3年以内退職者増加の嘘に見る、第二新卒転職市場の可能性

厚生労働相の新卒就労者の離職データ

みなさん、こんにちは。転職エージェントのアクシス・末永雄大です。

三連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。

最近、キャリア系・転職系記事を見ていると、こんな記事が出ていました。

第二新卒層の転職者の統計情報のニュースですね。

転職市場における第二新卒層とはどういった層なのかについては、こちらの第二新卒についての記事をご確認いただければと思いますが、第二新卒層は、昔から一定数存在していたという事のようです。

 厚生労働省は10月30日、新卒就労者の離職状況調査の結果を公表しました。新卒で3年以内に会社を辞めた人の割合(離職率)は32.3%でした。前年調査からは0.1ポイント低下していますが、30%を超えたのは3年連続です。この結果だけを見ると、最近の若い人はすぐに会社を辞めてしまうというイメージを持ってしまいますが、長期的に見るとそうではありません。

 確かにリーマンショック後の2009年には28.8%と30%を切った時期がありましたが、これはむしろ例外的です。1996年は33.6%と現在とほぼ変わらず、2000年には36.5%に上昇するなど、ほぼ一貫して離職率は30%を超えています。在職期間が短い転職の場合、よほど前向きなものでない限りキャリア形成において不利になることが多いですから、定着率を上げる努力は必要でしょう。しかし、短期間で離職してしまうことについて、最近の若者に特有な現象として捉えてしまうと状況判断を誤る可能性もあります。

出典:大卒社員の3割が3年で退社、「最近の若者は我慢がない」は本当か?(THE PAGE)
厚生労働相データ
厚生労働相データ

今回の厚生労働省の発表についての記事ですが、私自身はリクルート在籍時から同社の先輩であり、リクルートエージェントのフェローである海老原 嗣生さんの社内講義で知っていました。

一般の方にとっては驚きであっても、人材業界の方にとっては、割と普通に知られている話であったのではないでしょうか。

記事にもあるように、実は、昭和64年時点でも29.3%、直近データが取れている平成24年の32.3%と増加傾向ではあるものの、途中の年度では、30%を超える年度も多くあり、決して、最近の若者だけが物凄い退職しているわけではないのです。

なので、「最近の若者は・・~」と言いたがる大人は多いと思うのですが、いつの世代でも一定数は離職者は発生しているわけです。

時代にかかわらず、働くのマッチングは簡単ではなく、難しいということですね。

第二新卒での転職活動に失敗したくない方は以下の記事をご参考にしてください。

・「転職活動の志望動機を書けない第二新卒の転職者の方たちへ」

ミスマッチ・早期退職者をなくしたいというものの・・

もちろん、100%のベストマッチングが理想ではありますが、会社も個人も感情豊かな生き物ですから、どうしたって一定数のミスマッチは起こるでしょう。

マッチングには、求人企業選定・選考時のマッチングと、入社以降のマッチングがあるわけです。

いくら、前者の際には、お互いにこれ以上ないベストマッチだと思っていても、

後者で、時間経過と共に、双方に様々な変化が起こればミスマッチになってしまう事もあるでしょう。

人生における大きなマッチングといえば、就職・転職でだけでなく、結婚についても離婚率が上昇しています。

結婚・離婚については、例えば「女性側など一方が我慢してでも継続すべきだ」と言わないですよね。

同じように、いくら給与を支払い雇用する側だからといって、会社と社員のマッチングについては、「個人側だけが一方的に我慢して継続すべきだ」というのはちょっと古い考え方なのではないでしょうか。

事情への批判よりも改善の打ち手を

この件で、「最近の若者は困ったものだ」といった声を眺めていて、いつも思うのですが、過去も今も、学生は授業などでキャリア教育や「入社後は3年間は我慢した方が得だよ!」といった教育が特別されてはいないわけですから、具体的に何の打ち手も打っていないのに、これが改善されていく事を期待する方が、傲慢というか、おかしいのではないでしょうか。

そう言ったマインドを持てない学生や若者が悪い、持たせてこなかった教育や学校が悪い、持ってない人を採用した人事が悪いと、いつまでも犯人探しをしていても、現状は変わりませんし、建設的ではないと思います。

3年以内にすぐに若手が辞めていく会社もあれば、一方で若手が長く定着・活躍し、他社を退職した若者が殺到する会社もあるのです。

相手の責任にだけするのではなく、退職してしまうのは、何に課題や原因があり、変えられるもの、改善できることにフォーカスして、PDCAサイクルを回していくしかありません。

