コロナ渦で、残業代頼みのやりくり家計は赤字転落! 今すぐ家計を見直す3つのステップ
なぜか給料が減っている?そのカラクリは?
先日、冬ボーナスのダウン予測について記事を寄せました。ボーナスにやりくりを依存していた家庭は、この冬からしばらくは、かなり厳しいやりくりになると思いますが、がんばって乗り切っていただきたいところです。
11/19 冬ボーナス10%減も?「厳冬」に備え、家庭内緊急事態宣言を発令せよ(GOTO行ってる場合じゃない!)
今回、もうひとつ、ウィズコロナ時代のお金の問題に生じつつある「大きな変化」を紹介します。それは「残業代が下がっている」という問題です。
皆さん、あるいは皆さんの友人で、「仕事は続けられている(クビにはなっていない)」のに「毎月の生活費は微妙に赤字になっている」という人はいないでしょうか。
実は毎月の給与明細にその秘密が隠されています。ダウンしているのは「所定外給与」です。
給与明細は決まった様式があるわけではないので、会社によって少々違いがあります(給与規程とか賃金規程も、内訳まで法律が規制しているわけではない)。しかし大まかなところを分ければ
所定内給与
と
所定外給与
に分けることができます。所定外給与というのは簡単にいえば「時間外給与」のことです。
あなたの会社がブラックでない限り、残業をすれば残業代が、休日出勤をすれば休日出勤手当が出ます(振替休日としない限り)。ところがこの「所定外」の給与、ウィズコロナ時代に減少する傾向にあるようなのです。
(参考)厚生労働省 厚生労働統計に用いる主な比率及び用語の解説
所定外給与のダウンが、家計の給与ダウンの主要因
賃金の支払額を調査している統計(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)がありますが、今年に入って新型コロナウイルスの影響が出始めた頃から減少傾向が続いています。しかもその傾向は「所定外給与」のほうで出ています。
ロイターの記事では「残業代減で7カ月連続マイナス」とタイトルが踊っています。NHKのニュースでも「6カ月連続マイナス」としています。(1月ズレているのはロイターは実質賃金、NHKは現金給与総額と採り上げる数字が違うため)。
11/6 ロイター 9月実質賃金1.1%減、残業代減で7カ月連続マイナス
11/6 NHK 1人当たり給与総額の平均 9月は26万円余 6か月連続マイナス
全体としては前年比1.1%となっていますが、「残業代など所定外給与は同12.0%減の1万6761円(ロイター)」ですから、明らかに残業代のほうが大幅ダウンです。
理由ははっきりしています。「コロナ禍による企業業績低迷で所定外労働時間が前年比12.5%減と大幅に減少したのが響いた(ロイター)」ことが、そのまま所定外給与の金額に反映されているようです。
つまり「残業時間マイナス→残業代マイナス」の連鎖が働いたというわけです。
厚生労働省 毎月勤労統計調査
残業抑制はテレワークでも生じる
残業時間の抑制は、仕事が減ると生じます。売り上げが下がった場合には残業をさせませんので、その分所定外給与のダウンとなります。
あるいは職場の感染対策などの理由で残業を禁止し定時退社を促した場合、これも所定時間内で業務が終了しているため残業代は支払われません。
また、ウィズコロナ時代にはピンとこない形でその「残業ゼロ」になっていることがあります。テレワークです。
テレワークに切り変わった会社では、残業代の支給が減少する傾向があるようです。勤務開始と勤務終了をメールや電話、あるいはWEB経由の管理ツールなどを使って始業時間と就業時間を管理するため、「会社にいる時間」を残業代のカウントにすることができません。
会社にいた場合、最後はだらけながらも21時までやったとします。実は1時間くらいの仕事しかしていない、ということもあるでしょう。今までなら、とにかくオフィスにいてダラダラやっていた残業時間は、残業代とカウントされました。
ところが、テレワークだと上司に時間を報告する必要があって、家でやるダラダラ残業時間はカウントしにくいのです(途中でダラダラ休憩もしつつ、夜9時まで毎日働いていたと報告したら、おそらく定時で終わらせろと怒られるでしょう)。仕事が定時に終わったらすぐ業務終了となるので、残業代は出ません。
これは今までは残業代を実際の仕事より多めにもらっていた、とも言えます。とはいえ、残業代がもらえなくなると、家計としては辛いところです。
残業代減少時代の家計管理術3つのステップ
さて、残業代がガクンと減った場合、少なくとも「下がった分=家計を削った分」とする必要があります。そこで具体的に家計管理術を考えてみます。
