元アーセナルMFに聞く ヴェンゲルの今季限りでの退任はあり得るのか?
5月30日、アーセナルにとって大事な決断が下される。20年以上チームを率いてきたアーセン・ヴェンゲル監督が続投するのか、それとも新たな時代の扉を開けるのか。かつてアーセナルでプレーしたエイドリアン・クラーク氏に話を聞いた。
“継続”を願うヴェンゲル
日本で指揮を執っていたヴェンゲル監督は、1996年にアーセナルの監督に就任した。2003-04シーズンの無敗優勝など、3度のプレミアリーグ制覇を成し遂げた。だが、そのシーズンを最後に、リーグ戦のタイトルは手にしていない。今季はプレミアリーグで5位に終わり、チャンピオンズリーグへの連続出場が19シーズンで途切れることになった。
シーズン中から、ヴェンゲル監督に対する怒りをぶつけるファンもいた。アーセナル指揮官としての契約は、今季限りで満了となる。契約延長か、退団か。その決断が、今日のクラブ役員会で決定されると言われている。
英国メディアも注視するアーセナルの決断。どのようなものが下されるのか、またその決断がどのような影響を与えるか、かつてアーセナルでプレーし、現在はサッカーの分析などを手掛けるエイドリアン・クラーク氏に聞いた。
ヴェンゲルは、会見でもクラブへの忠誠心と愛情を強調してきた。クラーク氏も本人の続投の意思は強いだろうと話し、「おそらく今年ではない」と監督交代は来年以降になると見ている。
ただし、少しずつ変化がうまれる可能性はある。大事なのは「ヴェンゲルは物事を同じままで進めていきたいと思っている、と私はみる」(クラーク氏)という点だ。
これに対して、クラブはディレクターという肩書の人物を新たに迎え入れたいとの意向を持っていると言われる。「役員会はスカウティングとチーム分析をする新しい人材を連れてきたいと思っているように感じる」と、クラーク氏はみている。
こうしたディテールも含め、どのような綱引きが行われるのだろうか。クラーク氏は、今季最後の試合での勝利が、影響を及ぼす可能性を指摘する。
「FAカップ決勝での勝利が、残留したいとのヴェンゲルの思いをさらに強くしたと思う。また、契約更新を左右するという点において、より力を得たと言える」
「例えば、もしも役員会がスタッフの変更を求めて、ヴェンゲルがそれに同意しなかったならば、折れるのは役員会になるのではないだろうか」
監督交代の場合、懸念は?
だが、クラブは変化を求めて、大きな決断を下すかもしれない。その場合、懸念されるのはどのようなことなのだろうか。
「個人的には、(おそらく今年ではないが)変化が起きた時に、少し違った哲学を持った監督がやってくるのを見たくはない。選手たちにとっては、新鮮なアイディアが利益につながるかもしれない」
「常に変化はリスクを伴うものではある。だが、後任者はアーセナルのようなクラブにおける責任を扱うことができるだろうか?」
「今はあと1-2年、ヴェンゲルはクラブに残ると、私は予想している」