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「18歳成人」法案が成立~どうなる「成人式」!?

竹内豊行政書士
「18歳成人」の成立は「成人式」を変えそうです。(写真:ロイター/アフロ)

成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案が6月13日の参院本会議で与党など賛成多数で可決され、成立しました。

施行日は2022年4月1日です。

そこで気になるのは成人式。

「18歳成人」は成人式にどのような影響を与えるのか考えてみましょう。

●「成人の日」とは

そもそも「成人の日」とはどのような日なのでしょうか。

国民の祝日に関する法律 (祝日法)によると、成人の日は次のように規定されています(祝日法2条)。

2条(内容)

「国民の祝日」を次のように定める。

成人の日1月の第2月曜日

おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

●「成人式」は法律で規定されていない

このように、「成人の日」は祝日法で規定されています。

では、「成人式」はいつ開催されるのでしょうか。

文部科学省によると、成人式の実施時期や対象年齢は法律では規定されていません。

実際は、市町村ごとに地域の実情に応じて決められています。

ほとんどの自治体は1月に開催していますが、東北などを中心に8月に開催する自治体もあります。

1月開催は受験生に直撃

1月に開催となると、大学受験を控えた18歳の高校3年生や19歳の浪人生は参加を見合わせたり、参加できない人が続出するでしょう。

当事者が参加困難となると、開催月の変更を検討しなければならないかもしれません。

8月開催は着物業界に打撃

では、夏休みの8月に開催するのはどうでしょうか。そうすれば、参加できる人は増えそうです。

成人式といえば晴れ着です。しかし、晴れ着を着ると暑い・・・。

着物業界にとっては相当なダメージが予想されます。

着物業界としては新たな晴れ着の提案が必要になるかもしれません。

一方、「18歳成人」によって期待する業界もあります。

その一つが旅行業界です。

現在、旅行業界は若者の旅行離れに頭を悩ませています。

「18歳成人」により、旅券法が改正されて、有効期限10年のパスポートが18歳以上から可能になります。

さらに、18歳から契約に親の同意が不要になります。

旅行業界は「18歳成人」をビジネスチャンスと捉えて、高校の海外卒業旅行などの18歳成人をターゲットにした商戦が繰り広げられることが予想されます。

会場確保が大変

「18歳成人」の改正民法は、2022年4月に施行されます。つまり、2022年4月以降に18歳になれば成人となります。

したがって、翌23年の成人式は、18~20歳がまとめて参加することになります。

当然、対象者が例年より増えるので会場確保はもちろん、運営も困難が予想されます。

このように、「成人式」一つとっても「18歳成人」は社会に大きなインパクトを与えます。

2022年4月以降に18歳成人を迎える当事者はもちろんですが、「18歳成人」はビジネスにも大きな影響を与えること必至です。

「18歳成人」は社会現象を起こすことになるでしょう。

※記事参考2018.3.14讀賣・産経新聞

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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