Yahoo!ニュース

U-15サッカーで八百長発覚、変わらぬ中国体育の病

高口康太ジャーナリスト、翻訳家
写真は上海市。街中に飾られたワールドカップのモニュメント。(写真:ロイター/アフロ)

2022年はサッカーのワールドカップイヤーでした。ドイツ、スペインという強豪を破ってグループリーグを突破した日本も大盛り上がりでしたし、36年ぶりの優勝を果たしたアルゼンチンは死人がでるほどの大変な騒ぎになったことが報じられています。

自国代表が活躍すると自然と盛り上がるのが一般的ですが、そんなことを気にせずにワールドカップを楽しんでいるのが中国。ワールドカップ出場は2002年の1回だけですが、開催期間は徹夜組が続出し、飲み屋も満員に。純粋なサッカー好きが多い……と言えるのかもしれません。

14億の人口大国、サッカーが大人気、経済成長も著しい、国のトップである習近平総書記もサッカーファンとして知られる……となると、なぜ代表が強くならないのか不思議ですが、不正や汚職、あるいは地方官僚のメンツをかけた争いなどの影響が足を引っ張っていると言われます。

今なお、その問題は変わってないのだなぁ……と改めて感じさせられたのが「U-15男子サッカーの試合で八百長、広州市サッカー協会主席に永久追放処分」というニュースです。

中国誌『財新』によると、問題の試合が行われたのは2022年8月7日。広東省運動会のU-15(15歳以下)男子サッカー決勝です。広州市代表対清遠市代表の一戦となりました。

試合は清遠市代表が優位に進め、後半途中まで3対1とリードしていました。それもそのはず、清遠市代表は、AFCチャンピオンズリーグを2度も制覇した名門クラブ「広州恒大サッカークラブ」(現名称は広州サッカークラブ)はユースで構成されています。このまま優勝するかと思いきや、後半23分から36分の13分間に怒濤の4失点。3対5と逆転負けを食らいます。

広州恒大サッカー学校。
広州恒大サッカー学校。写真:ロイター/アフロ

さすがにおかしいとの声が上がり、広東省共産党委員会紀律委員会が調査を実施したところ、八百長が判明しました。実は試合前から広州市代表に優勝させることが決まっていたのですが、若き清遠市代表は八百長の塩梅がわからず、思わずリードしてしまったのだとか。

というわけで、この12月24日、広州市サッカー協会の謝志光主席、恒大サッカー学校の王亜軍校長など八百長関係者6人にサッカー界からの永久追放という処分が言い渡されました。

中国はサッカー強化に莫大なお金を費やしています。トップリーグに大物外国人を連れてくるだけではなく、日本の部活のような青少年育成システムが効果的なのではと見ると「サッカー特色学校」という学校教育にサッカーを組み込んだ制度を作りました。2015年時点で5000校が選ばれていますが、2025年には5万校にまで増やす方針です。

(中国のスポーツ政策については、拙稿「北京五輪のグロテスク」(文藝春秋、2022年3月号に詳述しました。)

ここまでやっておきながら成果はさっぱり。八百長も相変わらず……という寂しい状況です。2026年のワールドカップはアジアの出場枠が従来の4.5カ国から8.5カ国へと増えます。中国代表を出場させるための拡大ではないかとも噂されていますが、このていたらくでは出場枠が拡大してもなお厳しい可能性も高そうです。

ジャーナリスト、翻訳家

ジャーナリスト、翻訳家。 1976年生まれ。二度の中国留学を経て、中国を専門とするジャーナリストに。中国の経済、企業、社会、そして在日中国人社会など幅広く取材し、『ニューズウィーク日本版』『週刊東洋経済』『Wedge』など各誌に寄稿している。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『現代中国経営者列伝』(星海社新書)。

高口康太の最近の記事