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「データで見る国会議員の評価」~最新、国会議員の質問回数ランキングを公開~

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

1月から6月まで行われた最新の2014年通常国会のランキング

いよいよ先週から臨時国会(187国会)が開会となった。この機会に、政治や国会に関心を持ってもらっては、どうだろうか。そのキッカケの1つに、国会議員を活動データを元に評価したランキングを紹介したい。

あくまでも1つの評価軸でしかないが、テレビなどでよく目にする議員ばかりが必ずしも優秀な国会議員であるとは限らない、人知れずも国民のためにと熱心に働いている国会議員もいる。こうした国会議員にも目を向けてもらうキッカケにもなればと思う。

国会議員の質問については、その「質」についても重要であるが、今回も、まずは、回数という客観的なデータで、どんな議員が活躍しているのかを知ってみてはどうだろうか。

最新の2014年1月から6月まで行われた通常国会(186国会)での、国会議員質問回数ランキングの上位を紹介する。

186国会において、衆議院で最も多く質問したのは、54回の塩川鉄也 議員(共産・比北関東)。次いで2位は、42回の中島克仁 議員(みんな・比南関東)、3位は、39回で井坂信彦 議員(結い・比近畿)だった。

質問回数1位だった塩川議員は、1961年生まれの52歳。東京都立大学卒、日高市役所職員、党職員を経て2000年に初当選、現在5期。党の中央委員、経済産業部会長、総務部会長(郵政担当)などを務める。これまでの質問回数の推移を見ると、1年前の2013年通常国会では質問回数47回の2位、臨時国会でも18回の4位と、常に上位の常連でもある。

2位の中島議員は、1967年生まれの47歳。帝京大学卒、開業医を営みながら2012年に初当選、現在1期。党の政調副会長などを務める。2013年の通常国会で20回の23位、臨時国会で10回の18位と少しずつ順位を上げ、今回一気に2位となった。

3位の井坂議員は、1974年生まれの40歳。京都大学卒、神戸市議会議員、全国若手市議会議員の開会長などを経て、2012年に初当選、現在1期。2013年の通常国会で20回の23位、臨時国会で5回の57位から一気にジャンプアップとなった。

今回の上位3人を見ると、1位こそ上位常連の塩川議員だったが、2位3位には、1期生が並んだ。こうした新しい議員が活躍しているという事も、データから明らかにする意味はあるのではないかと思う。

参議院も1期生が活躍

一方で、参議院についても見ていこう。186国会で最も多く質問したのは、59回の福島みずほ 議員(社民・比例)。次いで2位は、40回の東徹 議員(維新・大阪)、3位は、37回で田村智子 議員(共産・比例)だった。

質問回数1位だった福島議員は、1955年生まれの58歳。東京大学卒、弁護士を経て、1998年に初当選、現在3期。2003年から2013年までは、社民党党首を務めたほか、2008年には社会主義インターナショナル副議長も務めた。これまでの質問回数の推移を見ると、1年前の2013年通常国会では質問回数34回で1位、臨時国会でも14回の1位と、NPO法人 万年野党が毎議会ごとの『国会議員三ツ星データブック』を発行し始めてから、3期連続で質問回数1位を取り続けている。

2位の東議員は、1966年生まれ、48歳。近畿大学卒、大阪府議会議員を経て、2013年に初当選、1期。2013年の通常国会の際はまだ当選しておらず、初議会の2013年臨時国会で質問回数6回で15位となり、今回、一気に2位となった。

3位の田村議員は、1965年生まれ、49歳。早稲田大学卒、党職員を経て2010年に初当選、現在1期。2013年の通常国会で28回の3位、臨時国会で4回の31位と、通常国会では2年連続で3位となった。参議院では、このランキングでは、毎回1位は、福島議員になってしまっているが、衆議院同様に2位3位は1期生が並んだ。

