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国会での議員の主な活動とは?…政治・政策リテラシー講座20

鈴木崇弘一般社団経済安全保障経営センター研究主幹

国会議員は、国民の代表として選挙で選ばれて、国会で立法活動に従事することになっています(あるいは、そのはずである)。では、国会議員が、具体的にどのような活動をしているかは何となくわかるが、必ずしもよくわからないというのが、私たちの偽らない気持ちなのではないでしょうか。

そこで、本記事では、国会議員が国会で行っている活動について説明していきたいと思います。実はそれらの活動も多様なものがあるので、外部からも比較的わかりやすいものに的をしぼっていきます。

そこで、本記事では、「本会議や委員会での質問」、「議員立法」、「質問主意書」に関わる3つの活動です。

まず、「本会議や委員会での質問」です。国会には本会議以外に、予算委員会などの常設の委員会である常任委員会と災害対策などの常設委員会の所管ではないが必要とされる案件に関わる特別委員会(注1)があり、そこで国会議員が、法案や政策、予算などについて質問・質疑をして、それらをより良いものにするための活動をしているのです。

その審議などの様子は、衆参のHPから、ライブあるいはアーカイブでみることができます(注2)。また、審議終了からある程度の時間が経つと、審議の様子は公報で文字情報として読むこともできます(注3)。

二つ目が、「議員立法」活動である。これは、内閣がつくる法律とは別に、議員が独自にあるいは中心になって法案を作成し、国会で審議し、法律を作成していくための活動である。最終的に法律として成立しないことも多いが、議員本来の活動であるということができる。なお、議員立法に関しては、拙記事「法律をつくる方法・・・政治・政策リテラシー講座14」を参照してください。

また、具体的な提出されたあるいは成立した議員立法に関しては、次のところにアクセスなどにしてみてください。

衆議院・議案

成立した議員立法/衆議院法制局

参議院議員提出法案情報

三つ目が、「質問主意書」です。これは、国会議員が、会期中、文書にとって国政一般について内閣に質問することです。これに対する回答は、閣議了解を得て、質問主意書を提出した議員に何らかの形で戻されるますので、質問趣意書は、国会の本会議や委員会で質問すると同等の公の意味をもつのです。

次のところから、どの議員からどのような質問がされ、内閣からどのような回答・答弁が得られたかがわかります。

衆議院質問答弁

参議院質問主意書

以上に述べてきたようなことから、国会議員が国会で具体的にどのような活動をしているかを知ることができます。しかしながら、法案や政策案および予算案などは内閣から提出されること(内閣提出法案、閣法)が多いために(注4)、国会でのそれらへの質問は、内閣を形成している与党は、あまり批判的にはできないわけで、野党が厳しく追及することになります。また、議員立法も、与党は閣法で対応できることが多いため、ほとんどは野党によってなされることが多いのです。そして、質問主意書は与党が形成した内閣に対して質問するものですので、与党議員はあまり積極的に活用することはなく、多くは野党議員によって活用されます。

このように考えていくと、国会は、議員内閣制であるので、野党と内閣の対決の場、野党が活躍するための場になっているのです。与党議員は、法案等が国会に提出する前に、党内でそれらの法案の審議を済ませており、国会が活躍の主戦場ではないのです。

このように、国会での活動をみていくと、日本の政治の問題点や政治制度の課題がみえてくることになります。

先述したように、国会での活動を知るための様々な情報源があります。それらを丹念にみていけば、国会活動のかなりの部分(少なくとも公になっている部分)を知ることもできますが、他方で非常に多くの情報があり過ぎるので、私たち一人ひとりがその作業をするのは負担ですし、現実的ではありません。

その時に参考になる活動があります。それは、「本会議や委員会での質問」「議員立法」「質問主意書」の3つの点に関して、数量的に調べて、国会議員の国会での活動実績をランク付けている「国会議員の活動データを集積する会」の活動です(注5)。この活動を参考にすれば、国会議員の国会での活動のある面を知ることができます。

本来、自分たちの代表が国会で何をしているか、私たちはもっともって知ってしかるべきだと思います。皆さんもそう思いませんか。上述の情報などを参考にしながら、ぜひ知ってみてください!

(注1) 委員会にどのようなものがあるかは、次のところから情報が得られます。

○衆議院

常任委員会

特別委員会

○参議院

委員会

(注2) 次のところから観ることができます。

衆議院インターネット審議中継

参議院インターネット審議中継

(注3) 次のところから読むことができます。

衆議院公報

参議院公報

国立国会図書館・日本・議会資料

(注4) この点については、拙記事「法律をつくる方法・・・政治・政策リテラシー講座14」「なぜ官僚主導になるのか?…政治・政策リテラシー講座17」などを参照してください。

(注5) この活動については、次のところから知ることができます。

・「国会議員の活動データを集積する会

・「万年野党

「”間違いだらけの候補者選び”を改めよう!」 

・「国会活動に最も熱心な参議院議員は?『国会議員の活動データを集積する会』

一般社団経済安全保障経営センター研究主幹

東京大学法学部卒。マラヤ大学、イーストウエスト・センター奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。日本財団等を経て、東京財団設立に参画し同研究事業部長、大阪大学特任教授・フロンティア研究機構副機構長、自民党系「シンクタンク2005・日本」設立に参画し同理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学客員教授、国会事故調情報統括、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)客員研究員等を経て現職。㈱RSテクノロジーズ 顧問、PHP総研特任フェロー等兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書やメディア出演等多数

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