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【日本ダービー】7398頭の頂点にエフフォーリアは立てるのか

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2021年皐月賞(GI) 優勝馬エフフォーリアと横山武史騎手/提供:JRA

 5月30日、東京競馬場で日本ダービー(GI)が行われる。

 2018年に生まれたサラブレッドは7398頭。同世代の頂点を決めると言われる日本ダービーのフルゲートは18頭だが、今年はダノンザキッドの回避により17頭が参戦する。

■2021年皐月賞 優勝馬エフフォーリア

前日単勝1番人気はエフフォーリアで1.8倍

 まず、JRAから発表された前日オッズを確認する。

 1番人気は皐月賞馬のエフフォーリアで1.8倍。2番人気が牝馬サトノレイナスで5.5倍。単勝1倍台は話題と実力を兼ね備えたこの2頭となっている。

 3番人気は、青葉賞勝ち馬のワンダフルタウンで少し離れた10.7倍。続いて4番人気がシャフリヤールで14.5倍、5番人気がグレードマジシャンで14.6倍、6番人気がディープモンスターで18.6倍となり、ここまでが10倍台となっている。

 以下、ヨーホーレイク(23.1倍)、タイトルホルダー(23.6倍)、ステラヴェローチェ(28.7倍)と続いている。

 1番人気のエフフォーリアだが、筆者も応援したい気持ちは猛烈にあるのだが、如何せん、人気が集中しているのが気になる。たしかに4戦4勝。皐月賞は危なげない競馬で二冠を予感させる強さを感じさせた。

 ただ、皐月賞が行われた時点の中山競馬場の芝コースは荒れておりタフさが要求される馬場状態だったため、皐月賞上位馬についてはその特殊性に合った馬が結果を残した印象がある。今年の日本ダービーはウェザーニュースによれば、レース直前に上空を雨雲が覆う可能性はあるが、馬場状態に極端な影響を与える可能性は少ないとされている。

 血統的に距離延長の不安はないし、トビの大きなフットワークは広い東京コースにピッタリ。これで単勝が3倍台くらいなら筆者も全力で推すが…。

 過去、日本ダービーの単勝1倍台をまとめてみた。単勝1.5倍以下の馬たちについてはかなり信頼度が高いが、それ以上になると絶対的な存在とはいえない結果となっている。

日本ダービーでの単勝1倍台の各馬の成績 (筆者作成)
日本ダービーでの単勝1倍台の各馬の成績 (筆者作成)

 ちなみに筆者はエフフォーリアへの馬券は応援程度にはおさえるが、それ以上は配当の妙味のなさから手控えることにした。

国枝師肝いりの牝馬・サトノレイナスに注目

 サトノレイナスは管理する国枝師が相当に自信を持ってる点がとても面白い。国枝栄師はアパパネやアーモンドアイで牝馬三冠は手中に収めているが、牡馬クラシックは0勝。現在66歳で調教師が定年を迎える70歳までカウントダウンに入っている。日本ダービーは誰もが勝ちたいレースではあるが、その想いの積もり度合いは年季が入っている。サトノレイナスに牝馬ながらあえて日本ダービーを選ぶだけの資質があると名伯楽が判断している点に大いに注目したい。話題性がありながらも単勝オッズ5倍台なら、筆者はこちらから狙いたい。

■2021年桜花賞 優勝馬ソダシ(2着サトノレイナス)

青葉賞馬のダービー成績が気になる

 前日単勝オッズ3番人気のワンダフルタウンは全くもってケチをつけるところは感じないが、強いていうなら過去の青葉賞優勝馬のダービーでの成績があまり奮わないのが気になる。

青葉賞優勝馬の日本ダービーでの成績(筆者作成)
青葉賞優勝馬の日本ダービーでの成績(筆者作成)

 特にこの中ではアドマイヤメイン、ウインバリアシオン、アドミラブルが関西馬だったが、関西馬は短期間に東京と栗東を2回行き来することになるため、見えない疲労があっても不思議ない。最近はレース間隔をあけるのがトレンドで、5月初旬に行われる青葉賞を使うには何らかの意図がある。ワンダフルタウンなら、爪の不安があって皐月賞が間に合わなかったので青葉賞へ駒を進め、ダービーを目指した。

 筆者はデータから対抗としてワンダフルタウンを狙いたいと考える。

■2021年青葉賞 ワンダフルタウン優勝

アドマイヤハダル、ヨーホーレイクに注目

 注目馬だが、まずはアドマイヤハダル。最終追い切りは坂路で行われたが1本目の内容が想定より軽かったということで急きょ2本追いに変更して行われた。同日に坂路を2本追うのはオーバーワークが気になるところだが、2本目は終い重点に特化しての内容だったし馬の状態などをみて納得づくで行われたとあって、今のところ特に問題は出ていない様子だ。むしろ、1本にとどまらずあえて2本目を行った"攻めの調整"を筆者は評価したい。陣営の話では、アドマイヤハダルは自身が疲れるとわかりやすく周囲に態度で示す馬だそうだ。もし、最終追い切りがオーバーワークであれば、当日のパドックでわかりやすく疲れをみせているとみた。

 ヨーホーレイクは東京コース未経験だが陣営はかねてから「広い東京でこその馬」と公言してきた。新馬、1勝クラスのあとの3戦はGI3着→GII2着→GI5着と善戦止まりだが、あくまでもダービーにピークがくるように仕上げてきた過程を考えれば問題はない。

 ディープインパクト産駒×金子真人オーナー×友道厩舎×川田騎手といえば、2016年にダービーを制したマカヒキと同じ組み合わせだ。いちばん欲しいものを獲りにきっちり調整されているので、大注目である。

2021年日本ダービー枠順(筆者作成)
2021年日本ダービー枠順(筆者作成)

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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