Yahoo!ニュース

<ガンバ大阪U-23>FC東京U-23戦で今季ホームでの初白星。食野亮太郎が2試合連続2ゴール。

高村美砂フリーランス・スポーツライター

前節のYS横浜戦で今季初白星を挙げたガンバ大阪U-23は、今節ホームに戻り、FC東京U-23と対戦。ハイペースで試合が進んだ前半をスコアレスで折り返した中で、後半、立ち上がりに失点を喫してしまう。それでも攻守に集中力の感じられる攻勢な戦いを続ける中で、DF高尾瑠の絶妙な折り返しに合わせたFW食野亮太郎が74分に同点弾をたたき込むと、85分にも再び食野。左サイドを切り崩した中で最後はMF中村敬斗のパスを右足でおさめて逆転に成功し、今季のJ3リーグでは初のホーム白星を飾った。試合後のガンバU-23監督、選手のコメントをお届けする。

●森下仁志監督

今日もたくさんのサポーターの方に来ていただいて感謝しています。ゲーム自体は自分たちで難しくして、よく返しましたけど、いま選手にも伝えましたが、ああいうゆるいプレーをしていたらなかなか上にはいけない、と。ただチャンスもたくさんありましたし、2−1で終わるようなゲームではなかったと思うので、もっともっとチャンスを得点に活かせるように、あとは、失点のところも、チーム全体の入りもそうですが最後の部分も当たって入っているので、そういう部分を突き詰めていきたい。練習したことしか試合には出ないと思うので、またしっかり練習をしたいと思います。

ー確かに失点のところは残念でしたが、相手の前線のターゲットが明確だった中で、それほど仕事をさせなかった。そういう意味での今日の守備の評価を聞かせてください。

裕喜(野田裕喜)と陸(松田陸)がよく体を当てたというか、準備も含めてよくやっていたと思います。あと、前半何回かは拾われましたが、セカンドボールのところで、だいぶ、戻れるようになった、走れるようになってきたなということは感じています。僕らのこのJ3リーグの場は、たくさんいろんなチームと戦えるというのがすごくプラスで、今日のようにサイズのある2枚が…例えばACLではああいう2枚がいる可能性もあるし、そういうふうに常に目線をあげて、ああいう相手に自分たちが何もやらせないとか、そのへんの走る、ということについてはだいぶ、身についてきたなと。とはいえ、最後まだ戻りが遅かったところもありましたが、またそこはビデオを見せてやっていきたいと思います。

ー2試合連続ゴールの食野選手への評価と、彼にもっと求めたいことを教えてください。

亮太郎はこれまでFWではプレーしていなかったと思いますが、今年、僕が彼と出会った瞬間にガンバU-23でやるのであれば、センターフォワードで使いたいなと思っていました。それは、いかにもトップということではなくて、彼の能力として何が魅力かといえば、サッカーの頭がいいことなので。状況を見てポジションを取り直したり、テクニックもすごくある、と。ただ彼の今までの問題は、感情をいかにコントロールするかのところが課題だった、と。でもまだ若いし、エネルギーを使う方向さえ間違わなければ問題ないと。しかも彼は負けん気があるし、今はそれをいい方向に使えているのかなと思います。その部分は、亮太郎だけではなくて、ここにいる選手、みんなに対して言えることで、一番大事なのは自分の感情をしっかりコントロールして判断することが課題だと思っていますが、亮太郎もそこはすごく落ち着いてきたな、と思います。ポテンシャルとしては間違いないからこそ、今日くらいのプレーをトップでも出せれば、と思うし、これからもっともっとよくなると思うので。普段から堂安律(フローニンゲン)と比べてもサッカーセンスは全然負けていないよという話はしているので。律の方が気持ちがまだまだ強い、という違いだと。そこだけだと思っています。

●MF食野亮太郎

(2試合続けて、2得点です)去年もここまでは順調だったので、これを継続することが今年の目標なので満足はしていないです。謙虚に毎日やることが大事なので。去年はいきなりこの時期にトップにあげてもらって、慢心してしまったところもあったので、今年は気を引き締め直してもう一度初心に返って頑張りたいです。(ルヴァンカップもあるし、トップチームもいま結果がなかなか出ない中で、トップへのアピールにもなる)トップもFWは結果を出している選手がいますし、攻撃の形はトップも作れているので、そこに自分が入ってという想像は今はあまりしていないですけど、上がった時に点を取れる選手になりたいなとは思っています。(ビハインドを自分のゴールで勝たせたことについて)今日の2ゴールは気持ちがよかったです。(中村選手からもいいボールがきましたしね)珍しくというか(笑)、出してくれました。呼び込みましたけど、自分で打つかなと思ったのでこぼれ球を狙いにいこうと思っていたんですけど、逆にきたので、ちょっと詰まってしまいました(笑)。でも決まってよかったです。といっても、自分でいくのが敬斗の良さだと思うし、ストロングだと思うのでいいと思います。(監督は堂安律選手との違いを気持ちの差だと言っていましたが)常日頃から仁志さん(森下仁志監督)には「お前らは力があるから、あとはメンタルだ」といわれていて。練習に取り組む姿勢とか、サッカーじゃないところの過ごし方にこだわってくれ、という話をしてくださるので。今年に入ってそういうところを意識するようになって結果も出始めているし、成長したいかなというのは思います。まだまだですけど。

