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トランプ政権と中東(3)

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

この懸念が形になったのが、5月末のトランプ大統領のサウジアラビア訪問の際の演説であった。ここで同大統領はイランを中東におけるテロの根源であるとして激しく非難した。これにサウジアラビアは安堵したことだろう。というのは、なぜテロが世界に広がるかについては、相対立する二つの見方があるからだ。一つはトランプが非難したように、イランがテロの根源であるとの認識である。そして、もう一つはテロの根源はサウジアラビアにあるとする議論である。サウジアラビアは石油収入を使って自国流の過激なイスラム解釈を世界に広げてきた。多くのマドラサ(宗教学校)やモスクがサウジアラビアの資金援助で建設され運営されてきた。それがイスラム世界全体で過激主義がはびこる背景にある。そして何よりも自国の市民に対して過激思想を普及させてきた。その証拠に2001年のアメリカ同時多発テロの実行犯の大半はサウジアラビア市民だった。

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国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

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