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今秋は実質無観客により配信も。筑波大硬式野球部が目指す “ホームゲーム” での魅力発信

高木遊スポーツライター
多くの観客で埋まった昨秋の筑波大応援席(筆者撮影)

 昨秋のこと。首都大学野球秋季リーグ取材のために牛久市運動公園野球場に到着すると一塁側スタンドが水色に染まっていた。しかもその中には一般学生や周辺住民の姿もある。

 東京六大学野球などの応援合戦は見かけるが、こうした“ホームゲーム”という雰囲気がこれほど分かりやすく出ることは日本の大学野球ではあまり無いので驚いた。

連盟担当をしている大野美帆マネージャー(筆者撮影)
連盟担当をしている大野美帆マネージャー(筆者撮影)

 筑波大では数年前からリーグ戦会場として最も近い牛久市運動公園野球場での試合をホームゲームと位置付けて開催。野球部員や関係者のみならず周辺地域の住民や野球少年少女も巻き込んで、スタンドをスクールカラーのフューチャーブルーで染めようと、様々な働きかけをしている。

 2019年からはチーム内にも広報・企画部局を作って日頃からSNS での発信を積極的に行い、筑波大学アスレチックデパートメントからも全面的な協力を受けるようになって様々な広報活動や企画が可能となった。

 昨秋は応援バスツアーやスイングスピードコンテスト・ストラックアウトゲームなど様々な企画を実施。SNSではホームゲームに向けたカウントダウン動画を発信し、つくば駅・ひたち野うしく駅・牛久駅でビラ配りも行うことができた。

 連盟担当をしている大野美帆マネージャー(4年)は「多くの方にスタンドに足を運んでいただき、野球を通した繋がりが強まりました」と収穫を話す。一方で「学内の告知はしていたのですが、一般学生の来場が少なく認知度はまだ低いなと感じました」と課題も話す。

広報部局の葛山大介マネージャーと岸川昂平学生コーチ(筆者撮影)
広報部局の葛山大介マネージャーと岸川昂平学生コーチ(筆者撮影)

 こうした収穫と課題をもとにしたフィードバックや構想を練ることも学生にとって学びは多い。

 広報部局長の葛山大介マネージャー(4年)は「取りまとめや総括、計画的な発信をすることで組織をどうマネジメントするなどを学ぶことができましたし、スポーツの楽しみ方を支える側になってより知ることができました」と話す。また同じく広報部局の岸川昂平学生コーチ(3年)は「最初は恥ずかしがっていた選手たちも、積極的に協力してくれるようになりました」と部内全体の意識も変わってきたという。

 今秋は10月3日と4日に牛久で試合が行われるが一般の観客入場は禁止(※スカウトや報道、事前登録した保護者、大学、野球部OB、後援会員のみ入場可)とされたためライブ配信に力を入れる。

「近くて遠い筑波大」とも地元住民に言われたこともある川村卓(たかし)監督は、スポーツを通して大学と地域の繋がりが強くなることを期待している(筆者撮影)
「近くて遠い筑波大」とも地元住民に言われたこともある川村卓(たかし)監督は、スポーツを通して大学と地域の繋がりが強くなることを期待している(筆者撮影)

 川村卓監督はコーチング学や野球方法論を専門分野とする教授でもあるため、高精度で映像を記録するカメラが複数あり、それを3台使って首都大学野球のYoutubeチャンネルで生配信(※)する予定だ。岸川学生コーチが「これをきっかけに球場に足を運んでもらえるように認知度を上げていきたいです」と話すように、多くの人に首都大学野球の魅力を発信したいと考えている。

※筑波大の試合だけでなく2日間の全6試合を配信。開幕週と最終週は日体大がライブ配信を担当。

 こうした動きは全国各地の連盟でも広がりつつある。周辺地域や一般学生を巻き込んでいけば、大学野球はより身近になり、その魅力も伝わりやすくなっていくことだろう。

配信の準備をする部員たち(筆者撮影)
配信の準備をする部員たち(筆者撮影)

文・写真=高木遊

取材協力=筑波大学硬式野球部

スポーツライター

1988年10月19日生まれ、東京都出身。幼い頃から様々なスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、ライター活動を開始。大学野球を中心に、中学野球、高校野球などのアマチュア野球を主に取材。スポーツナビ、BASEBALL GATE、webスポルティーバ、『野球太郎』『中学野球太郎』『ホームラン』、文春野球コラム、侍ジャパンオフィシャルサイトなどに寄稿している。書籍『ライバル 高校野球 切磋琢磨する名将の戦術と指導論』では茨城編(常総学院×霞ヶ浦×明秀日立…佐々木力×高橋祐二×金沢成奉)を担当。趣味は取材先近くの美味しいものを食べること(特にラーメン)。

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