絶望の中の希望…新型コロナウイルスの中でもよくよく考えたいこと

深刻な感染症の拡大の中、自衛のためのフェイスシールドを着けた女性(写真:ロイター/アフロ)

 私たちは、深刻な新型コロナウイルス感染症の拡大の中、ソーシャル・ディスタンス(social distance)を保ち、多くの場合出来る限り自粛し、自宅待機し、家に引き籠ったりしている。私たちの社会、地域や国は、ロックダウンされ、人の交流もビジネスも制限されたり、途絶えている。私たちは、今そんな世界にいる。

 また、1990年代前後からのグローバライゼーションそして、21世紀に入ってからのその進展により、ビジネスも、ヒトとモノの移動も国境を容易に超えて、その量は驚異的に拡大・増大し、質的にも、ほんのつい最近までこれまでとは別のステージともいうべき世界や環境を形成しつつあった。その世界や環境も、今回の感染症の拡大で、途絶され、そララの世界や環境への再考や修正の必要性が生まれ、自覚されてきている。

 しかも、国や地域によってはロックダウンの緩和や解除が、最近一部されたりしてきているし、ワクチン開発や集団免疫の問題等など様々な試みや議論があるが、この感染症の拡大が今後どうなるかもについては未だ不透明な状態にある。このような中、各国や地域の政府が多種多様な対応や政策をとり始めているが、社会や世界、特に経済において、閉塞感や絶望感も生まれ、漂いはじめている。

 確かにそれが今起きている現実だと思う。だが、私たちはよくよく考えた方がいい面もあるのではないだろうか。

 もしこの感染症による現在のパンデミック状況が、1990年代初頭以前起きていれば、もちろんグローバライゼーションが未だ進展していずこんなに短期間に世界に広まることはなかったことも事実だし、私たちの多くは今も様々な問題を抱え、非常に大きな困難を抱えているが、私たちは、今は実は現状でも耐え、次への可能性を持てる武器やツール等をもっているのではないだろうか。それなしでは、私たちは、すでに個々人は完全に孤立し、社会や世界は完全途絶し、遮断され、より悲惨は状況におかれたいたのではないか。

 私たちは、現状は100%以前とは同じとはいえないし、全ての仕事でいつでも可能なわけではないが、現在では職場に行かずとも、リモートで仕事をすることも可能だ。また教育においても、もちろん対面教育の重要性や学校という場での集団活動により人間関係の構築やコミュニケーションなどの「社会化」を学ぶことも掛け替えのないことだと考えているが、オンラインなどを通じて、知識や知見さらにコミュニケーション力を、ある意味で時間や場所を超えて、習得することも可能だ。筆者も、新学期でのオンライン授業の準備のために、学生や教職員の方々と日々経験を積み、スキルを磨いたり、仕事の会合やさまざまなウエビナー(Webinar、Webのセミナー)等にも参加し、そのことを実感している。

 日常生活でも、住む場所が異なったり、異国に住む家族や友人などと簡単に会話をしたり、飲み会をすることもなどは今は可能なのだ(注1)。この点でも、筆者も、オンライン飲み会の開催、居住地の離れた友人との意見交換等を、日々経験し、楽しんだりしている。

 これは、特に1990年代ごろから急速に発展してきたITやICTなどにより可能になっているのだ。このことは別のいい方をすれば、私たちは、これらのテクノロジーやスキルなどにより、たとえ物理的に孤立されても、私たちは繋がり、絆をもつことも可能なのだ。私たちは、国際関係がこじれて戦争が起きたり、地域間の紛争が起きたり、犯罪や人間関係の齟齬や問題が起きることもあるが、多くの災害や地震、その他の様々な問題も、私たちは、その繋がりや絆そして協力によって、歴史的にも多くの困難や問題・課題を乗り越えてきたのだ。このことは、現状の絶望状況においても、私たちはこれからの社会や世界においても、それを乗越えて、新しい可能性が見出すことができるということができるということを意味していると思う。

 今回の感染症は、今だ予断をゆるさない状況にあるが、私たちの社会や世界は、この厳しい状況から新しい人間関係・環境そして新しい可能性を生み出してくれることを意味しているといえないだろうか?(注2)

 私たちは、その希望を意識しかつ失うことなく、現在の絶望を乗越えていきましょう!。

(注1)Facebook(FB)のCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、偶然にも、「Zoom」に対抗する「Messenger Rooms」というビデオ・ミーティングサービス開始に向けて、(新型コロナウイルス感染症対策で)「直接会うことのできない、大切な人々との繋がりを感じられるようにするため」に同サービスを提供すると語っている(出典「FacebookのZoom対抗『Messenger Rooms』は時間無制限で50人が参加可能 」[佐藤由紀子、ITmedia、2020年4月25日 ])

(注2)拙記事と共に、記事「『人文知』軽視の政権は失敗する 藤原辰史さん寄稿」(朝日新聞、2020年4月26日)を合わせて読まれることをお薦めしたい。