日本経済新聞の記事「アリババ、日本版スマホ決済延期 情報流出に懸念の声」が話題となっている。中国EC大手のアリババグループは、モバイル決済サービス「アリペイ」の日本版を計画していたが、決済情報の流出を恐れた邦銀が提携を拒み、今春開始の予定が延期されたという内容だ。

一読して大いに驚いた。

というのも、「2018年春に日本版アリペイ開始」というニュースは昨年8月に日本経済新聞自らが報じたものだ(「アリババ、日本で中国発スマホ決済 QRコード使用 」2017年8月16日) この記事を見てすぐに関係者に問い合わせたところ、「新たな動きはありません。日本版アリペイの構想自体はありますが、数カ月前に日経の取材を受けたのですが、来春にでもスタートできたらいいとこぼした言葉が今になって記事になったようです」と戸惑っている様子だった。

その後、アントフィナンシャルは方針を転換。日本版アリペイについては、「予定はない」との見解を示してきた。本日の日本経済新聞記事を受けて、改めて関係者を取材したところ、「現時点で日本版アリペイの予定はないとの立場に変わりはありません。延期との報道は誤りです」と返答している。

アリペイに代表されるモバイル決済は中国発のイノベーションとして日本でも高い注目を集めている。それだけに日本経済新聞の記事は昨夏、そして今回と話題になっているわけだが、私から見るとなにも事態は動いていないのに「紙面でだけ事件が起きている」ようにも見えるのだが。

日本経済新聞の報道を受け、アントフィナンシャルジャパンは以下のようなプレスリリースを発表している。

本日、日本経済新聞で、当社が日本人向けスマートフォン決済の提供を延期するとの報道がございましたが、本件は当社が公表した事実ではございません。アントフィナンシャル ジャパンは、日本での事業をスタートして以来、訪日中国人客に向けたインバウンド決済サービスの提供に注力しており、日本人向けスマートフォン決済の提供については、これまでも当社として正式に公表した事実はございません。

また、当該記事において、当社を通じた個人情報の漏洩に対する懸念について触れられておりますが、アント フィナンシャルグループは、自社はもちろん、パートナー企業を含め各国のルールを遵守し、消費者データとプライバシーの保護を徹底しております。

少なくとも、情報流出危惧という邦銀の主張だけをのせ、アントフィナンシャル側の主張を一切取り上げていない記事には違和感を覚えるのは間違いない。