活動しています。法律の規制を破れば「罰則」が課せられます。例えば、依頼者の秘密をガージーのように暴露してしまうと「守秘義務違反」として「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処せられます。

また、行政書士は毎年約5万人が受験し5千人が合格する試験です。合格率10%ですので、他の法律系国家資格と比べると難易度は高くないですが、100人受けて90人落ちる試験です。決して簡単ではありません。そのため、一定レベルの能力的担保も保証されています。

このように、行政書士法の法規制の下での活動と行政書士試験の難易度によって、ビジネスで重要な「信用」を得るための武器となるのです。

行政書士の活用事例

実際に「実績」や「知識」を行政書士を活用して独立して仕事をしている事例をご紹介しましょう。

ケース1.南米ペルーとの貿易実績を活用したペルーとの貿易コンサルティング

ケース2.自動車の豊富な知識を活用して自動車関連の手続きと自動車購入等のアドバイザー

ケース3.市役所での環境関連での経験を活かして産業廃棄物を中心としたゴミ処理関連のコンサルティング

ケース4.ジェンダーに関する豊富な知識を活かして家族法務に特化した業務

ケース5.日本に在留している外国人をサポートするボランティア活動の経験を基に、入管関連の業務

ご紹介した事例は本の一部です。今まで培った実績や習得した知識を活かせば、行政書士を活用して独立して仕事ができる可能性が高くすることができます。この正月休みを機に、ご自身の実績や知識をたな卸ししてみてはいかがでしょうか。ご自分が考えている以上にあるはずです。

行政書士は、きちんと戦略を立ててやるべきことをやれば合格できる資格です。試験は毎年11月に行われています。今から知識ゼロでも合格は狙えます。「実績を仕事にしたい」「知識を仕事にしたい」とお考えの方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

竹内豊の最近の記事