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「立法府」でしっかりと法案を作っている政党をランキングしてみると・・・

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

図表: 186国会における議員立法の提案議員数・延べ発議者数・☆獲得議員の政党別割合

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先週、『本当の「政策通議員」は誰か? 議員立法発議数ランキング』と題して、衆議院の議員定数480人、参議院の定数242人の中で、2014年の通常国会である186国会において、議員立法を提案した議員は、衆議院106人、参議院に50人しかいない事を紹介した。

「立法府」と言われる国会において、実際に議員立法に携わっている議員は、極めて少ないという実態と、その中で活躍する上位35人を「政策通議員」として一覧を公表した。

こうした背景には、様々な事があるわけだが、今回は、こうした議員立法の実態を政党別にランキングで見てみる事から考えていきたい。

議員立法でも発議者に名前を連ねた議員数は、衆参ともに自民が最多

衆議院では、対象となる186国会で議員立法に発議者として名を連ねた事のある議員106人のうち、最多は自民の33人で全体の31.1%を占めた。

次いで、議員数で11.4%しかない民主が議員立法発議者数では2倍近い22.6%に当たる24人を占め、維新の14人(13.2%)、公明も議員数の6.4%の2倍近い11.3%に当たる12人と続く。以下は、みんな8人(7.5%)、結い7人(6.6%)、生活5人(4.7%)、共産2人(1.9%)、社民1人(0.9%)となっている。

参議院でも、議員数で半数近い46.9%を占める自民が、議員立法提案議員数では24.0%と約半数にはなってしまうが、それでも最多の12人を占める。次いで民主だが、民主も議員数で23.9%を占めながらも同程度の22.0%しかなく、公明党も議員数8.2%に対して議員立法提案議員数は6.0%の3人しかいない。

議員数に比べて大きな活躍が見られるのは、議員数で5.3%しかいないにも関わらず、3倍以上の18.0%に当たる9人が議員立法提案を行っているみんなだ。次いで、3人(6.0%)で共産と無所属、2人(4.0%)で維新、生活、社民の3党が並び、結いが1人(2.0%)となっている。

指標によって、こうした政党の割合も様子が変わってくる

発議者として名を連ねた議員の延べ人数だと状況が少し変わる。

衆議院で最も名を連ねたのは、民主で延べ47人と全体の24.5%と自民を逆転して最多となる。次いで自民の36人(18.8%)、維新22人(11.5%)、公明20人(10.4%)、結いと生活が19人(9.9%)、みんな18人(9.4%)、社民9人(4.7%)、共産2人(1.0%)。

参議院でも最多は民主だった。29人と全体の26.6%をも占めた。次いでみんなの21人(19.3%)、自民の12人(11.0%)、生活10人(9.2%)、社民8人(7.3%)、改革と無所属が6人(5.5%)、結いと共産が5人(4.6%)、公明4人(3.7%)、維新3人(2.8%)と並ぶ。

NPO法人 万年野党では、『国会議員三ツ星データブック』を発行しているが、この三ツ星評価の中で、評価している議員立法発議数3回以上の☆獲得議員の人数で見るとまた様子が変わる。

衆議院で☆を獲得したのは21人。政党別の内訳は、最多が民主で7人(33.3%)、次いで公明、みんな、結いの3党が3人(14.3%)、結いと生活の2党が2人(9.5%)、社民が1人(4.8%)とした。

同様に参議院は14人で、その内訳は、民主が4人(28.6%)で最多。次いでみんなの3人(21.4%)、生活と社民の2党が2人(14.3%)、結いと改革、無所属の3党が1人(7.1%)と並ぶ。

衆参共通して言える事は、議員立法提案においても、☆獲得議員に自民が1人もいないという事だ。

自民党は、延べ人数では2位で5分の1弱を占めているにも関わらず、圧倒的に議員数が多過ぎるため、多くの議員に発議を担当してもらう必要があり、結果的に、一人当たりの数は、少なくなるという構造がある。一方で、小政党の場合、超党派で発議提案する際に政党代表として名を連ねるのが特定の議員に集中することなどもある。

成立した4件の発議者数は自民が25%と最多

今回対象となった186国会において、衆議院で提案された議員立法は46本。参議院においてはもっと少なく186国会で29本。

提出自体は閣法の81件と比べても、議員立法が75件というのは多い印象だが、閣法はその内79件が成立している事と比較すると、実際に法律になる議員立法は21件であり、さらに実際に議員が代表者として提案された法案は、4件しかないという事を先週紹介した。

この4件の法律案の発議者は、それぞれ次の通りだ。

「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案」衛藤征士郎(自民)、務台俊介(自民)、漆原良夫(公明)、安住淳(民主)、藤井孝男(維新)、渡辺喜美(みんな)、柿沢未途(結い)、宮本岳志(共産)、鈴木克昌(生活)、吉川元(社民)。

