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相続がガラッと変わる!2019 vol.1~改正相続法の施行期日決まる

竹内豊行政書士
来年2019年に、「相続の姿」がガラッと変わります。(写真:アフロ)

今年2018年7月6日、改正相続法(「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」)が成立し、同月13日に公布(注1)されました。

(注1)法律の公布とは、成立した法律を国民に周知させる目的で、当該法律を公示する行為をいいます。

改正の主な背景

改正の主な背景は、次の2点です。

1.高齢化がすすみ、配偶者に先立たれた高齢者に対する生活に配慮が必要になった

2.相続をめぐる紛争防止のために、遺言書の利用促進などの必要性が高まった

施行期日

そして、先月の11月21日に、改正相続法の施行期日が政令及び省令で次のとおり制定されました(注2)

1.自筆証書遺言の方式を緩和する方策:2019年1月13日

2.原則的な施行期日:2019年7月1日

(遺産分割前の預貯金の払戻し制度、遺留分の見直し、相続の効力等に関する見直し、特別の寄与等)

3.「配偶者居住権」及び「配偶者短期居住権」の新設等:2020年4月1日

(注2)法律は、「公布」されても、それだけでは法規範としての効力が発動されません。法律が「施行」されることにより、その規定の効力が現実に一般的に発動し、作用することになります。法律ができるまでの過程は、内閣法制局または参議院のホームページをご参照ください。

民法のうち、相続法の分野に関しては、配偶者の法定相続分の引上げ等がされた昭和55年以来、実質的な大きな見直しはされてきませんでした。今回の改正は実に約40年振りであり、しかもその内容は「相続の姿」をガラッと変えるものです。

改正の主な内容

改正の主な内容は、次の5つです。

1.配偶者の居住権を保護する2つの権利の創設

(1)配偶者短期居住権

(2)配偶者居住権

2.遺産分割に関する見直し等

(1)配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示の推定規定)

(2)遺産分割前の払戻し制度の創設等

3.遺言制度に関する見直し

(1)自筆証書遺言の方式緩和

(2)保管制度の創設

4.遺留分制度に関する見直し

5.相続人以外の貢献を考慮するための方策

相続法改正について、以前記事を書きましたが、その後法務省や政令及び省令等で詳細が発表されました。また、この改正は国民一人ひとりに大きく影響を及ぼすものです。そこで、平成30年も残りわずかとなった今、今年の家族法のトピックスとして、次回から改めて個々の改正の主な内容について「知っておくべきポイント」を取り上げてみることにします。

以上参考民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律について(相続法の改正)

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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