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【データから見た都議会】議員提案は9%→12%に上昇も、小池知事提案は100%原案可決?の現実。

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

91%は知事提案で議員提案はわずか9%だったが、小池知事就任後は12%に上昇

図表: 都議会議案提出者別割合

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出典: 都議会議事録等から筆者作成

都議会議員選挙まで、いよいよあと1ヶ月と迫ってきた。

議会活動についてはこれまでも高橋亮平(一般社団法人政治教育センター代表理事・NPO法人 Rights代表理事・元中央大学特任准教授・元市川市議・元市川市長候補)ブログでも書いてきており、都議会についても昨年9月に『これでいいのか都議会!議員による条例提案はわずか2.9%、知事提案の原案可決は99.6%』(https://news.yahoo.co.jp/byline/takahashiryohei/20160930-00062722/)を書いたが、都議会を目前に控え、この4年間の任期の中で、議会としてどういった活動を行なってきたのか、データとして客観的に見える部分について今回は紹介して行くことにしたい。

前回選挙後の2013年の第3回定例会から最新の2017年第1回定例会までの都議会のデータをまとめてみた。

今回は、議案に限ってカウントしたのだが、知事提案による提出議案はこの間に924件あったが、一方で議員提出議案は101件と、提出議案の90.1%は知事提案となっており、議員提案はわずか9.9%しかない状況となっている。

この点については前回も指摘したように議会としての役割を考えた際に、寂しい状況といえるのではないかと思う。

ただ、小池知事が就任した後の2016年第3回定例会以降に限定すると、議員提案の割合は11.9%と、小池知事就任前の9.4%から上昇していることも分かる。

その意味では若干ではあるが「活発になったのでは?」との印象も受ける。

小池知事就任以降は議会ごとに都議会による条例案の提案が増えている

図表: 都議会議案内容別割合

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出典: 都議会議事録等から筆者作成

議員提出議案の内容についても内訳を見る。

小池知事就任前に47.5%と最も多くを占めていたのが意見書であり、条例案は31.3%でしかなかったのに対して、小池知事就任後には条例案の提出が47.6%と最も多くを占め、意見書は38.1%になっているのもいい傾向に感じる。

図表: 都議会議案内容別割合の経年変化

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出典: 都議会議事録等から筆者作成

経年で件数も比較してみると、条例案の提出は増加傾向に、意見書は大幅に減っているように見える。

小池知事が就任してからはまだ3定例会しか行っていないため単純な比較はできないが、その3回の推移を見ても議員提出の条例案は毎回増えている。

次回の2017年第3回定例会は、7月の選挙直前の6月になるため、議員たちが選挙活動にウェートを置いて議会活動が対応できなくなるのか、それとも選挙という意味でも議会での活躍にウウェートを置くのかという点についても注目である。

図表: 議会ごとの都議会議案内容別割合

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出典: 都議会議事録等から筆者作成

行政チェックについて、小池知事就任以降は1件に付帯決議が付いたものの100%が原案可決

図表: 都議会議案議決結果別割合

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出典: 都議会議事録等から筆者作成

これまでも議会の役割として、もう一方の「行政チェック」についても指摘してきた。

今回の調査においても、前回の都議選からの4年間の活動データを見ると、知事提出議案の99.6%が原案そのまま可決しており、否決された議案は1つもなく、行政による撤回が0.2%、付帯決議が付いての原案可決が0.1%、継続審査となったものが0.1%だけだった。

こうした行政チェックにおいても、小池知事就任後は改善が見られるのではないかとデータを見てみた。

すると、原案可決は99.4%と見えるが、実際には、155議案の内154件が原案可決、1件は付帯決議がつけられているものの原案可決だった。

付帯決議が付けられるようになったことを議会の進歩と捉えることもできるが、逆に結果だけ見ていえば100%が原案通過しているということになる。

かつては「改革首長の自治体が議会活性化」と言われた

一昔前にはなるが、かつては「改革首長の自治体が議会活性化」と言われた。

その代表的な例が、北川正恭 県知事時代(1995年4月〜2003年4月)の三重県議会だったように思う。現在、早稲田大学マニフェスト研究所顧問を務める北川氏は、流行語大賞の受賞も含めて日本に「マニフェスト」を根付かせた方だが、同時に、それまで議会と首長との関係を改めたことで、議会は自らの改革を進め、代表的な改革先進議会となった。

その後も三重県議会では、地方分権の時代にふさわしい都道府県議会のあり方について調査研究を進めるなどを目的に、2003年に全議員をその構成員とした常設の組織として議会に「議会改革推進会議」を設置、三重県議会基本条例の制定、さらに同条例の基本方針に示された「議会改革の推進」の実現に向けて議会改革推進会議も条例に位置付け、現在も議会改革に継続的に取り組んでいる。

こうした三重県議会の議会改革に向けた様々な取り組みについては、ホームページhttp://www.pref.mie.lg.jp/KENGIKAI/07686011829.htm)にも掲載されており、非常に参考になる部分も多い。

議会改革についてあまり触れてこなかった東京都議会と比較してもらうと分かりやすいように思う。

2008年に当時、東京財団の研究員として、改革派首長たちと共に、海外調査なども行いながら「分権時代の地方議会改革-改革派首長からの提言-」(https://www.tkfd.or.jp/files/doc/2008-4.pdf)を提言した。以降、議会基本条例の設置などは進んだものの、地方議会のあり方そのものを改革していこうという動きは、まだまだ少ないように思うのだ。

今回の都議会議員選挙においても、議会改革に関する政策は今ひとつ議論されない。

日本の首都である東京の議会として、どういった議会であるべきなのか、その議会を担うべき議員とはどういった人材なのかと考えていく必要性があるのではないだろうか。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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