森友問題、安倍首相が関与を認めたら…

参議院予算委員会での森友文書問題の集中審議で答弁する安倍晋三首相(写真:ロイター/アフロ)

森友問題は、3月27日に佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が終わって、28日には参議院で2018年度予算案と予算関連法案が可決して、与野党の攻防が膠着状態に陥った。新年度予算と予算関連法が成立すれば、予算案や予算関連法案を「人質」にして森友問題の審議を優先させることもできなくなるし、予算委員会を舞台として、安倍晋三首相の出席を求めて審議することも容易でなくなる。

かといって、佐川前長官の証人喚問の内容で、森友問題の解明がひと段落したと、多くの国民は思っていない。

確かに、佐川前長官は、決裁文書の書き換えが安倍首相夫妻や首相官邸の指示ではないことを印象付ける答弁をした。しかし、森友問題は、決裁文書書き換えと、(決裁文書と関係ないところでの)安倍首相夫妻の関与という2つの次元の問題を含んだものだから、前者について今後何らかの形で決着がついたとしても、後者も決着がつかなければ、事態の鎮静化は困難だろう。

安倍首相が2017年2月17日に、衆議院予算委員会で、国有地の払い下げに関して「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」と明言したことから、事が大きくなった。その関与が合法か違法かにかかわらず、「関わっていたら首相も議員も辞める」という話になり、野党は安倍首相夫妻の関与の根拠を見つけようと必死になった。

ただ、違法でなければ、安倍首相が「これまで国会答弁で関わっていないとしてきたが、実は関わっていたことが後でわかった」とかと陳謝した上で、首相も議員も続けるとしたらどうだろうか。

これは、立派な"答弁撤回"になる。

もちろん、野党は首相も議員も辞めろというかもしれないが、内閣支持率が一定程度維持され、与党内の求心力も維持できていれば、今の院の構成からすれば、野党が安倍内閣を退陣に追い込むことはできない。

安倍首相が、"答弁撤回"したのは、森友問題だけに限らない。予定通りの消費増税も"答弁撤回"してきた。

安倍首相は、2015年1月27日の衆議院本会議で、消費税についてこんな答弁をしている。

社会保障を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、国の信認を確保するため、平成29年4月の10%への引き上げについては、景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします。

出典:国会会議録検索システム、2015年1月27日衆議院本会議

これは、2015年10月の10%への引き上げを延期して、衆議院の解散・総選挙を行った直後の通常国会でのことである。確かに、景気判断条項は付さなかった。しかし、2017年4月の引き上げは「確実に実施」しなかった。陳謝はしていないが、"答弁撤回"をしたのだ。

消費増税の再延期という答弁撤回は、野党も容認したからよいが、森友問題での答弁撤回は、野党は容認しないから不可、という次元ではない。

安倍首相の答弁撤回は、消費増税だけでなく、最近でも働き方改革関連法案にからみ裁量労働制に関する答弁を公式に撤回し、陳謝している。

「関わっていたら首相も議員も辞める」という答弁を撤回することで、(決裁文書書き換えの部分以外の)森友問題は沈静化できるだろうか?

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『入門財政学』日本評論社、『日本の財政をどう立て直すか』日本経済新聞出版社、『入門公共経済学』日本評論社。行政改革推進会議議員、政府税制調査会委員、社会保障制度改革推進会議委員、財政制度等審議会臨時委員、産業構造審議会臨時委員、中央環境審議会臨時委員も兼務。

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