○ステップ1:残業代相当分、家計の支出を削るという目標を明確にする
まずは給与明細や銀行預金通帳を参考に「いくらくらい削る」かの目標をはっきりさせましょう。1年前の給与明細がすぐみつからない場合は、昨年の同じ時期の収入を把握するために銀行預金通帳の履歴を確認します。
節約はやみくもに行うと苦しいものです。とにかく「1万円削る」のか「1.5万円削る」のか目標をはっきりさせることが大切です。
○ステップ2:「止めても困らない」支出が最優先 固定費をガッツリ削る
次に取り組むのは固定費、特に「止めて困らない」もののカットです。こちらは銀行預金通帳とクレカの明細をチェックします。
特に自動引き落としになっているものについてチェックをしてみると、まったく利用していないサービスへ課金だけ続けていることがあります。
自動引き落としされているので忘れていたものがあれば、解約は面倒ですが、ここをやりとげると確実に出費が削れます。
使わないサービスの解約で残業代減少分がカバーできるならこれほど助かることはありません。週末などを使ってガッツリ削ってみたいところです。
コツは「もしかするとまた利用するかも」とは考えないことです。その場合はまた再契約すればいいだけなので、契約してもあまり使わないサブスクであるとか、本当は通いたいと思っていてもサボっているスポーツジムなど、あえて退会してしまいましょう。
○ステップ2.5:固定費について「割安」サービスへの乗り換えを行う
ステップ2は固定費の「終了」や「解約」を目指すアプローチでしたが、「乗り換え」という選択肢もあります。
停止するのは苦しいけれども、同じサービスをより格安で提供するところへ乗り換えすることができれば、その差額が浮くからです。
たとえば2年しばりが外れている時期なら、MNPで格安スマホに乗り換えるだけで、月数千円が削れます(SIMカードだけ乗り換えれば端末代もかからないため、月5000円ダウンもありうる)。他社へ切り替えなくてもギガの少ない割安プランへ見直しをはかる方法もあります。
割安プランというのは既存ユーザーへあまりアナウンスしていないことがしばしばです。もしかしたら、と思ったらチェックしてみるといいでしょう。
電力自由化なども、冬で電気代が上昇する時期には効果があります。うまくいけば乗り換えした数カ月は大幅割引を手に入れられるかもしれませんのでチェックしてみてください。
○ステップ3:日常生活費は「1日100~200円」の実現で削る
最後のステップは日常生活費をコツコツ削ることです。一般的な「節約」のイメージです。日々の買い物について、レジに並ぶ前に削る余地がないかひとつひとつチェックします。日常生活費と、趣味や娯楽予算とを分けて考えるといいでしょう。
飲み代やゲーム代のような「削っても死なない」出費は、家計が苦しいうちは厳しめに抑えます。ゼロにするのは苦しいでしょうから、半分~3分の2くらいに削るところを意識してコストカットをスタートしてみてください。
そのうえで、毎日の食費や日用品の買い物を控えめにしていきます。こちらは目標は「1日100~200円」です。毎日300円削れると1カ月で10000円弱になるインパクトですが、まずは「1日平均100円」つまり月3000円のカットを目指しつつ、できる範囲で削ってみるといいでしょう。
体重が気になっていた人なら(私もそうですが)、炭酸水やお菓子をとりあえず控えることから始めたり、フードロスが気になっていた人は傷ませない量を必要に応じて買うようなところを意識してみるといいでしょう。
残業をどんどんやれ、という時代はもう二度と来ないかも それくらいの心構えを
20~30歳代の場合、残業代を当てにして毎月のやりくりをしていることがしばしばあります。今まで残業代を一応払ってくれてはいたうちはよかったのですが、残業そのものがなくなってしまえば当然、年収がダウンしてしまいます。
まずは家計をその分スリム化させて乗り切っていってください。
そして「残業代はこれからももらえないかも」という意識を持っておきましょう。
長時間労働はもともと問題視されていましたし、残業代ブラック企業は徐々に撲滅する動きがあります。今回の新型コロナウイルスの影響は、こうした働き方にも影響を及ぼしそうです。
おそらく、ポストコロナ時代がやってきたとしても、会社は残業代をたくさん増やす方向ではなく、勤務時間内で業務をクリアすることを求めていくはずです。あるいはテレワークにより「会社にいるだけ」というダラダラ残業は物理的にも不可能になるでしょう。
残業代頼みの家計はもう成り立たない、それがポストコロナ時代の新しいお金のルールになるのかもしれません。