定期預金金利が100倍になった?これからは銀行にお金を預けるべき?
メガバンクの定期預金金利が100倍になったというニュースがありました。日本銀行が金融政策の見直すことを示唆し、日本の長期金利が上昇しました。この影響で、メガバンクでは10年定期預金の金利を0.002%から0.2%に変更したという内容です。
■銀行にお金を預けるなら個人向け国債を買おう
ようやく銀行に金利が戻ってきたと感じる人もいるかもしれません。おそらく、金融機関は定期預金獲得のためキャンペーンを展開するでしょう。ただ、0.2%ですからどちらかというとゼロに近い金利です。
定期預金を検討する人に薦めたいのは個人向け国債です。どこで買えるのでしょう?実は、どこの金融機関でも買えます。財務省のホームページを見ると、取扱機関としてみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行などの都市銀行(メガバンク等)の他、地方銀行、信託銀行、農業協同組合、信用組合、信用金庫、ゆうちょ銀行、証券会社と記載があります。
本稿執筆時点(2023/11/4)で、個人向け国債は変動10年(0.51%)、固定5年(0.33%)、固定3年(0.09%)となっています。
銀行の定期預金が0.2%だとしても、個人向け国債の変動10年、固定5年の方が金利は高くなっています。これは、銀行に定期預金として資金を預けると、銀行側は国債のような安全性の高い金融商品で資金を運用します。すると、銀行側の利益を抜かなければならないため、市場金利が上昇しても、定期預金という商品として発売される段階では金利が低くなってしまいます。
また、既出の金融機関であればどこでも個人向け国債を購入できるはずですが、販売しても大して販売者利益が得られないと考えられるため、わざわざ提案をする可能性は低いのです。つまり、消費者が自分で情報を得て、自ら投資したい旨を伝えなければ、出会うことのできない商品です。
金融リテラシーというのは、このような情報を自分で理解することを指し、iDeCoやつみたてNISAで投資をするだけでは高まりません。今、金融機関の窓口を訪ねると、iDeCoやNISAの勧誘があると筆者のクライアントから相談があるのですが、円建ての金利が回復基調にある今、知識もないのにiDeCoやつみたてNISAを始める必要があるのでしょうか。
■外貨預金の高金利におもわず釣られてしまう表示
最近気になるのが、ネット銀行等での外貨預金金利が異常に高いことです。明らかに赤字になる金利設定です。ある銀行では、6か月の外貨定期に9.0%の利息がつくとあります。実際は、6か月しかありませんが、金利は半年分しか受け取れませんので、4.5%相当になります。
現在のアメリカの金利を見ても、3か月国債、6か月国債の利回りは5%台です。一年で9.0%運用できる環境ではありませんので、何か裏があるのか考える必要があります。
米国債で5%で運用し、消費者に4.5%の金利を還元するのであれば、消費者にとってありがたいことです。ただ、定期の満了時に、投資性の金融商品を提案されたりと、色々と勧誘を受けることもあるでしょう。
個人的には、1年未満の定期預金の金利を年率換算で表示するのは、誤認を招くと考えます。金融リテラシーという意味では、リテラシーの低い人を誤解させることで、資金流入を計るやり方です。
他にも、まとまった資金の運用として、投資信託を購入すれば高金利の外貨預金を購入できるような、抱き合わせ販売も未だに存在します。最近は新NISAに注目が集まっていますが、顧客本位の業務運営という考え方は雲散霧消しつつあります。
いかがでしょうか。銀行の定期預金金利に魅力を感じたら、個人向け国債を買ってみるといいかもしれませんね。