2020年2月27日、私はこの日を絶対に忘れません

 安部総理による一斉休校要請が報道されたのは去年の今日、2月27日夕方のことでした。

 私はこの日を絶対に忘れません。

 子どもの生命も安全への対策もなく、文部科学大臣や専門家の反対も押し切っての一斉休校の中で、学びは止まり、「心のコロナ」が回復しないままの子どもたちも多いはずです。 

子どもの生命と安全を守ることは政府の役割ではないのか?

―1年たっても困窮子育て世帯への給付金は不十分なまま

 この1年ずっと悲しい思いでいます。

 国民の生命と安全を守る役割を遂行しなければならない日本政府が、いまに至るまで子どもの生命と安全を軽視しているのではないか、そう思い続けています。

 安倍総理の一斉休校要請の記者会見をテレビで見て、小学生だった長女は泣き出しました。

 その姿を見て胸を締め付けられながら、私は、困窮世帯の子どもの生命が危ないと背筋が冷たくなった感覚が、いまも忘れられません。

 だからこそ、子どもの貧困支援団体と一緒に、私も困窮子育て世帯への給付金を求めて署名活動や与野党の政治家へのお願いを続けてきました。

 いまも、ふたり親ひとり親関わりなく、すべての困窮子育て世帯に給付金支給を求め、#コロナで困窮する子どもを救おう、という署名をしています。

 この署名は当初目標である1万署名をはるかに越え、3万8千人以上の方にご協力いただいています。

 コロナ禍の長期化の中で、子どもたちのことを心配して応援してくださる方が日本にこれだけいて、ご協力いただいていること、本当に感謝しています。

 しかし菅政権では、困窮子育て世帯への給付金については、支給の見通しがまだたっていません。

 1年たっても困窮子育て世帯への給付金は不十分なままです。

 親が食事を抜かざるを得ない、もやしと豆腐しか食べられない、そんな困窮子育て世帯が日に日に増えているのです。

 ※瀬谷健介,2021年,2月8日記事,子どもに豆腐ともやししか食べさせられない、年収50万円ない家庭も。最貧困層の「限界」,BuzzFeed News.

 困窮世帯の子どもや親が、新学期を安心してむかえるためにも一刻も早い給付金支給が必要です。

 菅総理が子どもたちのために、ご判断いただくことを心から願っています。

子ども若者の自殺は過去最悪

―「心のコロナ」は癒されないまま

 文部科学省の調査では、一斉休校などがあった2020年に自殺した小中高校生は統計のある1980年以降最多の479人(前年比140人増)であると報道されました(東京新聞2021年2月15日・共同通信配信記事)。

 コロナ禍前から子ども若者の声を無視してきた日本では、何も対策を打たなければ自殺者が増えてしまう。

 私を含む専門家・支援者が心配していたことが、残念ながら現実になってしまいました。

「心のコロナにかかっている」

「私たちの気持ちを一体誰がわかるんですか?」

「早く学校に行きたい」

「コロナにかかるのがこわい」

「お金のサポートがほしい」

「一斉休校で失われた教育機会に見合った成果があったのか、専門家が調査して説明してほしい」

末冨芳,2020年5月5日記事,【心のコロナは癒せるか?】子ども・若者の声を聞こう!日本の未来のために【学校・友達・お金】

 こうした子ども・若者の声に、政府や日本の大人たちは十分にこたえてきたでしょうか?

 文部科学省は、高校無償化大学・専修学校の無償化などをコロナ禍の影響を受けた家計のために最大限柔軟にし、子ども・若者の学びを止めないために懸命に対応してきました。

 その努力の甲斐あって、今年度の4月から12月の中退者の数はコロナ禍前と比べても少なくなっています(NHK2月21日報道)。

 しかし、子ども若者の自殺を食い止めるには、それだけでは不十分なのです。

 自殺の要因分析をすることも重要ですが、どうしたら自殺が減らせるのか、大人の自殺予防と同様に子どもの自殺予防も、科学的に分析され対策が充実される必要もあります。

 詰め込み授業や夏休み短縮で、子どもたちを追い詰めた学校も残念ながらありました。

 またステイホームによる虐待の深刻化が、自殺の引き金となっているケースもあるはずです。 

 とくに18歳に近づいてしまえば児童相談所も保護してくれないこの国で、若者がSOSを出したり、逃げ込める場所はあまりにも少ないのです。

 コロナ禍であきらかになったのは、子ども若者を大切にしていない日本、そして子ども若者の生命を守るための仕組みが脆弱な日本、なのです。

安倍前総理は子ども・若者に説明責任を果たしてください

―子どもに向き合ってメッセージを発することができない日本国総理大臣

 一斉休校やコロナ禍をめぐる対応の中で、印象的なのは、不安を抱える国民、とくに子どもたちに優しくあたたかいメッセージを発する、ニュージーランドのアーダーン首相や、デンマークのフレデリクセン首相のリーダーシップでした。

※NHK,2020年6月5日,コロナ危機、頼れるリーダーの3つのチカラ

※西日本新聞,2020年4月1日,行動自粛どう呼び掛ける? 識者「日本は表現があいまい」

 これに対し、安倍前総理や菅総理は、子ども若者に向けたあたたかいメッセージや一斉休校に関する謝罪をしていません。

 子ども若者に向き合ってメッセージを発することができない日本国総理大臣も、そろそろ変化しても良いのではないでしょうか。

 専門家ですらエビデンスがなく、新型コロナウイルスより一斉休校によるダメージの方が大きいことが、一斉休校要請の段階から心配されていました。

 もちろん刻々と変化する状況の中で、感染を食い止めたいという総理のお考えがあったことは理解しています。

 しかし、一斉休校にいちばん理不尽な思いをしているのは当事者である子ども・若者なのです。

 なぜ一斉休校要請をしたのか、どのような判断を誰としたのか、子ども若者に申し訳ないという思いはあるのか。

 今からでも遅くはありません、安倍前総理は、国民とくに子ども・若者に対して、説明責任を果たしてください。

 一斉休校宣言から1年を経ても、子ども若者を相変わらず置き去りにしたままの日本ですが、もうそろそろ変化しても良いのではないでしょうか?

 政治家とくにリーダーである総理大臣が、率直に子ども若者と向き合いコミュニケーションするのはいつの日になるのでしょうか。

 その日が来たときこそ、日本が子ども若者を大切にする国になったということだと、私は考えます。