「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」船田元(自民)、中谷元(自民)、北側一雄(公明)、枝野幸男(民主)、馬場伸幸(維新)、三谷英弘(みんな)、畠中光成(結い)、鈴木克昌(生活)。

「国会法等の一部を改正する法律案」町村信孝(自民)、中谷元(自民)、大口善徳(公明)。

「学校図書館法の一部を改正する法律案」笠浩史(民主)、丹羽秀樹(自民)、稲妻久(公明)、柏倉祐司(みんな)、井出庸生(結い)、青木愛(生活)、吉川元(社民)となっている。

この4件の成立法案の発議者の割合を政党別に見ると、以下の様になる。

図表: 186国会 成立法案の発議者政党別割合

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今回対象となった186国会において、衆議院で議員立法提案者として名前を連ねた議員数は延べで192人になるが、1年前の2013年通常国会である183国会では283人が名を連ねていた。ただでさえ少ない議員立法発議者だが、さらにこの1年で91人も減ってしまっている。こうした状況は、参議院も同様であり、183国会で161人だったものが、186国会では109人と52人減少している。衆議院参議院ともに議員立法提案者は、約3分の2まで減っているという事には、大きな問題を感じる。

是非、こうした国会の役割についても皆さんに考えて頂くとともに、この議員立法についてもどういった議員が活躍しているのかと、注目してもらいたい。

例えば、NPO法人 万年野党では月一で行う政策カフェ。

今月は10月29日(水)に、「次代を担う若手野党議員たちに『これからの野党をどうするか?!』を問う」と題し、井坂信彦(衆議院議員・維新)、後藤祐一(衆議院議員・民主)、玉木雄一郎(衆議院議員・民主)、松田公太(参議院議員・みんな)といった野党の「政策通議員」たちにゲストとして集まってもらう。

是非こうした機会もまた、多くの方々に活用してもらいたいと思う。

また、今、まさに行われている臨時国会(187国会)を対象に、みなさんにも参加して頂ける質問の「質」の評価も行っている。国会での議論が、私たち国民の立場に立った、国民のための政策議論になる様、皆さんには、是非、厳しい目で監視してもらいたい。

こうした評価から、皆さんも国会の監視に加わってみてはどうだろうか。

(※所属政党については、186国会時点のもの)

*政策カフェ

「政策カフェ」は、政策通の政治家、政策に関わる専門家(研究者・ジャーナリスト・官僚等)、政策に関心を有する経営者・ビジネスマン等が、党派や立場を超えて、ドリンクを片手に、料理をつつきながら、政策談義・意見交換をできるような場を作ろうとの企画です。月1回(時間帯は18~20時半予定)、丸の内、虎ノ門近辺にて、出入り自由で政治家、専門家等が気軽に立ち寄ることのできる場を設けたいと考えています。

◇日時: 10月29日(水)18時~20時半

◇場所: MARUNOUCHI CAFE 倶楽部21号館(丸の内)

◇来場予定者:

井坂信彦(衆議院議員・維新)

後藤祐一(衆議院議員・民主)

玉木雄一郎(衆議院議員・民主)

松田公太(参議院議員・みんな)

※ ほか政策通国会議員調整中

原英史(株式会社政策工房社長)

磯山友幸(経済ジャーナリスト)ほか

◇募集人数: 30人限定

◇料金

一般参加者: 8千円

NPO法人「万年野党」会員および国会議員(ゲスト以外): 3千円

※ 万年野党の会員(現在会費3千円)への入会はこちらから

※ 料金にはドリンク(ビール・ワイン・ソフトドリンク等)・食事を含みます。

◇主催: NPO法人万年野党

◇参加申込み: 詳しくは、NPO法人 万年野党ホームページをご覧ください。

*187国会版『国会議員「質問力」評価』

国会議員の政策活動に関する情報は十分ではなく、メディアの報道は政局に終始しがちです。

選挙において国民がより適切に一票を投ずるためにも、国会議員の政策活動について、より的確な情報分析・提供が重要と考えます。

このため、全国会議員を対象に『187国会版 国会議員「質問力」評価』を行うこととしました。

今回実施する「国会議員質問力評価」では、同僚の「国会議員」や「官僚・元官僚」、「政策専門家」に加えて、会員(有権者等)のみなさんにも評価いただきます。みなさんが、動画やテレビ中継、傍聴などでご覧になった、国会議員の質問を評価し、1件からで結構です。評価は、1~5点で評価し、評価ポイントをコメントしていただく形で行っています。

NPO法人 万年野党ホームページをご覧いただき、評価シートをFaxでお送りください。

評価結果は、各国会議員につき、上記1)~4)の評価結果(平均点数など)を整理し、整理したものから随時公表していく事を予定しています。

なお、評価については、それぞれの被評価者ごとに、評価者数と平均評価点のみを公表し、誰が何点をつけたかは非公開とします。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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