衆参の国会議員質問回数ランキングの上位結果については以下の通りだ。

<衆議院>

順   議員     党   選挙区   回数

1位.塩川鉄也 議員 (共産  ・比北関東) 54回

2位.中島克仁 議員 (みんな ・比南関東) 42回

3位.井坂信彦 議員 (※結い ・比近畿)  39回

4位.大熊利昭 議員 (※みんな・比東京)  38回

高橋千鶴子 議員(共産  ・比東北)  38回

6位.柏倉祐司 議員 (みんな ・比北関東) 35回

林 宙紀 議員 (結い  ・比東北)  35回

8位.笠井 亮 議員 (共産  ・比東京)  34回

佐藤正夫 議員 (みんな ・比九州)  34回

10位.赤嶺政賢 議員 (共産  ・比九州)  33回

11位.青木 愛 議員 (生活  ・比東京)  32回

三谷英弘 議員 (みんな ・比東京)  32回

13位.小池政就 議員 (※結い ・比東海)  31回

畑 浩治 議員 (生活  ・比東北)  31回

15位.井出庸生 議員 (※結い ・比北信越) 30回

椎名 毅 議員 (※結い ・比南関東) 30回

17位.宮本岳志 議員 (共産  ・比近畿)  29回

18位.玉木雄一郎 議員 (民主 ・香川2)  28回

19位.足立康史 議員 (※維新 ・大阪9)  26回

玉城デニー 議員(生活  ・比九州)  26回

村上史好 議員 (生活  ・比近畿)  26回

22位.吉川 元 議員 (社民  ・比九州)  25回

23位.青柳陽一郎 議員(※結い ・比南関東) 24回

近藤洋介 議員 (民主  ・比東北)  24回

重徳和彦 議員 (※維新 ・比東海)  24回

中根康浩 議員 (民主  ・比東海)  24回

松田 学 議員 (※維新 ・比南関東) 24回

28位.杉本かずみ 議員(みんな ・比東海)  22回

中野洋昌 議員 (公明  ・兵庫8)  22回

30位.大西健介 議員 (民主  ・比東海)  21回

小熊慎司 議員 (※維新 ・比東北)  21回

穀田恵二 議員 (共産  ・比近畿)  21回

33位.高橋みほ 議員 (※維新 ・比北海道) 20回

34位.伊東信久 議員 (※維新 ・大阪11)  19回

35位.稲津 久 議員 (公明  ・北海道10) 18回

今井雅人 議員 (※維新 ・比東海)  18回

河野正美 議員 (※維新 ・比九州)  18回

後藤祐一 議員 (民主  ・比南関東) 18回

鈴木 望 議員 (※維新 ・比東海)  18回

鈴木義弘 議員 (※維新 ・比北関東) 18回

中丸 啓 議員 (※維新 ・比中国)  18回

柚木道義 議員 (民主  ・比中国)  18回

<参議院>

順    議員    党   選挙区    回数

1位.福島みずほ 議員(社民  ・比例)   59回

2位.東  徹 議員 (維新  ・大阪)   40回

3位.田村智子 議員 (共産  ・比例)   37回

4位.山田太郎 議員 (みんな ・比例)   33回

浜田和幸 議員 (無所属 ・鳥取)   33回

小池 晃 議員 (共産  ・比例)   33回

仁比聡平 議員 (共産  ・比例)   33回

8位.藤巻健史 議員 (※維新 ・比例)   31回

井上哲士 議員 (共産  ・比例)   31回

10位.又市征治 議員 (社民   ・比例)   30回

11位.石川博崇 議員 (公明  ・大阪)   29回

12位.中西健治 議員 (みんな ・神奈川)  28回

吉田忠智 議員 (社民  ・比例)   28回

渡辺美知太郎 議員(みんな・比例)   28回

15位.主濱 了 議員 (生活  ・岩手)   27回

松沢成文 議員 (みんな ・神奈川)  27回

辰已孝太郎 議員(共産  ・大阪)   27回

薬師寺みちよ 議員(みんな・愛知)   27回

19位.吉良よし子 議員(共産  ・東京)   26回

寺田典城 議員 (結い  ・比例)   26回

21位.清水貴之 議員 (維新  ・兵庫)   25回

儀間光男 議員 (維新  ・比例)   25回

松田公太 議員 (みんな ・東京)   25回

24位.アントニオ猪木 議員(維新・比例)   23回

紙 智子 議員 (共産  ・比例)   23回

長沢広明 議員 (公明  ・比例)   23回

和田政宗 議員 (みんな ・宮城)   23回

※国会議員の活動データを集積する会のデータより作成

質問回数を大幅に増やした「急成長議員」にも注目して欲しい

今回は、議員個々の質問回数に着目して書いて来たが、万年野党では、2013年の通常国会(183国会)から毎議会ごとの活動データを集積しており、この昨年の通常国会との比較で質問数を増やした、いわゆる「急成長議員」についても、紹介していきたいと思う。

ランキングというと、どうしても上位の入賞者ばかりに目が行きがちだが、国会の活性化という側面から考えれば、こうして活動を活性化させていっている議員にもまた目を向けてもらいたいと思う。

183国会と186国会の質問数の増加数を見てみると、最も質問回数を増やしたのは、+24回で、青木愛 議員(生活・比東京)だった。2位は+23回で、柏倉祐司 議員(みんな・比北関東)、3位は+22回で中島克仁 議員(みんな・比南関東)、4位は+19回で、井坂信彦 議員(結い・比近畿)と吉川元 議員(社民・比九州)、青柳陽一郎 議員(結い・比南関東)の3人が並ぶ。7位は+18回で大熊利昭 議員(みんな・比東京)、8位は+17回で林宙紀 議員(結い・比東北)、9位は+16回で佐藤正夫 議員(みんな・比九州)、10位は+15回で井出庸生 議員(結い・比北信越)と並ぶ。

増加率で見ると、また様子がだいぶ変わる。

最も増加率が多かったのは、一気に質問回数を1回から7回へと7.0倍とした中川正春 議員(民主・三重2)。2位は6.5倍で細野豪志 議員(民主・静岡5)、3位は5.0倍で鈴木貴子 議員(大地・比北海道)、4位は4.8倍で青柳陽一郎 議員(結い・比南関東)、5位は4.2倍で吉川元 議員(社民・比九州)、6位は4.0倍で青木愛 議員(生活・比東京)、7位は3.8倍で大串博志 議員(民主・比九州)、8位は3.6倍で鈴木義弘 議員(維新・比北関東)と鈴木望 議員(維新・比東海)、10位は3.3倍で渡辺周 議員(民主・静岡6)となっている。

