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家計簿はアプリと自己流どちら?手書きがいい場合も!

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
(提供:イメージマート)

2022年は物価上昇がお財布と家計を直撃したのではないでしょうか。物価が高くなって、どうしたらいいの?とお困りのあなた。今更だけど、家計簿を作ってみませんか?家計簿を作れば家計の弱点がわかるかも知れません。家計簿アプリでお金が貯まらない人にも、自己流家計簿の人にも参考にしていただけるはずです。

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■家計簿は何のために作るの?

そもそも家計簿は何のために作るのでしょうか?唯一の正解があるわけではありませんが、家計簿づくりには理由があった方が続けやすいですから、何らかの意義や理由を考えてください。

例えば筆者が大学生のころは、アルバイトという限られた収入の中で、「やりくり」する必要があるため、支出を箇条書きにしていました。親元で生活していましたので、学校での食事代や飲み会、アルバイトでの飲食費や飲み会、衣服や雑貨の購入と「生活」に相当する支出が多く、他には携帯・PHS料金位しかありません。振り返ると、家計簿の目的は収入を超える支出にならないよう管理すること、でありました。

新社会人になると、家賃、食費、光熱費、交通費、交際費、通信費、娯楽など分類が複雑になりますが、家計簿の目的は学生時代と同様に、支出が収入を超過しないように、というものでした。いかに、上手にお金を使い切るか、が目的であったように思います。

社会人に慣れてくると、将来の何らかの使途ために「貯蓄」するという考えがでてきます。貯蓄を増やすには、支出を減らす必要があります。支出を上手に減らすために家計簿を作るようになり、少し目的が変化します。

結婚したり、子供が誕生すると、支出する「人」が増えます。今まで自由に使えたお金に収入以外の制約が発生します。すると、誰がいくら支出するか、共通の支出はいくらか、将来に備えた貯蓄額の管理が必要になります。

ある程度貯蓄が貯まると、貯蓄からの利息が発生したり、投資にお金を割り振ったりすることで、お金の管理が毎月のフローだけでなくストックに及びます。お金の管理が立体的になってくるのです。

さらに、結婚資金、子供の教育資金、住宅資金、老後資金、介護資金など、特定の目的に備えて貯蓄を分配することになり、将来に向けた時間軸が加わることで、家計簿では把握できなくなってきますが、まずはスタート地点に立つためには家計簿を作る必要があります。

■まずは、手で書いてみよう

家計簿作成において大切なことは、まずやってみること。お勧めは手書きです。最初は、記帳済みの通帳を開いて、ひと月の収入と支出を紙に書き出してみましょう。

紙に書きだす過程で、色々な想いが頭に思い浮かぶでしょう。「高いな・・」「もったいないな」「これ何だっけ?」手で書くことで、自分なりに感じたことを大切にしてください。それが、家計管理の方向性を表します。

通帳だけだと出金の履歴しか書き出せませんが、レシートが残っていれば、より細かく記録が残せます。家計簿を作成したい人は、レシートや領収証を保管しましょう。

■ひと月の支出を振り返ろう

収入と支出を紙に書き出したら、家計簿を見つめます。該当月の収支はどうなっていますか?プラスですか、マイナスですか?自分が考えている収支と整合性が取れていますか?

プラスであっても、イメージしている貯蓄額に届かなければ、どこかでお金が流れ出ていることになります。

何が原因なのでしょう。ひと月を振り返って、必要な支出と不必要だった支出が何か個々に考えるのです。

■必要な支出と不要な支出を色分けしよう

例えば、書き出した支出のうち、必要な項目は青丸で囲む。不必要だと感じる支出は赤丸で囲んでください。もしくは生きるのに必要な支出は青丸、無くても生きることのできる支出は赤丸でもいいでしょう。

このようにして、自分なりの基準を用いて支出を2つ分類してください。●●費、●●費のように分類する必要はありません。細かい分類は、家計簿作成において精神的な負担になります。どの項目にするか悩むのではなく、必要か否かのみ頭を働かせてください。

■家族に共有し、意見をもらおう

家計簿は、同居する人がいれば見てもらってください。見せたくない人が多いと思います。お金の使い方には、性格が表れます。でも、大切なことは無理に取り繕わず、あるがままを見えるようにすることです。

見てもらい、必要な支出と不必要な支出について一緒に考えてください。作成者とは異なる視点や意見がでてくるでしょう。他人の意見はシビアなものです。家族であればなおさらでしょう。配偶者や子供がいる場合には、家計の情報を公開することで、危機感も共有されます。筆者は共有を勧めます。ただ、子供に共有する場合は、どこまで共有するか検討した方がいいかもしれません。筆者は興味のある人には開示、興味のない人には非開示としていますが、見せると子どもながらにショックを受けるようです。お金を払ってもらっている、ということがわかるのでしょう。

■手書き家計簿のコツは細かすぎないこと

筆者は仕事柄、手書きの家計簿を見せてもらうのですが、家計簿のフォーマット、家計項目の分類が人によって異なるため、非常に時間がかかります。しかも、抜け漏れが多いです。

家計簿初心者は、書き出すことを1つの目標にしましょう。書き出せたことに達成感を感じてほしいのです。多くの家計簿初心者は、家計項目の分類に頭を悩ませますが、家計簿を完成させるという目標からすると、障害になります。

家計項目に分類すると、ちゃんと家計簿が作れているように錯覚します。しかし、目的はきれいに分類することでしょうか。家計簿の目的を改めて考えてほしいのです。

■3か月だけ家計簿を作成しよう

家計簿はずっと続けなければならない、と強迫観念のとらわれている人もいます。筆者も学生時代、家計簿作成の作成義務感を感じていました。

働いていたり、家事や子育ての隙間時間に家計簿を作成するのは、大変です。大変だから期限なく作成していてはストレスの源になるでしょう。

そうではなく、3か月だけ家計簿を作ってください。3か月あれば、平均的にいくらお金が出ていくかの数字がわかってきます。ひと月だけだと、たまたま支出の多い月は赤字であったり、黒字が少ないかもしれません。あるいは、たまたま支出が少なく、大幅な黒字になったかもしれません。家計簿作成を意識して、支出を減らしてしまうことは日常的にあります。

しかし、複数月にまたがると、一時的な頑張りが適用できなくなり、日常のお金の使い方が捕捉しやすくなります。

まずは、①収入と支出のバランス把握、②支出のコントロールの二点に絞って家計簿を手書きで作成することをお勧めします。

手書きで作成して家計感覚が身についてから、家計簿アプリなどを利用すると、家計の把握がうまくいくでしょう。

なお、家計簿をわざわざ買わなくても、ルーズリーフやレポート用紙、裏紙でも構いません。とりあえず、やってみる。という姿勢が重要です。この記事を読んだあなたも、ひとまず書き出すことから始めてみてください。

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お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「保険チョイス」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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