6月から7月にかけての豪雨による洪水や土砂崩れ、8月から9月、10月にかけての台風による水害、いつ起きるかわからない地震など、いつ何時自然災害が発生するかわからないのが日本列島に住む私達の宿命です。

最近では、7月の豪雨では静岡県熱海市で発生した土砂災害の他にも、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州と北海道と東北を除く地域で、大小様々な被害が報告されています。(令和3年7月1日からの大雨による被害及び消防機関等の対応状況(第29報)2021/7/21消防庁災害対策本部)

自然災害による避難指示が発令されたら、まずは命を守ることが最優先です。自宅を離れて安全な場所に避難した後、自宅が被災する可能性もあるでしょう。考えたくもありませんが、自分の家が自然災害で住むことのできない状況に陥ったら何をすべきでしょうか。

前回の記事「土砂災害など水害で被災した時に覚えておきたい損害保険の迅速な請求術」では、自助である損害保険を速やかに請求するための方法をまとめました。今回は、公助を受けるための手続きである「罹災証明書」と公的制度である「支援金」について解説いたします。

罹災証明書は何のための書類なの?

罹災証明書は、住まいが自然災害に被災したことや被害の状況について、市区町村が被害の程度を証明する書類です。国や自治体の支援制度を利用する場合、火災保険の保険金請求、税制優遇の適用などに利用されます。

自然災害に被災したことを公的に証明する書類であり、生活再建の第一歩となる証明書だと覚えておくといいでしょう。

罹災証明書は誰が発行してくれるの?

罹災証明書は、居住地の自治体が発行します。申請できる人は、被災した住まいの所有者や居住者、所有者等と同一世帯の人、代理人です。申請にあたっては本人確認書類が必要です。

片付けや家屋の修理の前に、被害状況を写真として記録しておきましょう。罹災証明書の添付資料として必要となります。家の外観、浸水等の場所(メジャーなどで何センチ浸水したか明確にするとよい)、部屋の内部、被害箇所などが写真を撮るべき箇所です。

災害が一段落したら、家の所有者か家族が自治体に申請します。申請を受けた自治体は、実地調査を行い、被害を認定します。

被害の段階は

1.全壊

2.大規模半壊

3.中規模半壊

となります。

罹災証明書があると何に使えるの?

罹災証明書が発行されると各種請求の際の添付書類として利用できます。例えば、火災保険の保険金請求では、被災したことの証明になるとともに、家屋の被害状況も確認することができます。

公的な災害支援制度である基礎支援金(最大100万円)と加算支援金(最大200万円)の請求にも必須となります。

被災年度の所得税の災害減免法に基づく全額あるいは一部免除、所得税法の雑損控除の適用、住宅ローン控除の重複適用、所得税の予定納税の減額まで、生活再建のみならず税制面でも活用できます。

被災者が支援金を受け取るまでの流れ

支援金を受け取るには、被災者生活再建支援制度の対象となる必要があります。対象となるには、市町村で全壊10世帯以上被災、都道府県で全壊100世帯以上被災、人口による被害分類などがあります。

都道府県単位で適用が決まると、都道府県から国、市町村などに適用の報告が行われます。被災者側は罹災証明書を取得後に、支援金の支給申請を行います。支援金の申請は市町村単位で受け付けた後、都道府県で取りまとめ、支援法人と呼ばれる団体に送付されます。

支援法人は、被災者(被災世帯)に対して支援金を支給した後、国に対して補助金を申請します。申請を受けた国は支援法人に対して補助金を交付する流れとなります。

一読いただいてお気づきの人もいるでしょう。申請してすぐに支援金を受け取る流れにはなっていないのです。金額としても家を建て直すことはできない金額です。したがって、公的な支援制度はあるものの、生活をもとに戻すということは困難です。

このような制度は、申請が前提になっているため知らない人は申請できません。知っている人は申請するか否かを選べますが、情報収集を行って情報を得ることが大切です。支援制度自体も改善・改良されています。この記事をご覧の方で、家族・親類、ご友人が被災地にいらっしゃる場合は、罹災証明書と支援金について教えて差し上げると喜ばれるのではないかと思います。

自然災害の発災直後は、命を守る。発災から数日から一ヶ月程度の応急救助期には火災保険金の請求、復旧・復興期である一ヶ月以降は、支援金の請求とおぼえておくと良いでしょう。