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国会には質問も質問主意書提出も議員立法もしない“ゼロ議員”が少なからずいる

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

★国会で質問しないオールゼロ議員にはあの大物議員も★

先日書いた『データでわかった「三ツ星議員」を公開する』では、2,000を超える「いいね!」と「RT」など、多くの反応をいただいた。今回は、その際コメントとして多かった「逆に質問をしない議員は、どうなっているのか」、「質問回数など量の評価だけでいいのか」といった点について、書いておく事にする。

図表1:質問回数・質問趣意書・議員立法オールゼロ議員政党別割合(人 183国会)

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『国会議員三ツ星データブック』で調べた質問回数・議員立法提案数・質問主意書提出数といった国会議員の活動データの集積によって、積極的に活動した議員を「三ツ星議員」として評価する一方で、質問回数・議員立法・質問主意書のどの回数もがゼロで、大臣・副大臣・政務官など政府の役職や委員会の委員長などにもついていない議員、つまり「オールゼロ議員」とも言える議員がいる。

今回は、とくに昨年2013年の通常国会である第183国会におけるデータを元に、その実態について紹介しておきたい。

このデータで見た所、「オールゼロ議員」とも言える議員は、衆議院に43人、参議院に15人、計58人いた。衆参それぞれを政党別にその割合を見ると、衆議員では、自民が83.7%とそのほとんどを占め、民主4.7%、公明2.3%、生活2.3%、無所属7.0%となっている。参議院については、そこまで極端ではないが、自民60.0%、民主6.7、維新6.7、公明6.7、無所属20.0となっている。

これを見ても圧倒的に自民が多い事が分かるが、この一つには、議員が多過ぎるため政党ごとに質問時間等を配分しても、圧倒的に増えた1期生をはじめ、その一人ひとりにまで、質問機会を配分仕切れない環境がある事なども分かる。期数や年齢による分析については、また別に書こうと思うが、一方で、与党に限らず野党においても、元総理や元代表など「大物」と言われる様な議員も多い。

国会での活動は、必ずしもこうしたデータで表せる様なものばかりではない。とくに与党においては、その政策形成のプロセスは、国会に出る前の党内での議論の中で決まってしまう実態もあり、こうした実態を考慮すれば、党内での議論における活動についても評価に加えるべきではないかとの声をもらう事もある。

しかし、そうは言っても、国会は国会である。仮に、党内での活動や、こうしたデータにおける活動の評価以外の活動を積極的に行っている議員がいたとしても、その議員が、だからといって国会の中で、こうした活動をしなくてもいいという事にはならないのではないだろうか。

『国会議員三ツ星データブック』の中では、こうした議員も含め、全議員の活動データを公表している。ここではあえて名前は出さないが、こうした議員を見つけるのも『国会議員三ツ星データブック』の使い方かもしれない。

現在行われている第186国会についても、会期が終了次第、そのデータを集積し、議会ごとに『国会議員三ツ星データブック』<【リンク】http://yatoojp.com/2014/02/28/491/>として発行していく。

テレビの露出度や見た目の格好良さ、歯切れのいい物言い、選挙の時の魅力的なささやきだけを基準にするのではなく、こうした過去の客観的な国会議員の活動データをもまた、きちんと検証し、選挙の際などの判断に加えてもらえればと思っている。

★国会議員質問力評価の最終結果★

もう一つ、国会議員の評価が「質問回数など量の評価だけでいいのか」という問題についても書いておく事にする。

すでに『2014年国会議員の「質問力」ランキング。中間速報1位は塩崎恭久氏、最下位は石原慎太郎氏』で中間報告も行ったが、NPO法人「万年野党」では、任意団体立ち上げ当初から、国会議員の活動データの収集とともに、国会議員の質問の「質」の評価についても試行錯誤しながら行ってきた。

今年2014年にもNPO法人「万年野党」では、『国会議員質問力評価』と題し、この国会議員の質問の「質」の評価を行っている。今回のこの『国会議員質問力評価』の対象は、今年1月から始まった通常国会である第186国会の会期冒頭および本予算審議冒頭の衆参予算委員会各2日間の計8日間を対象として行った。

今回対象となった議員は70人。その内訳は、民主が一番多く25.7%、次いで自民が20.0%、維新が18.6%、みんなが10.0%、公明8.6%、共産5.7%、結い、社民、生活、改革は共に2.9%だった。

図表2: 国会議員質問力評価 ランキング順政党割合

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今回、『国会議員質問力評価』で、10位以内の議員の政党割合を見ると、最も多かったのは、みんなで30%、共産と結いが共に20%、自民、民主、維新が10%だった。

