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「有吉弘行」さん&「夏目三久」さんの「婚姻届」はだれが届け出たのか~代理人?本人?それとも・・・

竹内豊行政書士
有吉弘行さんと夏目三久さんがご結婚しました。「婚姻届」はだれが提出したのでしょう(写真:アフロ)

有吉弘行さんと夏目三久さんが4月1日のエイプリルフールに都内の役所に婚姻届を届け出たと報道されました。

さて、お二人のような超有名人がいきなり区役所に現れて、しかも婚姻届を届け出たとなれば、役所はパニック状態になること必至です。

そこで、どのようにして婚姻届が出されたのか、推理したいと思います。

本人でなくても届出ができる

まず、婚姻届について見てみましょう。婚姻届は、その届出を行ったときから、法的な効力が発生します(このような届出を「創設的届出」といいます)。そのため、当事者の婚姻の意思を確認するためにも、本来、本人が出頭すべきものと考えられます。しかし、婚姻届の提出は、代理人が窓口に出頭することが認められています。その他、次のような方法も可能です。

口頭による届出

口頭による届出も可能です。この場合、届出人本人が市役所・町村役場の窓口に出頭し、届出書に記載すべき事項を陳述しなければなりません(戸籍法37条1項)。

ただし、代理人による口頭での届出はできません(戸籍法37条3項)。

郵送による届出

郵送または信書便によって発送することもできます。なお、特例として、本人の死亡後であっても受理しなければならないと定められています(戸籍法47条1項)。

その場合、死亡時に受理があったものとみなされます(戸籍法47条2項)。これは、戦時中の出征軍人のための特別法に由来するものです。

代署による届出

届出の場合、署名を代署に代えることができるとされています(戸籍法施行規則62条)

土日・祝祭日や時間外でも受付可

土日・祝祭日や時間外で役所が閉庁してても届出は可能です。その場合、役所の宿直室等で預かった日が婚姻日となります。なお、記載される婚姻日を指定し、前もって受付けることはできません。

なお、受付日と受理日が異なった場合、実務からは、受理により受付日にさかのぼって成立し、効力も発生するという見解が示されています。そのため、記載される婚姻日を指定したい場合は、必ず希望する日に役所に届出をする必要があります。

だれが届け出たのか~3つの説

では、結局のところ、有吉弘行さん&夏目三久さんの「婚姻届」はだれが届け出たのでしょうか。三つの説が考えられると思います。

1.代理人説

事務所の方などが代理人として役所に出頭して届け出たとする説です。お二人ほどの著名人が自ら役所に出向くとは考えにくいので有力説といえます。

2.本人説

役所が閉庁している時間に届ければ、本人が届け出ても騒ぎにはならないかもしれません。4月1日23時59分59秒までに役所の宿直室に受理してもらえば4月1日の「エイプリルフール婚」は成立します。この場合、受理日が4月1日、受付日が4月2日となります。

3.郵送説

前述のとおり、婚姻届は郵送でも提出できます。しかし、婚姻届を郵送で提出できることを知っている方はほとんどいないと思うので、さすがにこの説の可能性は低いでしょう。

以上、有吉弘行さん&夏目三久さんの「婚姻届」はだれが届け出たのかを考えてみました。結局のところ、お二人の結婚に対する意思が合意していれば届出の形式は問題ないということです。そして、お二人の意思は公表された直筆のメッセージからも明らかです。

反対に、届出の形式が法的要件を満たしていても、そこに婚姻意思が存在していなければ婚姻届は無効となります。

有吉弘行さん&夏目三久さんの末永いお幸せを心よりお祈り申し上げます。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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