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1番人気が3頭で拮抗の混戦!ジャパンカップのみどころとポイント

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2022年ドバイシーマクラシックを制したシャフリヤール(写真:ロイター/アフロ)

ジャパンカップのレース指定にご注意を

 27日、東京競馬場でジャパンカップ(GI)が行なわれる。

 まず、気をつけて欲しいのは、ジャパンカップは「東京12レース」であること。メインレースは11レースに組まれることが多いが、本日の編成は12レースだ。くれぐれもレース指定を間違えないようにご注意いただきたい。

1馬人気は当日でも3頭が競う状況

 18頭のフルゲートと頭数は揃ったが、GI勝ち馬が3頭というのはいかにも寂しい。人気は3頭、3歳馬でメンバー中で天皇賞(秋)再先着のダノンベルーガ、昨年のダービー馬のシャフリヤール、連勝中のヴェラアズールに集中しており、これらが1番人気候補だ。

 1番人気候補、というとおり、1番人気をレース当日でも競い合っている。オッズの変化を再確認しよう。JRAが発表する前日売りの最終オッズは、単勝1桁台が3頭となっている。ダノンベルーガとシャフリヤールが同じ4.5倍で1番人気をわけあっており、続く3番人気がヴェラアズールで4.6倍。4番人気がヴェルトライゼンデで9.5倍。と、ここまでが1桁台だった。

 その後、レース当日の午前11時半現在では、ダノンベルーガが1頭抜けて4.0倍の1番人気。続く、2番人気がシャフリヤールで4.6倍。3番人気がヴェラアズールで4.8倍。4番人気がヴェルトライゼンデで8.6倍と上位に接近している。その後もこれら単勝上位馬については今後も入れ替わる可能性は多いにあると推測する。

■2022年 日本ダービー (GI) 優勝馬 ドウデュース

注目はジャパンカップが最大目標のシャフリヤール

 この中で、筆者は次の順に評価する。一番手はシャフリヤールだ。言わずもがなの昨年のダービー馬であり、GI優勝実績がある。二番手のダノンベルーガ、三番手のヴェラアズールはいずれもGI優勝経験がなく、期待ゆえに人気が集まっている。

 シャフリヤールを推す理由は、シャフリヤールがこのジャパンカップに向けて仕上げてきているのが明らかであるからだ。前走の天皇賞(秋)でのシャフリヤールは決して状態は悪くはなかった。能力の高さから、"究極の仕上げ"でなくても勝算はじゅうぶんあった。しかし、結果は5着。パンサラッサが華麗に逃げて縦長の展開になったのは、差し馬のシャフリヤールにとっては決して歓迎できるものではなかった。しかし、今回は明らかに仕上げてきた。調教課程、馬の状態、厩舎コメント、いずれをみても明らかな勝負気配を感じさせる。藤原厩舎は多くの厩舎の中でも、こういった勝負の強弱を強くつける傾向がある。馬のピークは長く続くものではないことを十二分の承知の上、極上の状態を勝負の一戦に向けてくる。この秋のシャフリヤールにとって、その極上の状態がこのジャパンカップなのだ。

■2021年 日本ダービー(GI) 優勝馬 シャフリヤール

4戦連続の外国人騎手GI制覇なるか⁉

 そして、鞍上はクリスチャン・デムーロ騎手。この秋のGIレースを優勝に導いたのは外国人騎手が多い。特にここ3戦は外国人騎手が続けて優勝しているという点も見逃せない。

秋華賞 優勝馬スタニングローズ 坂井瑠星騎手(JRA所属の外国人騎手2名が参戦)

菊花賞 優勝馬アクスビクターモア 田辺裕信騎手(外国人騎手の参加なし)

天皇賞(秋) 優勝馬イクイノックス クリストフ・ルメール騎手(外国人騎手4名参戦)

エリザベス女王杯 優勝馬ジェラルディーナ クリスチャン・デムーロ騎手(外国人騎手4名参戦)

マイルチャンピオンシップ 優勝馬セリフォス ダミアン・レーン騎手(外国人騎手9名参戦)

 この外国人騎手の好成績からも、ヴェラアズールは東京実績とライアン・ムーア騎手の騎乗というのが心強い。そして、ムーア騎手への信頼感と期待度合がファンの評価に繋がっているのではないか、と察する。

 ダノンベルーガは川田騎手を配し万全の状態だが、2月の共同通信杯以降、優勝していないのが気になる。堅実に崩れない馬なので、相手にはしっかりおさえたい。

牝馬の再浮上は難しいが…応援したいデアリングタクト

 連下は、デアリングタクト、ユーバーレーベン、ハーツイストワールに注目している。

 一般的に牝馬は牡馬に比べて一度成績が落ち始めると再び勝つのが難しい。それでも昨年、一昨年のクラシックホースに期待を寄せるのは、ジャパンカップと同じ東京芝2400mのGIレースの優勝実績。そして、GIというせめぎ合いが各段に厳しい舞台を勝ち切った心身のタフさへの期待に他ならない。

 正直、不安は否めない。特にデアリングタクトについては、長年コンビを組んできた松山騎手から外国人騎手へのスイッチなど、大胆な賭けに出ているように映る。こういった刺激が吉とでるか、凶と出るかは正直やってみないとわからない。この采配に、牝馬だけに繁殖入りのための引退を目前に控える中、なんとしてでも結果を出したい、という意気込みが伝わってくる。

■2020年 オークス(GI) 優勝馬 デアリングタクト

 ユーバーレーベンは昨年に続いてのジャパンカップへの出走となる。昨年は直線で外から被されての不利を受けていた中での6着という結果。そういう意味でも、この舞台設定でこその可能性に賭けたい。

■2021年 ジャパンカップ(GI) 優勝馬 コントレイル

 ハーツイストワールは国枝栄厩舎と武豊騎手のコンビ。良馬場の中距離では崩れずに結果を出せているし、東京コースへの適性度は高い。人気は正午すぎの段階で11番人気29.7倍なので、筆者は連複の相手と複勝で楽しむつもりだ。

2022年ジャパンカップ枠順(筆者作成)
2022年ジャパンカップ枠順(筆者作成)

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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