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「来夏にはまた日本を訪れるつもりだよ」 モーリス・ンドゥール(ニックス)シーズン最終インタヴュー

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

モーリス・ンドゥール(ニューヨーク・ニックス)

1992年6月18日生まれ、24歳

セネガル出身 ポジションはFW

高校時代にセネガルから岡山学芸館高校に留学し、2年連続で岡山県の最優秀選手に選出された。その後、ニューヨークのモンロー大学、オハイオ大学に進学すると、スペインリーグを経て、今季ニックスと契約。開幕ロスターに残り、晴れてNBAプレイヤーとしてニューヨークを拠点に活躍した。シーズンを通じてDリーグと NBAを往復しながら、ニックスでは32試合で平均10.3分をプレーし、3.1得点(FG45.9%)、2.0リバウンドをマーク。シーズン終盤はプレー時間を増やし、最後の5戦中2戦で13得点以上を挙げる活躍をみせた。

シーズン最終盤に実力をアピール

ーー今季ラストゲームとなった4月12日のフィラデルフィア・76ers戦では112-113で迎えた残り約18秒のところで決勝ジャンパーを決めて、チームを逆転勝利に導いた。最後を飾れて良い気分だったのでは?

MN : もちろんハッピーだよ。最後のゲームというのは勝利で終えたいもの。楽な展開ではなかったけど、粘り強く、大事な場面で良いディフェンスができた。終盤はボールをシェアし、反撃に繋げられた。ラストポゼッションはコーチが僕のためにプレーをデザインしてくれて、本当にゴールまで持ち込むはずだったんだ。しかし、目の前にスペースができたから、一歩下がってジャンパーを打った。決められて嬉しかったし、シーズン最後の試合だったから嬉しさは格別だった。

ーー今季はアップ&ダウンもあったけど、終盤にプレー時間を貰い、最後の5試合では平均8.4得点、5.4リバウンドと存在感を示した。このリーグでやっていける自信が膨らんだのでは? 

MN : それは間違いないね。とにかくプレー時間が貰えるかどうかが問題だった。プレーをして、その合間に休んで、というリズムに慣れていくことが重要だった。それができれば徐々に快適に感じていけるもので、僕の場合も同じだった。初めてのスタメン機会以降は力が出せたと思う。コートに立ったときは、いつでもベストを尽くそうと心がけた。それと同時に楽しんでプレーしようと努めたつもりだよ。

ーーセネガルから渡米してきたお母さんがアメリカで初めて観戦した4月4日のシカゴ・ブルズ戦で、ついに初先発を飾った。そのゲームで13得点、12リバウンドと大活躍。お母さんは喜んだだろうね。

MN : 本当にハッピーに感じてくれていたよ。あの試合だけでなく、これまでのハードワークがついに報われたことを喜んでくれた。とうとうチャンスを得て、力を出すことができた。喜びと幸福でいっぱいだったね。

ーー緊張感もあったと思うけど、どんなマインドセットで臨んだのかな?

MN : 攻守両面でチームにエナジーをもたらそう、どんな形でも良いから助けになろうとだけを考えていた。ゲーム中はそれぞれの瞬間に集中しようという気持ちだった。自分の仕事とポジショニングを考え、“エナジーガイ”になろうとしたんだ。

今後の課題は体力強化

ーー今季中にはニックスには様々なことが起こって、君はDリーグとNBAを往復することも多かった。集中するのが容易ではない時期もあったのでは? 

MN : 簡単ではなかったのは確かだ。特にDリーグとNBAを行ったり来たりしながら、それぞれのチームの戦術に目をやるのはやはり難しいからね。ただ、前の前のことをやっていって、ハードワークを忘れず、自分の仕事に集中すれば、最終的には良い方向に運ぶものだ。

ーーDリーグでは18戦に出場し、平均28.2分で14.7得点、6.8リバウンド、1.4ブロックという成績を残した。そこで学んだことは? 

MN : ただ準備を進めるだけではなく、Dリーグでは実際にコートに長い時間立ち、プレー時間を得られた。リズムを取り戻すのに、実践の時間は重要だ。学んだことをゲームの中で試すこともできて、プレーの幅は広がったと思う。

ーー今季の中で見えてきた今後の課題は? 

MN : まず僕はバスケットボールを手から離し、身体を強くしなければいけない。このリーグでPFとマッチアップするとしたら、自分より大きな相手とばかり対峙していくことになる。今夏の課題は、まずは身体を鍛えて筋肉を付けることと、痛めていた足首を完治させること。そしてシュート力に磨きをかけること。ステップバックして放つジャンパーを、もっと精度よく決められるようにならなければいけない。 

日本語が喋りたい

ーー練習以外にオフには何をするつもり?セネガルに戻るか、あるいは旅行にも行くのかな? 

MN : セネガルに戻って、母国のトレーナーとともにトレーニングするつもりだよ。バスケットボール・キャンプを開催するつもりなんだ。それからセネガル代表での活動も待ち受けている。1つのところに止まらず、バスケットボール絡みでいろいろな場所に行くことになるだろうね。 

ーー日本に行く時間はなさそうかな。 

MN : 今夏が難しかったら、来年には行きたいと考えているよ。多くの友人、知人が僕が戻ってくるのを楽しみにしてくれているからね。毎年、日本行きの計画も立てるんだけど、夏には代表チームとか、サマーリーグとかいろいろと予定が入ってしまう。だからなかなか実現できないけど、来年にはなんとかしたいね。

ーーそろそろ日本語を思い切り話したいだろうし(笑) 

MN : 間違いないよ。少しずつ忘れ始めてしまっているからね(笑)

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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