対象議員の64.3%を占める民主・自民・維新の計が、その半分以下の30.0%になっている。こうした質問の質についても、こうしてデータで見てみるのも面白い。

11〜20位までは、民主が半数の50%を占め、維新が20%、自民、公明、みんなが10%。

21〜30位までも民主が50%を占め、自民20%、公明、維新、みんなが10%。

それ以下も31〜40位までは、公明30%、民主と維新が20%、自民、共産、生活が10%。

41〜50位までは、維新が40%、自民が20%、民主、共産、みんな、生活が10%。

51〜60位までは、自民が40%、民主が20%、公明、みんな、社民、生活が10%。

61〜70位までは、自民と維新が30%、民主は20%、社民と改革が10%となっている。

図表3: 国会議員質問力評価 政党別ランキング割合

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同じデータも見方を変えると見え方も変わってくる。

質問者が18人と最も多かった民主を順位の割合を見ていくと、最も多かったのが、「11〜20位」と「21〜30位」が27.8%で、この2つで半数以上を占める。次いで「31〜40位」、「51〜60位」、「61〜70位」は11.1%、「1〜10位」、「41〜50位」は5.6%だった。

一方で、自民は、最も多かったのが、「51〜60位」が28.6%、次いで「61〜70位」で21.4%と、逆にこの2つで半数を占める。次いで、「21〜30位」と「41〜50位」で共に14.3%、「1〜10位」、「11〜20位」、「31〜40位」は7.1%だった。

こうして見ると、極端にいいのが、結いだった。対象が少ないという事もあるが、結いは、100.0%が「1〜10位」になっている。逆に社民と改革は、「51〜60位」「61〜70位」が共に50.0%と、この2つで100%となる顕著な結果となった。

その他の政党も、政党ごとのカラーが出ている。公明は、最も多かったのが「31〜40位」で50.0%と半数を占め、「11〜20位」、「21〜30位」、「51〜60位」が16.7%と分散している。「1〜10位」もいないが、「61〜10位」もいないのも特徴と言える。維新は、最も多かったのが、「41〜50位」で30.8%、「61〜70位」が23.1%いる反面、「11〜20位」と「31〜40位」に15.4%、「1〜10位」と「21〜30位」にも7.7%いる。

今回はこうした政党ごとの割合だけにして、この『国会議員質問力評価』で10位以内に入った議員については、質問の「質」についての「三ツ星議員」として、5月26日に行う『万年野党“結党”大会』で発表し、さらに、『国会議員三ツ星データブック』の「三ツ星議員」とともに、受賞議員として表彰を行う事にしたい。すでに、塩崎恭久 元官房長官・衆議院議員・自民党、柿沢未途 衆議院議員・結いの党、中西健治 衆議院議員・みんなの党などの議員に参加していただく事が決まっている。さらに三ツ星議員などにお声掛け中だ。

田原総一朗氏、宮内義彦氏、竹中平蔵氏、堺屋太一氏、磯山友幸氏、橘川幸夫、高橋洋一氏、原英史氏、野村修也、ロバート・フェルドマン、八代尚宏といった万年野党の役員も参加して、国会や政治をいかにリストラ(再構築)していくのか、今後の展望を討論する。

閉塞感の中にあるこの国を何とかしたいと思っている人にこそ、是非、『万年野党“結党”大会』に集まってもらいたいと思う。

NPO法人万年野党 設立記念イベント

日時: 2014年5月26日(月)18時から

場所: スターライズタワー

〒105-0011 東京都港区芝公園4-4-7 東京タワーメディアセンター内

第一部 18:00-19:00

万年野党“結党”大会 「国会リストラ会議」

NPO法人万年野党は、国会において野党が本来果たすべき役割が果たされていないことを憂い、これを担うべく創設されました。

“結党”大会では、会長(田原総一朗)、理事長(宮内義彦)ほか関係者が集まり、当NPOの活動を通じて、国会や政治をいかにリストラ(再構築)していくのか、今後の展望を討論します。

また、会議内で、これまで行なってきた「国会議員の評価」の結果発表および表彰も行ないます(対象議員は会場にお招きします)。

第二部 19:00-20:30

「政策カフェ@東京タワー」

万年野党では、国会議員、政策に関わる専門家(研究者・ジャーナリスト・官僚等)、政策に関心を有する経営者・ビジネスマン等が、党派や立場を超えて、ドリンクを片手に、料理をつつきながら、政策談義・意見交換をできる「政策カフェ」を運営することにしています。

6月以降は丸の内にて定期開催(月1回)予定ですが、今回は、関係者が集結して東京タワーにて開催します。

参加予定

田原総一朗 ジャーナリスト <NPO法人万年野党会長>

宮内 義彦 オリックス会長・グループCEO <NPO法人万年野党理事長>

竹中 平蔵 慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所所長

堺屋 太一 作家

磯山 友幸 経済ジャーナリスト

橘川 幸夫 デジタルメディア研究所所長

高橋 洋一 嘉悦大学教授

高橋 亮平 中央大学特任准教授

野村 修也 中央大学法科大学院教授・弁護士

原  英史 政策工房代表取締役

ロバート・フェルドマン モルガン・スタンレーMUFG証券(株)・チーフエコノミスト

八代 尚宏 国際基督教大学客員教授

このほか、万年野党関係者、国会議員、その他多くの方々の参加を予定しています。

<国会議員>

塩崎 恭久(自民)

柿沢 未途(結い)

中西 健治(みんな)

ほか(三ツ星議員などにお声掛け中)

特定非営利活動法人「万年野党」

Facebook: /yatoojp

Twitter:  @yatoojp

事務局長 高橋亮平

Facebook: /ryohey7654

Twitter:  @ryohey7654

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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