【有馬記念】前日オッズ2.5倍エフフォーリアの盲点は? クロノジェネシスは有終の美を飾れるか!?
前日オッズ上位2頭は格上のエフフォーリアとクロノジェネシス
まず、前日オッズをおさらいしよう。
1番人気は皐月賞と天皇賞(秋)を制したエフフォーリアで2.5倍。2番人気はこれが引退レースとなるクロノジェネシスで3.2倍。3番人気は少し離れて神戸新聞杯を勝ったステラヴェローチェで8.6倍。4番人気は菊花賞馬タイトルホルダーで9.1倍。単勝1桁台は以上の4頭。
5番人気以降は大きく離れ、ディープボンドの18.7倍、6番人気はキセキの21.6倍、7番人気はアカイイトの21.9倍、8番人気はアリストテレスの29.1倍と続く。
9番人気以降は逃げ馬のパンサラッサの32.7倍、セントライト記念を制したアサマノイタズラの36.3倍といったかんじ。小柄でアイドル的な人気のメロディーレーンが74.9倍、16番人気のユーキャンスマイルが99倍と3桁台は前日の段階では該当がなかった。
全体を見ると、エフフォーリアとクロノジェネシスの2頭は実績どおり一枚上の印象でそれがオッズにもあらわれている。しかし、多少なりとも両馬とも不安点はあるためか、抜けたオッズにはなっていない。ステラヴェローチェはGI未勝利だが、それで3番人気という点も気になる。
そして、前日の段階で単勝3桁馬がいないように、下位人気馬もそれなりに支持を集めている。"ひょっとしたら荒れるかも"という民意の表れかと察している。
ファン投票&前日1番人気のエフフォーリア、若き鞍上は重圧にどう対処するか
1番人気のエフフォーリアは6戦5勝。うち、GIは天皇賞(秋)と皐月賞(GI)の2勝で、2着に負けた日本ダービー(GI)もハナ差。ファン投票で1位を獲得するだけの実力馬だ。気になるのは、初の中山2500mという点。血統的に不安はないが、このトリッキーなコースを若い鞍上がどう捌くのだろうか。ひじょうに興味深い。有馬記念の前日、新馬戦でエフフォーリアの半弟に騎乗した横山武史騎手はゴール前でいったん追う仕草をやめたことから「明確に着順に影響があったとは認められないものの、騎手としての注意義務を怠った」(JRA公式)とされ、来年の1月15日、16日の2日間、騎乗停止処分が下されている。いわゆる"油断騎乗"と呼ばれるもので、公正競馬の観点からこういった事象に対するJRAの処分は迅速、かつ重いものとなっている。このような制裁処分の対象となったことが、若い横山武史騎手の心理にどう影響するのか。有馬記念でファン投票もオッズも1番人気という重圧とともに、どう消化するのかがとても気になる。
■2021年皐月賞(GI) 優勝馬 エフフォーリア
■2021年天皇賞(秋) 優勝馬 エフフォーリア
冬毛ボーボーのクロノジェネシスの取捨は?
2番人気のクロノジェネシスは体調面が気がかりだ。昨年の有馬記念を制したあと、今年はドバイ遠征のあと日本の宝塚記念を優勝、秋はフランスで凱旋門賞を走り、帰国後の緒戦がこの有馬記念となる。今年前半、ドバイ帰りで宝塚記念を制したクロノジェネシスだけに、後半もフランス帰りで有馬記念を制しても何らおかしくない。しかも、昨年の宝塚記念以降、"グランプリ"と呼ばれる宝塚、有馬の両レースを3連勝中だ。
しかし、昨年のクロノジェネシスと明らかに違い、馬体に冬毛がびっしり生えている上に調教の動きについて陣営のコメントが渋いのだ。一般的に、特に牝馬は寒くなると冬毛が生えてくることがある。体を守るための自然反応だが、アスリートである競走馬は冬毛が生えずに1年中ピカピカの毛ヅヤでいることが珍しくない。昨年のクロノジェネシスは今年ほど冬毛が生えていなかった。同じ馬のこのような変化はアスリートとして決してプラスではない。さらに調教の動きの迫力も、いい頃と比べると物足りなさが残る。
が、しかし。それでもレースにいけばあっさりと結果を出す馬はいる。特に、厳しい戦いを勝ち抜いてきた馬こそ、事前の不安などモノともせずにあっけなく結果を出すものだ。
今回のクロノジェネシスがどちらに転ぶかはわからないが、パドックなどの気配はかなり大きな判断材料になると思う。
■2020年 有馬記念(GI) 優勝馬 クロノジェネシス
逃げるのはパンサラッサ、タイトルホルダー
今年の有馬記念のメンバーを見渡すと、逃げるのはパンサラッサ、続いて菊花賞馬のタイトルホルダーではないか、と予想できる。
前走、福島記念(GIII)を制したパンサラッサは芝2000mを中心に走ってきた馬で、有馬記念の芝2500mは少々距離が長い印象がある。それでも、中山の芝2500ならなんとなるのではないかという期待できるし、1枠2番という逃げ馬には願ってもない好枠をGETした幸運は見逃せない。エフフォーリアとクロノジェネシスの人気2頭は好位で競馬すると思われるので、その2頭をみてレースを進める馬が多い中、パンサラッサはすんなり楽に逃げられそうだ。
パンサラッサとともに逃げそうなのはタイトルホルダーだ。菊花賞は横山武史騎手で優勝したが、今回は実兄の横山和生騎手が手綱をとる。タイトルホルダーはパンサラッサとは対極の大外・8枠16番。有馬記念で逃げ馬がこの枠を引くのは明らかに得策ではないが、メンバーを見渡す限り、前目のポジションは確保できそうだ。
菊花賞から有馬記念を狙うというローテーションは余裕があって理想的。過去にもオルフェーヴル、ゴールドシップ、サトノダイヤモンド、ブラストワンピースなど、菊花賞から直行というローテーションで有馬記念を制した馬たちがいる。筆者は枠の不利を承知の上で、あえてタイトルホルダーから狙ってみたいと考えている。
■2021年菊花賞(GI) 優勝馬 タイトルホルダー
長い競走馬生活にピリオドのキセキ。次ステージに向けてよいスタートを
2017年の菊花賞馬キセキはこのレースがラストラン。長かった現役生活に幕を閉じる。本来は逃げ馬だが、スタートで遅れることが少なくないのが難点。まして、スタート直後のポジション争いが激しい中山・芝2500mでは、出遅れが致命傷になる。無事にスタートを切り、次ステージのスタートに向けて弾みをつけて欲しい。
■2021年菊花賞(GI) 優勝馬 キセキ
注目したい牝馬は元気いっぱいアカイイト
クロノジェネシスを除く牝馬ではアカイイトに注目している。冬でもこちらは馬体はピカピカ。牝馬だがカイバ食いがしっかりしており、調教も順調にこなせている。勢いの良さから推奨したい1頭だ。
横山和生騎手、横山武史騎手の父である横山典弘騎手は牝馬・シャドウディーヴァに騎乗。状態もよく、今回はブリンカーを着用して臨む。この秋は府中牝馬Sは1着、ジャパンカップでは見せ場をつくっての7着と内容のある競馬続いている。ここがラストラン、魅力ある一発に期待したい。
■2021年エリザベス女王杯(GI) 優勝馬 アカイイト