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【朝日杯FS】有力馬を一挙解説 無敗でのGI参戦ステラヴェローチェが連勝なるか?

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2019年朝日杯FSのゴール前、優勝馬はサリオス 写真:伊藤 康夫/アフロ

関西圏で行われる朝日杯FS、今年は16頭の参戦

 12月20日、JRA阪神競馬場で朝日杯フューチュリティステークス(GI、以下朝日杯FSと略)が行われる。距離は芝1600m。今年は牡馬のみ16頭が参戦する。

 2歳馬のGIは3レースあり、先週行われた阪神ジュベナイルフィリーズだけが牝馬限定戦。2歳GIを狙う牡馬たちはこの朝日杯FSか、来週12月26日に行われるホープフルステークス(GI、中山競馬場芝2000m、以下ホープフルSと略)のいずれかを選ぶことになる。

 中山競馬場の芝1600mは3歳クラシックの皐月賞(GI)と同じコースである。日本ダービーを見据えて中長距離を意識したレースを走らせたい陣営は来週のホープフルSを選ぶケースはよく耳にする。また、朝日杯FSは関西圏、ホープフルSは関東圏で行われるため、単純に普段滞在するトレセンからの移動距離を考えてこちらを選択するケースもある。

ここ3年は前走で重賞を勝った馬が優勝

 朝日杯FSはここ3年、前走で重賞を勝った馬が優勝している。2017年優勝のダノンプレミアムと2019年優勝のサリオスは10月に行われるサウジアラビアロイヤルカップ(GII、東京・芝1600m、以下サウジアラビアRC)からの参戦、2018年優勝のアドマイヤマーズは11月に行われるデイリー杯2歳ステークス(GII、阪神・芝1600m、以下デイリー杯2歳Sと略)である。

 そして今年もこれらの優勝馬たちが参戦している。

■2019年朝日杯フューチュリティステークス(GI) 優勝馬サリオス

ソダシの僚馬・ステラヴェローチェ

 サウジアラビアRCを優勝したステラヴェローチェ(栗東・須貝厩舎)は先週、阪神ジュベナイルフィリーズを制したソダシと同じ須貝尚介厩舎の管理馬だ。デビュー戦で阪神のマイルを勝っているし、前走は重馬場を克服しての勝利と臨戦過程もいい。この中間の乗り込みも十分で、ソダシ同様に完成度は高い。また、ソダシと同じく無敗でのGI参戦となる。

■2018年朝日杯フューチュリティステークス(GI) 優勝馬アドマイヤマーズ

レコードタイムで連勝中のレッドベルオーブ

 デイリー杯2歳Sを制したレッドベルオーブ(栗東・藤原厩舎)はスピード豊かで未勝利戦、デイリー杯2歳と2戦続けてレコードタイムで優勝している。これだけの好時計を走り切っただけに反動が心配されるが、そのあたりは職人ぞろいの陣営だけにキッチリ管理されているはずだ。馬場については、前走はかなり硬くスピードが出やすい状態であり、そういったコンディションがレッドベルオーブにはとても合っている。今週の馬場状態は中間に悪天候もなかったし、開催が連続しているわりには時計の出やすい馬場がキープされているので、レッドベルオーブも引き続き対応できるのではないか、とみている。

■2017年朝日杯フューチュリティステークス(GI) 優勝馬ダノンプレミアム

自分でレースをつくれるホウオウアマゾン

 デイリー杯2歳Sで2着のホウオウアマゾン(栗東・矢作厩舎)も侮れない。このレースでも先手をとって自らレースを進めながらも僅差で敗れているが、逆にそのレースぶりから地力の高さを感じさせた。瞬発力もあり、しぶとさもある。一戦ごとに着実に心身ともに成長がみられており、今回でまた新たな長所が見られるのではないだろうか。

■2016年朝日杯フューチュリティステークス(GI)  優勝馬サトノアレス昨年

短距離適性が高いブルースピリット

 先ほど朝日杯FSは3年連続で前走重賞を勝った馬が優勝している、と書いたが、それ以前の2011年から2016年までは6年連続は重賞を勝ったことがない下級条件馬が優勝し、前走重賞勝ち馬は敗れ続けていた。

 函館デビューのブルースピリット(栗東・中内田厩舎)はまだ完成途上だがパワフルな体型で短距離適性が高そうだ。デビューからの2戦は1200m、1400mを勝っているが、「気性的にかかるところはない」(中内田厩舎・片山助手)とのことなのでマイルでも適応できるとみた。

■2015年朝日杯フューチュリティステークス(GI)  優勝馬リオンディーズ

ドゥラモンドとコンビの武豊騎手、朝日杯初制覇なるか

 新馬、アスター賞(1勝クラス)と2戦2勝のドゥラモンド(美浦・手塚厩舎)は武豊騎手を配しての参戦。これまでの2戦の馬場状態は決して良くはなく、良馬場への対応は未知だが案外良馬場のほうがいい可能性もある。

 また、武豊騎手はこの朝日杯FSとホープフルS以外のJRA平地GIをすべて勝っており、今回勝てばJRA平地GI完全制覇にリーチがかかる。2019年のタイセイビジョン,

2015年ののエアスピネル等、2着は5回あるが、欲しいのはやはり1着。JRAの記録を塗り替え続けた第一人者が、51歳になってもなお記録を更新していく姿をぜひみたい。

 なお、2020年12月20日の朝日杯フューチュリティ―ステークス当日は中山、阪神、中京の全レースで払戻率が一律80%になるJRAスーパープレミアムが実施されるので、こちらもぜひ楽しみにしていただきたい。

■過去記事

払戻率が上限までUP!JRAスーパープレミアムとは?

2020年朝日杯フューチュリティステークス(GI)枠順 (図表:筆者作成)
2020年朝日杯フューチュリティステークス(GI)枠順 (図表:筆者作成)

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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