●DF高尾瑠

(1点目、いい折り返しでした)そうですね。瑞希(市丸瑞希)からいいスルーパスがきて、うまく相手を交わして、亮太郎(食野亮太郎)がいい形で入って来てくれて、いい形で繋がりました。(失点シーン以外、ほぼ崩されていない。シュートもたくさん打ちました。この攻撃に加わって行くイメージというのはどう描いていますか)外でも持ち味が出るし、中でも出せるので、それをうまく使っていきたいと思ってます。(このステージだからできて当然だと思っているだろうけど)そうですね。イメージしていたプロキャリアとは違うスタートになっていますけど、でもいまここで結果を出さないといけないし、這い上がっていくしかないので、やり続けるしかないと思っています。(森下監督に求められていることは?)ポジショニングとか、守備が多いです。自分に足りないなと感じていることは結構的確に指摘されるので、それをやり続ければ、とは思っています。ただ、自分の持ち味は攻撃でもあるので、そことのバランスを探りながらという感じでやっています。攻撃ばっかりでは実際、トップでも使ってもらえないと思うので、守備への意識ということも自分に求めているところでもあります。(逆転勝ちは初めて)そうですね。攻め続けていても入らないこともあると考えれば、今日のようにしっかり決められたことは…もっと決めるチャンスはありましたけど、勝ち切れたことはプラスに考えたいです。

●GK林瑞輝

(失点のシーンだけでしたね)失点のシーンが、僕と野田ちゃん(野田裕喜)の関係で守れた失点だと思うので、そこはいろいろと技術的なところを改善したら止められると思うので、そこは反省しますけど、それ以外はシュートもあまり打たれることもなく、チーム全体で戦えていたのは明らかに感じたので、それがあって勝てたのかなと思います。失点は反省しなきゃいけないけど、失点することは起きうることで、大事なのはそこで気持ちが下がることなく、落ち込むことなく、同じようなリズムで攻撃をできたので。味方が点を取れそうな感じがプンプンしていたので、後ろにいる僕からしたら頼もしかったというか、普段ここではあまり一緒に練習ができないですが、すごい頼もしいなと思いながら試合をしていました。(J3リーグは2試合目。トップでもなかなかチャンスがない中で試合感ということを考えても、ここでの時間を有効に使いたいという思いもありますか)試合感をそこまで感じるタイプじゃないというか、練習でゲームもやっていますしね。練習でも常に勝ちにこだわってやろうと思っているので、試合感のところは心配していないです。もちろん、90分の戦いはなかなか練習でも積み上げられないので、どの時間帯にどういうプレーをするのかっていうところは、ここでプレーすることが自分のためになるとは思います。(相手の前線2人はハイタワーで、明確な戦い方が想像できたはず。そういう中での対応は、失点シーン以外はうまくいっていたのかなと思いますが)相手は二人、高い選手がいて、ハイボールというか、ふわりとしたボールが結構でてきていましたけど、僕は結構ハイボールが得意な方なので、タイミングよくチャレンジもできていたし、未然に防ぐことも、ディフェンスの連携もよかったし、的確なコーチングも自分ではできたと思うので、そこは相手のストロングではやられなかったのはよかったな、と。もちろん足元でもやられるのはよくないんですが、意識していたハイボールでやられなかったことは自信につながることでした。

●MF中村敬斗

(2点目のアシストシーンについて)自分で行くことも考えていたんですけど、最初、相手の丹羽(大輝)選手と対峙した時は自分でいこうと思っていて、交わして、相手と2:1の状況だったのでもちろんディフェンダーはシュートをケアしてくるだろうなって思って、横を見たら亮太郎くんがフリーだったので確実に決められる方を選択しました。おそらくそれがツネさん(宮本恒靖監督)のサッカーだし、これからの現代サッカーは、確実に点を取れる方を選ぶ方が最適かなと思って出しました。(カットインにこだわっていて、最後のワンプレーだけ縦にいったと思うんですけど、あれはずっとカットインを狙い続けていたわけではない?)そういうことではないんですけど、なんとなく縦をケアされている気がしていたので。本当は縦に行く方が得意なんですけど今日の試合は確かに中にいくことが多かったです。前半いい形であまりもらえていなかったので、後半、山口選手(山口竜弥)と修正をして、よくなってきた中でスルーパスがくるようになって自分でもっていく形が増えたので。もう少しいい形でもらえて…もっと高い位置で、センターバックとかサイドバックと1:1ができたら8割方、縦に行くんですけど、ハーフウェーラインくらいでボールを持った時は、縦にいくより、シンプルに使った方がいいかなと。それはトップでやっている時にもツネさんから口すっぱく言われていたので、「仕掛けるゾーンじゃないから」と。シンプルに叩いて持って行く、みたいな。だから縦に行くより中の人を使ってもう一度もらい返してと、最後のアシストシーンもそうですが、シンプルに、ハーフウェーラインまで使って、ワンツーもらい直し、バイタルに入っていったら自由にやるということを考えていました。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

高村美砂の最近の記事