参議院の場合、選挙により議員が大幅に入れ替わっているため、昨年の通常国会である183国会にも在籍していた議員を対象に、183国会と186国会の質問数の増加数を見て行く事にする。

最も質問回数を増やしたのは、+25回で質問回数でもトップだった福島みずほ 議員(社民・比例)だった。2位は+21回で秋野公造 議員(公明・比例)、3位は+20回で又市征治 議員(社民・比例)と石川博崇 議員(公明・大阪)の2名、5位は+19回で室井邦彦 議員(維新・比例)と若松謙維 議員(公明・比例)の2名、7位は+17回で浜田和幸 議員(無所属・鳥取)、8位は+16回で平野達男 議員(改革・岩手)、9位は+13回で佐藤正久 議員(自民・比例)、10位は+12回で山田太郎 議員(みんな・比例)と風間直樹 議員(民主・新潟)の2名となった。

186国会では、参議院の場合、質問数全体が1.5倍に増えている事もあり、183国会との比較で151人もの議員が質問数を増やした。質問数を増やしたベスト10のうち、公明党が最も多い3名が入っているというものも特徴と言える。ちなみに次に多いのが社民の2人、自民、民主、維新、みんな、改革、無所属が1名ずつ入った。野党が活躍する事の多い質問数の中で、自民党からランクインの佐藤正久 議員、公明党の秋野公造 議員、石川博崇 議員、若松謙維 議員は、大健闘と言える。

ちなみに増加率で見ると、また様子がだいぶ変わる。

最も増加率が多かったのは、8.0倍と一気に質問回数を1回から8回へと増やした加藤敏幸 議員(民主・比例)。2位は6.5倍で、風間直樹 議員(民主・新潟)、3位は6.0倍で、牧山ひろえ 議員(民主・神奈川)、4位は4.5倍で、相原久美子 議員(民主・比例)と大島九州男 議員(民主・比例)、吉川沙織 議員(民主・比例)の3人が並んだ。以下7位は4.0倍で、山本順三 議員(自民・愛媛)、8位は3.5倍で、増子輝彦 議員(民主・福島)、9位は3.2倍で、石川博崇 議員(公明・大阪)、10位は3.0倍で、又市征治 議員(社民・比例)と西田昌司 議員(自民・京都)、江島潔 議員(自民・山口)、大家敏志 議員(自民・福岡)、郡司彰 議員(民主・茨城)と5人が並んだ。

ベスト10に入った14人のうち、上位6人を含む8人が民主と圧倒的だったが、一方で、自民も4人、公明1と与党の議員も健闘している。とくに、自民の山本順三 議員、西田昌司 議員、江島潔 議員、大家敏志 議員は大成長と言えるのではないか。公明の石川博崇 議員は、増加回数と共にベスト10に入る大活躍だった。

国会質問の活性化と、質問の「質」に関するチェックが求められる

今後も、こうしたデータを見る際には、是非、こうした「成長議員」にも目を向けてもらいたい。

国会の活性化の為には、もちろん積極的に質問する事も重要と言える。今回紹介した「成長議員」などにも注目してもらいながら、国会の活性化に向けて皆さんにもチェックしてもらうキッカケになれば幸いだ。

また、国会を「質」を高めて行くという視点では、もちろん質問の「質」についても重要であり、これまでもNPO法人 万年野党では、「国会議員質問力評価」に取り組んで来たが、先週から始まった臨時国会(187国会)では、全議員を対象とした「国会議員質問力評価」を始めた。是非、こうした取り組みにも参加してもらえればと思う。

この臨時国会を、是非、国民(有権者等)が国会議員の質問の「質」を評価する最初の国会にしよう。

187国会版『国会議員「質問力」評価』

国会議員の政策活動に関する情報は十分ではなく、メディアの報道は政局に終始しがちです。選挙において国民がより適切に一票を投ずるためにも、国会議員の政策活動について、より的確な情報分析・提供が重要と考えます。このため、全国会議員を対象に『187国会版 国会議員「質問力」評価』を行うこととしました。今回実施する「国会議員質問力評価」は、国会質問についての質的な評価を目的とし、以下の評価方法(いずれも点数方式で評価)を実施します。

1)同僚国会議員による評価

2)官僚・元官僚(匿名の評価者を当会議にて選考)による評価

3)政策専門家(評価者10名程度を当会議にて選考)による評価

4)会員(有権者等)による評価

評価結果は、各国会議員につき、上記1)~4)の評価結果(平均点数など)を整理し、整理したものから随時公表していく事を予定しています。なお、1)の評価については、それぞれの被評価者ごとに、評価者数と平均評価点のみを公表し、どの国会議員の方が何点をつけたかは非公開とします。

趣旨をご理解の上、ご協力頂きますよう、よろしくお願いいたします。

詳しくは、NPO法人 万年野党ホームページをご覧ください。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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