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【オークス展望】抜けた人気馬がいない混戦ムード 唯一のディープインパクト産駒パーソナルハイに注目

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
昨年のオークス優勝馬のユーハーレーベン(右) (写真:日刊スポーツ/アフロ)

 5月22日、東京競馬場でオークス(GI,芝2400m)が行われる。前日オッズで単勝1倍台が5頭おり、抜けたオッズの馬がいない混戦ムードだ。2歳女王のサークルオブライフ(前日単勝オッズ4.0倍、以下同)、忘れな草賞を勝ちオークスを狙ったローテーションを組んできたアートハウス(6.7倍)、桜花賞馬スターズオンアース(7.2倍)、桜花賞で1番人気だったナミュール(7.3倍)、東京は2戦2勝のエリカヴィータ(9.6倍)の順に人気を集めている。

■2022年桜花賞(GI) 優勝馬 スターズオンアース

 サークルオブライフは3戦目のアルテミスS(GIII)で東京競馬場は経験済み。アーモンドアイ、アパパネら牝馬GIで圧倒的な実績のある国枝栄厩舎が送り出す1頭とあって期待は高まる。桜花賞は内枠、先行馬が有利な展開だった中で8枠16番から外を回って応戦。結果4着に負けてはいるが、しっかりとした差し脚をみせ、内容自体は良かった。とはいえ、筆者は母が芝1400mまでしか勝ち鞍がない短距離馬であること、3歳での2戦でいずれも敗因の理由はあれど、やはり勝ち切れなかってことが気になり、評価を下げたいと考える。

■2021年 阪神ジュベナイルフィリーズ(GI) 優勝馬 サークルオブライフ

 アートハウスは母が同じ中内田厩舎に在籍し秋華賞(GI)で2着だったパールコード。父はジャパンカップを勝ったスクリーンヒーローで産駒には昨年オークス2着のウインマリリンもいる。祖母のダイナアクトレスはスピードが武器で実績はマイル中心だがジャパンカップ3着の実績があり、この血統を思い出すほど東京芝2400mという舞台は魅力的に映る。忘れな草賞の勝ち馬のオークス優勝例は近年ではミッキークィーン(2015年)、ラヴズオンリーユー(2019年)がいる。ウインマイティー(2020年)は忘れな草賞1着からのオークス2着であった。アートハウスは勝ちっぷりもよく、現段階では「まだ心身のバランスがとれていない部分もあるが仕上がりはいい」(中内田師)とのこと。性格もかなり前向きなので、崩れずにしっかり走ってくれそう、という点でも期待が高まる。

■2022年オークス(GI) プロファイル 3:00からアートハウス

 スターズオンアースは桜花賞以前は重賞でクビ差負けを2回続けており勝ちきれない印象だったが、桜花賞では一変し見事な差し切り勝ちを演じた。桜花賞前は1番人気を続けていたが、負けた2戦はいずれも直線での進路取りが窮屈になり勢いよく差してきた馬にクビ差負ける、という内容だった。桜花賞では7番人気で他馬からマークされなかったのも良かったのだろう。父は早逝したダービー馬・ドゥラメンテ、母は2017年オークス馬のソウルスターリングの姉と東京芝2400mにはもってこいの血統。オークスでは他にも人気馬がおりマークが集中しないと思われ、桜花賞に続くGI制覇が期待できる。さらに言えば、重賞実績の堅実さからも軸として狙いやすい1頭だと察する。

■2022年 フェアリーS(GIII) 優勝馬 ライラック(2着 スターズオンアース)

■2022年 クイーンC(GIII) 1着プレサージュリフト (2着 スターズオンアース)

 ナミュールは桜花賞では1番人気も8枠18番の大外枠に泣いた。桜花賞時より馬体はふっくら感を増し、ここまで順調にきている。バネがあり、鞍上の横山武史騎手もかなりこのナミュールを高く評価していると厩舎サイド。鞍上のレース後コメントも伸びしろを感じさせるので、思い描いた修正点がオークス本番で生かされるのを期待する。

■2022年 チューリップ賞(GII) 優勝馬 ナミュール

 エリカヴィータはサークルオブライフ同様、国枝栄厩舎の管理馬。キャリア3戦目の前走のフローラS(GII)では道中しっかり折り合って勝ち切った。2戦目のフェアリーSでは4コーナーで不利を受けており、度外視してもよい、という考え方もある。長くいい脚が使えるのが魅力。東京競馬場では2戦2勝という実績も見逃せず、筆者は同じ国枝栄厩舎ならこちらから狙いたいと考えている。

■2022年 フローラS(GII) 優勝馬 エリカヴィータ

 ひじょうに難解な一戦だが、筆者は唯一のディープインパクト産駒で吉田豊騎手が乗るパーソナルハイ、シルバーステート産駒で武豊騎手が乗るウォーターナビレラに注目している。

 パーソナルハイは「気持ちの切り替えがとても上手な馬」(担当の福岡助手)とのことで、桜花賞、フローラSからの続戦とはなるが体力の消耗はそれほど気にならない様子だ。1週前追い切りでしっかり追えたのも、カイバ食いの良さや自身の気持ちのコントロールの上手さにより実現したのだろう。「乗り味の素軽さ、ゴーサインを出した後のスイッチの切り替え、どれも一級品」とのこと。先行したり、後ろから行ったりとスタイルがまだ定まってはいないが、逆にいえば臨機応変な対応ができるのではないか、という期待もある。

 ウォーターナビレラは金曜日から東京入りし、スクーリングなど念入りに調整を重ねた模様だ。最近は1月生まれの馬がいる中、ウォーターナビレラは5月27日が誕生日という遅生まれ。脚元が弱く未完のまま引退した印象が強いシルバーステートの娘。武兄弟が送り出す1頭と、ドラマチックな要素が詰まっており、未知な魅力を感じさせるのがいい。

オークスの発走は15時40分だ。Good Luck!

2022年オークス枠順(筆者作成)
2022年オークス枠順(筆者作成)

■2021年オークス(GI) 優勝馬 ユーハーレーベン

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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