「婚姻届」のルール~「駆け込み婚」「令和婚」にイベントの自治体も

結婚成立には「婚姻届」の届出が必要です。5月1日には「令和婚」が続出しそうです。(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

人生の一大イベントである結婚。法的に結婚を成立させるには婚姻届を届出なければなりません。今回は、この「婚姻届」について見てみましょう。

5月1日の新元号初日には、「令和婚」届にイベントを計画している自治体もあるようです。

どうすれば成立する~届出なければ結婚なし

結婚するには、戸籍法で定める婚姻届を役所に提出しなければなりません(民法739条1項)。このように、民法は「届出なければ結婚なし」という届出婚主義を採用しています。

したがって、婚姻の届出がなければ、いくら事実上の夫婦生活が続いていても、法的な婚姻にはなりません。

届出は、当事者双方および成年の証人2人以上から、口頭または署名した書面でしなければなりません(民法739条2項)。

民法739条(婚姻の届出)

1.婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。

2.前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

どこに出す~「所在地」で届出できる

国内と外国にいる場合で届出先が異なります。

国内にいる場合

届出人の本籍地または所在地の市役所、区役所または町村役場に届出ます(戸籍法25条1項)。

「所在地」で届出することができるので、住所や本籍がない結婚式を挙げたところや新婚旅行先などの市役所、区役所または町村役場でも届出することができます。

外国にいる場合

外国にいる日本人同士で結婚しようとする場合は、その国に駐在する日本の大使館、公使または領事に口頭または書面による届出をします。この場合には、大使、公使、領事が届出の受付け、審査、受理をすることになります(民法741条、戸籍法25条2項)。これを外交婚、領事婚といいます。

戸籍法25条

1.届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。

2.外国人に関する届出は、届出人の所在地でこれをしなければならない。

民法741条(外国に在る日本人間の婚姻の方式)

外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合においては、前二条の規定を準用する。

何を用意する~「本人確認」が求められる

役所の戸籍担当者には、形式的審査権、つまり書面の記載漏れや外形上の要件が整っているかどうかをチェックする権限はあります。しかし、実質的な審査権限はありません。また、一定の場合、婚姻届の代書が認められています(戸籍法施行規則62条)。

戸籍法施行規則62条

1.届出人、申請人その他の者が、署名し、印をおすべき場合に、印を有しないときは、署名するだけで足りる。署名することができないときは、氏名を代書させ、印をおすだけで足りる。署名することができず、且つ、印を有しないときは、氏名を代書させ、ぼ印するだけで足りる。

2.前項の場合には、書面にその事由を記載しなければならない。

そのため、戸籍実務ではタイプやゴム印など自署でないことが明らかなときは受理を拒否できますが、そうでなく受理されると結婚は有効に成立するとされてきました。

その結果、他人が勝手に婚姻届を提出したり、仮想の届出を阻止することができませんでした。

そこで、2007(平成19)年に戸籍法を一部改正して、婚姻届がされた場合に、本人の身元を確認するとともに、確認できなかった場合には本人に婚姻の届出がされたことを通知することになりました(戸籍法27条の2第1項・2項)。

戸籍法27条の二

1.市町村長は、届出によつて効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下この条において「縁組等の届出」という。)が市役所又は町村役場に出頭した者によつてされる場合には、当該出頭した者に対し、法務省令で定めるところにより、当該出頭した者が届出事件の本人であるかどうかの確認をするため、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。

2.市町村長は、縁組等の届出があつた場合において、届出事件の本人のうちに、前項の規定による措置によつては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等の届出を受理した後遅滞なく、その者に対し、法務省令で定める方法により、当該縁組等の届出を受理したことを通知しなければならない。

これにより、婚姻届を役所に届出る際には、次のものを持参します。

・婚姻届(届出用紙は全国共通)

・届出人(夫・妻)の戸籍全部事項証明書(謄本)各1通(市内に本籍がない場合)

・届出人(夫・妻)の印鑑(婚姻前の印鑑)

・写真付きの本人確認書類(運転免許証、パスポート、写真付きの住民基本台帳カードなど)

本人確認書類が国民健康保険証など写真付きでない場合等には、さらに別の本人確認書類の提示やご質問を受ける場合もあります。

駆け込み婚・令和婚

平成生まれの人の中には、「(令和への)改元前に婚姻届を出したい!」といった「駆け込み婚」をお考えの方もいるようです。また、新元号の「令和」の初日である5月1日(しかも、その日は大安)に婚姻届を出す「令和婚」を計画している方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

婚姻日は届出をした日

記載される婚姻日を指定し、前もって受付けることはできません。戸籍等の婚姻日の記載については、届出した日が婚姻日として記載されます。

そのため、記載される婚姻日を指定したい場合は、必ずご希望の日に役所に届出をする必要があります。

なお、土日や4月27日から始まるゴールデンウイークなどの役所の開庁時間外に届出た場合は、役所の宿直室等で預かった日が婚姻日となります。

5月1日限定で特別な演出を予定している自治体

新元号の「令和」の初日である5月1日にイベントを催す自治体もあります。いくつかご紹介します。

東京都墨田区

結婚するカップルを対象に、区のPR活動に協力する子どもたちが記者会見スタイルで祝福するイベントを開く。

東京都練馬区

区役所の喫茶コーナーを臨時窓口とし、結婚祝いのメッセージカードを贈る。

東京都世田谷区

特製の結婚届受理証明書を用意し、改元と結婚をダブルで祝う。

特別な撮影スポットを設置する

千代田区、新宿区、杉並区、練馬区、八王子市、三鷹市、町田市、日野市、狛江市、武蔵村山市、あきる野市、西東京市、前橋市

記念品を贈呈する

世田谷区、板橋区、練馬区

※以上東京新聞2019年4月14日朝刊から引用および参考としました。

いかがでしょうか。婚姻届にも意外と多くのルールがあることがお分かりいただけたと思います。婚姻届は二人の新たな人生のスタートの証しです。長い結婚生活の間には山あり谷ありいろいろあると思います。そんなときは、婚姻届を出したその日を思い出すといいかもしれませんね。末永くお幸せに!