キャッシュレス決済の一番手は「モバイルsuica」で決まりか カードではなくスマホで設定

モバイルSuicaが運賃の2.0%還元へ!(画像はオフィシャルサイトより)

10月1日から切符代、定期代の2.0%が還元される!(ただしスマホに限る)

最近、JR東日本の電車に乗った人であれば、駅構内のポスターや吊り広告で気がついているかもしれません。

「10月1日、Suica究極の新サービス始まる」

「還元率モバイルSuica2%」

という惹句が目を引きます。これはJR東日本の利用に際して、切符代や定期代等の鉄道利用についてポイント還元するという策を打ち出してきた広告です。

九州地区のSUGOCAのように切符代のポイント還元をしているICカードはありましたが、国内でもっとも利用の多いJR東日本が、その電子マネーであるSuicaであえて対応してきたことに大きな意味があります。

首都圏で暮らす人のほとんどは、Suicaの利用環境にあるわけですが、鉄道利用が多いため、還元を手にするかどうかは大きな違いです。仮に毎月10000円くらいの定期を使っているとすれば、会社の往復だけで年間2400円相当のポイントが手に入ることになります。それ以外の日常使いを加えれば3000円を超えることはほぼ確実です。

ただし今回の2.0%還元は「モバイルSuica」に限ります。つまりスマホに設定するおサイフケータイとしてのSuicaです。一般的なSuicaのイメージであるICカードのままだと0.5%しか還元されません。

消費者として考えたとき、今回の還元策を活用するにはちょっと対応が必要になります。

キャッシュレス決済の一番手はモバイルsuicaで決まりか

JR東日本が大勝負に出てきた理由のひとつは、10月からキャッシュレス決済が大きく促進されることにあると考えられます。

キャッシュレス決済について中小店舗で利用をすると5%還元(大手フランチャイズの場合は2%還元)を国が行うという前代未聞の政策が10月から期間限定で始まりますが、これにより大手スーパーやコンビニなどに限られていたキャッシュレス決済が中小店舗にも普及すると見込まれています。

このとき、キャッシュレス決済として認められるのはクレカや電子マネーなどですが、利用者はどのキャッシュレス決済を選ぶか、という「1番目」争いは各社の重要な関心事です。

私たちは5個以上のキャッシュレス決済をお店に使い分けることはあまりありません。また主に使う2~3の決済方法があったとしても「1番目」とそれ以下については利用額に大きな差がつくことになります。

もともとSuicaは利用シーンで他を圧倒しています。鉄道はJR東日本に限らず私鉄もバスも使えるのはもちろんですし、キオスクだけでなく主要コンビニのすべて、大手スーパーマーケットの多くも利用可能となっています。

利用順位第1位の可能性がそもそも高いSuicaがここでその一番手を確実なものとすべく、「切符代2.0%還元(ただしモバイルSuicaに限る)」で攻めてきたものと思われます。

ほとんどの人のスマホにモバイルsuicaの環境は整っている

今回の策が大胆であることのもうひとつは、JR東日本があえて「ICカードタイプのSuicaは0.5%」とし「スマホのモバイルSuicaは2.0%」に4倍もの差をつけていることです。これはつまりICカードは捨ててスマホへのSuicaアプリのインストールを促していることになります。

しかしこちらも勝算あってのことと思われます。何よりも日本国内の多くのスマホがモバイルSuicaに対応済みということです。

iPhoneは7シリーズからFeliCaチップを搭載し、モバイルSuicaに対応しています。しかもFeliCaチップで使えるはずの楽天Edyやnanaco、WAONは使えない設定となっています。日本は世界的にもiPhoneシェアの高い国として知られていますが、そのiPhoneの機種変更が進む中でおおむね「モバイルSuica対応機種」になってきています。

またAndroidスマホも国内産であれば原則としてモバイルSuicaに対応しています。国内のAndroidスマホの出荷シェアを見る限り、シャープ、ソニー、富士通などの国内メーカーが75%のシェアを持っているとみられています。(「ケータイ社会白書2019年版」の1台目スマホメーカーのデータ等から推計)

海外製のAndroidスマホについては一部を除いてモバイルSuicaに未対応ですが、特にiPhoneのSuica対応が4年もたって相当に進んできていることから、おおむね国内のスマホのほとんどは「モバイルSuica対応」となっています。

こちらも「スマホのキャッシュレス決済1番目」を取りに来る戦略として「切符代2.0%還元」が生きてきます。PayPayやLINEPayなどのQRコード決済との勝負はもちろん、おサイフケータイ機能のライバル(iPhoneであればiDやQUICPay、Androidスマホであれば楽天Edyやnanaco、WAONら)との勝負で遅れを取るわけにはいきません。きっと2.0%効果はあることでしょう。

私たちが10月までにやることは2つ モバイルSuicaのスマホ設定とJREポイントの登録

あなたのスマホがiPhone6やiPhoneSE以前でなければ、また海外製Androidスマホでなければ、モバイルSuicaに対応している可能性がかなり高いといえます。今まで「ICカードのSuica」に慣れ親しんできた人もここが「モバイルSuica」へ切り替えるいいタイミングでしょう。

10月1日までにスマホにSuicaアプリをインストールし「モバイルSuica」への切り替えをしておきたいところです。ICカードのSuicaで定期券も設定しているとわざわざ切り替えることのほうが面倒に思えるかもしれませんが、モバイルSuicaでも定期は発行できます。

実は私鉄とまたがる場合でもモバイルSuicaは定期が発行できるので「モバイルSuicaは無理だと思っていた」という人はチェックしてみるといいでしょう(参考 モバイルSuicaで発売可能な定期券のパターン)。

アプリの常として初期設定がちょっと面倒ですが、慣れてくると完全キャッシュレスチャージ(ATMに立ち寄らなくてもチャージできる)もすぐできるようになり、キャッシュレスが文字通り実現することになります。

また、もうひとつ重要なのはJREポイントの登録です。広告でも「※登録が必要です」のように注意を促しています。どんなに利用したところでポイントの登録がすんでいない場合は、まったく貯まらないことになってしまいます。

これもWEBサイトから登録をしておきましょう。ちなみにひとつのJREポイントとひもつけられるモバイルSuicaは現状では1機種のみとなっていますので注意が必要です。いずれは複数登録も可能になるかもしれませんが、スマホ2台持ちユーザーは当面は複数アカウント設定をするしかないようです。

「モバイルSuica」ともうひとつのキャッシュレス決済を選ぶステージへ

もともと戦局有利なポジションにあったSuicaがさらに攻めの姿勢に出たことで、キャッシュレス決済の戦国地図はおもしろいことになってきました。「ICカードのSuica」ではなく「モバイルSuica」を1番目に設定したとして、2番目のキャッシュレス決済をクレカとするか、QRコード決済の電子マネーとするかは悩ましいところです。

ポイント還元率(特に期間限定の高還元率)をめあてにQRコード決済を選ぶか、なじみやすいことを理由にクレカ(とクレカ連動のiDやQUICPay)を選ぶかはみなさんの自由ですが、しばらくは悩ましい「2番手争い」が続くことになりそうです。

(9/27追記)

→モバイルSuicaが使えるスマホ選びというテーマで別コラムをひとつ書きましたのであわせてご覧ください

 「2019年10月からはスマホ機種変の新基準は「モバイルsuica対応」格安スマホでもSuica OK