ついに来日のポドルスキ 現地記者が明かす、その「人物像」は?

ドイツ代表で10番を背負った名手が日本にやって来る(写真:ロイター/アフロ)

ドイツ代表などで活躍してきたルーカス・ポドルスキが、いよいよ明日6日、Jリーグ1部(J1)ヴィッセル神戸の一員としてお披露目される。そのプレーは、目にした人も多いはず。では、いかなる人物なのか? 実際に取材をしたこともある、ドイツの現地人記者に話を聞いた。

“来し方”を大事にする男

2009年11月、ゲルゼンキルヒェンで行われた親善試合で、ドイツ代表はコートジボワール代表と引き分けた。終了間際に2-2とする同点ゴールを決めたポドルスキは、静かに空を指さした。

試合後のミックスゾーンでフランソワ・デュシャト記者は、ゴール後の行動の意味をポドルスキに尋ねたという。背番号10を背負った若者は、その年にもドイツ代表のユニフォームに袖を通しながら、1週間ほど前に死去したGKロベルト・エンケに捧げたものだと答えた。

ポドルスキは友人と地元を大事にする男だと、デュシャト記者は話す。「だからポドルスキが好きな人はとても多い。残り少ない、ストリートサッカーから出てきた世代の一人でもあるしね」。“来し方”を忘れないのだ。

生まれはポーランドで、幼くしてドイツに移住。ケルンからドイツで随一の戦績を誇るバイエルン・ミュンヘンへ移籍し、イングランドのアーセナル、日本代表DF長友佑都も所属するイタリアのインテル、さらにトルコの名門ガラタサライでのプレーを経験してきた。

4カ国でプレーしてきたが、「ルーツ」を大事にし続けるのは、育った環境のおかげかもしれない。家庭では、両親が生まれ育ったポーランドの料理や伝統に囲まれてきた。まだ顔に幼さの残るポドルスキ少年が自宅のキッチンで、母親が手にするポーランド料理にかぶりつく写真も残っている。その際に着ていたのが、バルセロナのユニフォームだったのはご愛敬だ。

かつて奥寺康彦氏がリーグ優勝などに貢献した名門ケルンの下部組織で、ポドルスキは育った。チームが不振にあえいでいた2003年にマルセル・コラー監督に抜てきされると、18歳の少年はあっという間にファンの心をつかんだ。「チームはひどい状態で、2部降格が現実になろうとしていた。でも、ファンは『そうか、ケルンはまた負けたか。そんなの目新しい話じゃない。それより、ポドルスキは何点決めたんだ?』という感じだった」。自らもケルンファンであるデュシャト記者は、そう振り返る。

「プリンツ・ポルディ」(ポルディ王子)は、ファンからの愛情に負けないほど、クラブと街を愛している。「どこにいようとも、ポドルスキの心はケルンというクラブと地元にある。アーセナルに所属していた頃も、頻繁にケルンに帰ってきて観戦に訪れていた。バイエルンにいた頃でさえ、古巣であるケルン周辺でよく見かけられていたからね」。両者の結びつきは、非常に強い。

オープンな姿勢が魅力

2012年には、ケルンを地元とするロックバンド、ブリングスのレコーディングにも参加している。デュシャト記者は、メンバーの一人、ペーター・ブリングスにインタビューをしたことがある。以下のようなコメントが、当時の『ソクラテス・マガジン』誌でのインタビューに残っている。

「ある日、『エクスプレス』(ケルンの地元紙)のスポーツ部の編集者から電話が来たんだ。『ルーク(ポドルスキ)が、一緒に歌いたいようなんだ』ってね。『なんだって? からかってるのか?』というのが、こちらの反応だった」

「ところがある日、本当に彼がスタジオにやって来たんだ。練習着を着たままだったね。すぐにお互いを分かり合えたよ」

「ごく普通の青年だよ。とても落ち着いたヤツさ」

自然で、オープンな性格。これもまた、ポドルスキが好かれる理由だとデュシャト記者は指摘する。「記者とのやり取りでは、いつでも本当に率直なんだ。バイエルンに移籍した時には、少し指導を受けたほどだ。それまでが、あまりに率直だったからね。本当に素晴らしくオープンな性格で、時には“おバカ”な話になっていくこともある」。

最近は、SNSで思いをつづっている。ケルンのスタジアムでスタンドから芝生と夕陽を眺める写真には、「僕の家、学校、我が城」とコメントをつけている。息子らしき男の子と並んで芝生に座り、別れを惜しむようにガラタサライのホームスタジアムで写した写真もある。添えられたコメントは、「このスタジアムとファンが、僕らのホームになった」。イスタンブールの街並みには、「まだあの街と恋に落ちている」とつぶやいている。

この32歳の名手が、神戸にやって来る。すでにSNS上で神戸のユニフォーム姿を掲載するなど、“準備”は着々と進んでいる。

「来し方」を忘れず、見知らぬ「行く末」を恐れない男。新しき“我が家”で、ポドルスキは関わる人々とどのような時間を共有していくだろうか。