前日最終オッズ1番人気はクロノジェネシスで2.1倍

 27日、阪神競馬場で宝塚記念(GI)が行われる。グランプリ連勝中のクロノジェネシスが前日単勝1番人気に支持されている。しかし、初コンビのルメール騎手は何故か宝塚記念に不吉なデータがあるのが気がかりだ。

 前日の最終単勝オッズを見てみよう。

 1番人気はクロノジェネシスで2.1倍。続く2番人気はレイパパレで3.4倍。3番人気はカレンブーケドールで7.3倍。ここまでの人気上位3頭は牝馬である。4番人気のアリストテレスが8.6倍でここまでは1桁台だ。

 5番人気から2桁台で、7歳馬のキセキで14.0倍。次が昨年3着のモズベッロで20.9倍、鳴尾記念を制した上がり馬・ユニコーンライオンで21.8倍と続いている。

■宝塚記念2021 調教動画 / JRA公式

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2021年宝塚記念は13頭の参戦 

 今年の宝塚記念は昨年の春秋グランプリを制したクロノジェネシスが早くから参戦を表明しており、さらに昨年のダービー馬のコントレイル(体調が整わず、回避)や大阪杯を勝ったレイパパレが出走するとあって、レース2週前の段階では出走を希望する馬が少なかった。最終的に13頭まで頭数は揃ったが、フルゲート18頭には遠く満たない。

 上半期の総決算と言えるGIレースであり1着賞金が1億5000万円のビッグレースであるにもかかわらず、そのわりにメンバーは手薄なのは、梅雨時期や開催が続いての馬場悪化を嫌って春のGI戦線で活躍した馬たちはここを回避して早々に夏休みに入るケースが多いのも理由のひとつだろう。その一方で、5着でも賞金が1500万円もあるので入着を狙った参戦を企てる陣営もいる。2桁人気でも3着にくることは珍しくないレースでもある。

クロノジェネシスの取捨

 今回、気になるのは1番人気クロノジェネシスの取捨だ。

 これだけ人気を被っているにもかかわらず、今回のクロノジェネシスには不安要素がある。

■2020年宝塚記念 優勝馬クロノジェネシス

 まず、主戦の北村友一騎手の負傷によるクリストフ・ルメール騎手への乗り替わりだ。ルメール騎手といえば、いまの日本競馬の中心的人物であり、乗るだけでオッズが下がるほどの実力者であるが、どうにも宝塚記念との相性が悪い。ルメール騎手は2015年にJRAの騎手免許を取得して以降、毎年宝塚記念に騎乗しており延べ6回参戦している。しかし、実績馬や人気馬に騎乗しているが、成績がまったく奮わないのだ。

・2015年 ラキシス 8着(2番人気)

・2016年 ラブリーデイ 4着(4番人気 / 2015年宝塚記念、天皇賞・秋優勝馬)

・2017年 シャケトラ 4着(2番人気)

・2018年 サトノダイヤモンド 6着(1番人気 / 2016年有馬記念、菊花賞優勝馬)

・2019年 レイデオロ 5着(2番人気 / 2017年日本ダービー優勝馬)

・2020年 サートゥルナーリア 4着(1番人気 / 2019年皐月賞馬)

 もちろん、ルメール騎手が騎乗するから人気が上がっている面もあるだろう。ただ、それにしてもあまりに相性が悪い。特に2016年のラブリーデイは状態も良かったし絶好の手ごたえで直線を向いていた。荒れた馬場の影響もあっただろうが、ピタリとラスト100mで脚色が他馬と同じになってしまった。

 ただし、ルメール騎手が阪神競馬場を不得手にしている傾向は全くなく、過去の戦績を見ても他場と同じように安定した成績をあげている。GIならグランアレグリア等で何度も勝っているし、芝2200mというコースでも昨年ラッキーライラックでみごとエリザベス女王杯を制している(注:2020年のエリザベス女王杯は阪神開催)。

 なぜ、宝塚記念だけ勝てない?

と、不思議で仕方ない。

 さらにクロノジェネシスの1週前追い切りに騎乗しているが、多少折り合いを欠いていた点も気になる。クロノジェネシスはここ3週、すべてジョッキーが追い切りの手綱をとっており、2週前の福永騎手、当週の岩田未来騎手が乗っているが、2週前と当週はピタリと折り合っている。もちろん、折り合えばいいというものではなく、ルメール騎手は1週前の初コンタクトの際に本番でいかに彼女の良さを引き出すかを考えての騎乗だったに違いないが、それにしても馬券を占う上で"気になる要素"として心にひっかかるポイントになったのは否めない。

 さらにクロノジェネシスはこの春、ドバイに遠征していた。宝塚記念は前走が海外の競馬で勝った馬は2019年のリスグラシュー1頭のみ。ただし、リスグラシューの遠征先は4月の香港であり、3月のドバイ遠征組が宝塚記念で好走したのは2016年のドゥラメンテの2着が最高。ドバイ帰りで宝塚記念を勝った馬が過去にはいない。

■2021年ドバイシーマクラシック 2着クロノジェネシス

 それでも、クロノジェネシスにはこれらの歓迎できない状況をすべて覆すだけの実力は備わっていると察する。休み明けでも走れるタイプだし、昨年のこの宝塚記念では2着に6馬身差の圧勝をみせた実績もある。クラブの規定で来春までにターフを去るクロノジェネシスにとってこれが最後の宝塚記念だ。無事、力を発揮できることを祈りたい。

 一方、レイパパレは絵に描いたように順調に仕上がっている。父であるディープインパクトと同じく、小柄な馬体の中に並み外れた強い心臓が備わっている。いわば、しっかりした小型の車体にスポーツカーのエンジンを積んでいるようなイメージだ。これまで課題だった折り合いもつくようになった。馬場も問わずに走れるので、筆者はこちらを中心に狙いたいと考えている。

■2021年大阪杯 優勝馬レイパパレ

 アリストテレスは昨年の菊花賞(芝3000m)で三冠馬コントレイルにクビ差に迫る2着と好走。長距離路線での活躍が期待されたが、芝3200mの天皇賞(春)では4着と案外結果が出なかった。これに対し、管理する音無師は「距離適性は長距離よりも2200~2500くらいの距離がいい」とし、今回の宝塚記念では「2200でこの馬の真価が問われる」と話していた。天皇賞(春)では少々ジリっぽいところもみられたが、距離が短縮される2200なら切れ味のいい走りをしてくれるのではないか。

■2020年菊花賞 アリストテレス2着(優勝馬 コントレイル)

 カレンブーケドールは引き続き、好調キープ。GIは0勝2着3回と勝ちきれないが、ここでも"相手"としては切れない大事な存在だ。

 注目したいのは7歳馬のキセキと上がり馬のユニコーンライオン。

 キセキは7歳馬だが、決して崩れることなく引き続き好状態をキープしている。とにかく、堅実。カレンブーケドール同様、上位の常連として切れない1頭だ。

 ユニコーンライオンはこの春、心と体のバランスがバッチリと噛み合ってきた。それまで集中力に散漫さがみられたが、馬具や調教の工夫を重ねることで見事に解消し、前走は鳴尾記念を制している。続けて中2週でレースというローテーションについては、矢作厩舎のパターンである1週前金曜からの当週水曜追い切りを実践し状態を保っており、問題ないとみた。

■2021年鳴尾記念(GIII) 優勝馬ユニコーンライオン

 筆者はやはりクロノジェネシスは人気の被り具合と不吉なデータからおさえる程度にとどめ、この春競馬で勢いのあるレイパパレとユニコーンライオンを中心に狙う。また、宝塚記念は下位人気が思わぬ上位に食い込むことがあるので、前日最終単勝オッズ98.6倍で11番人気の阪神大章典4着の実績がある白毛馬・シロニイの複勝を買って楽しむつもりだ。

 では、皆さま。よき上半期の総決算をお迎えください。Good Luck!!

2021年宝塚記念 枠順(筆者作成)
2021年宝塚記念 枠順(筆者作成)