むしろ、最近のマクロの環境として、

経団連の倫理協定などで就活時期を遅らせる事で企業・学生双方の選別期間が短期化されてしまう事や、

相対的に若者の数が減っていく中でより獲得競争が激化する事で、採用側もブランドイメージなど実態と乖離した良い部分だけでの情報で学生を口説いてしまうプレッシャーが高まっていたり、

会社に依存する事自体がリスクと考える若者も増えている中で、入社後に仕事をしてみたり、ロールモデルとなる30代・40代以降の先輩方の姿を見て、ここでは将来的に自立できるキャリアを築けないと感じられたら、早々に見切りをつけられてしまうといった流れにより、ミスマッチ率は上がっていく傾向にはあるでしょう。

現実、毎年出現する早期離職者をどう見るか

ただ、今回は、ミスマッチをどう防ぐべきかという話ではなく、

この毎年、現実的に出てきている3割の若者をどう対応するべきか、といったお話をしたいと思っています。

というのも、日頃、採用の現場にいる中で、この3年以内で退職する若者に対して、特に考えなく、一律で低い評価を下してしまう会社が非常に多く、機会損失してしまっているのではないかと思うためです。

結論を言うと、第二新卒市場の価値を再考していただく事で、この市場の価値が上がり、拡大する事を私は願っています。

最近、定年退職後のシニアや、女性など、1億総活躍が叫ばれていますし、それはそれで重要な日本の課題ですが、それ以前に、現実この3年で毎年退職する3割の若手を向き合った方が良いのではないでしょうか。

中途市場での3年未満離職者への評価

それでは、なぜ第二新卒は、実態価値以上に虐げられているのでしょうか。

それには、現在の採用市場の構造に原因があると思います。

採用市場は、大きく二分化されており、新卒か中途と二元論で捉えられます。

新卒以外は全て中途採用なのです。

中途=新卒にはないものを求めているつまり、経験・即戦力。

それがないのであれば、新卒で良いし!といった考え方です。

新卒じゃない=中途なのに、即戦力となる経験・スキルがない第二新卒や三年未満退職者なんて採用理由がないよ!という結論です。

これは新卒採用を毎年行っている会社ほど顕著な傾向ですが、非常に極端な考え方ではないかと思うのです。

新卒でもなく即戦力でもなく第二新卒を採用するメリット

では、冷静に見て、第二新卒を採用できるメリットは何でしょうか?

採用企業にとって、以下があると思います。

  • 通年でいつでも採用できる点
  • 一定レベルの社会人教育・経験
  • 競争が少なくブルーオーシャンなため、相対的に優秀な人を採用しやすい(現時点では)
  • 志向性が固まっている(キャリア教育がされている)
  • ロイヤリティが高い(恩義を感じやすい)

以下で、詳しく解説していきます。

通年でいつでも採用できる点

これはそのまんまですが、新卒はなんだかんだ一律で翌年の4月入社まで待たなければなりません。

事業成長や事業課題の解決のために、来年4月を待たずに人が必要だといった際に第二新卒層であれば、通年で採用が可能です。

一定レベルの社会人教育・経験

マナー研修や社会人としてのマインドを、他社が代わりにしてくれています。

新卒のように0から教える事よりも、最低限の社会人基礎があるため、スタートは早くなりがちです。

競争が少なくブルーオーシャンなため、相対的に優秀な人を採用しやすい(現時点では)

これは、比較的に中途市場で第二新卒層を避けたがる企業が多く、競争が少ないために、相対的に優秀な人材を採用しやすいといケースです。

私はリーマンショック時期にリクルートエージェントで人材紹介の営業をしていましたが、当時、大手も中小企業も多くの会社が求人をストップしていた中で、伸びているベンチャー企業のクライアントに対して、1~2年めで退職したり、リストラに合ってしまった若手の方をあえて採用することを強くお勧めし、実際にご採用いただいていました。

その時に入社した第二新卒の方が、その後、入社先で順調に出世し、30代前半で役員などになっているケースが多くありました。

採用マーケットにおいても、競争相手が少ない市場で採用注力する事で、優秀な人材を採用しやすくなると思います。

平常時でっても、中途採用市場においては、まさに第二新卒層がこれに当たると思っています。

志向性が固まっている(キャリア教育がされている)

これが地味ですが、とても重要であると思っています。

言葉を選ばずに言えば、3年未満に退職した方々は、事情はどうあれ、自分のキャリア選択を早期に失敗してしまった人たちです。

ここに強い反省をした人は、大きな学びを得ています。

例えばですが「自分はベンチャー企業などで大きな裁量を持ち、若くして活躍したい!と思いつつも、高い給与や、親や同期からの見栄えを気にして、全くマッチしなそうな大手金融機関に新卒では入社を決めてしまったけれど、実際に入社してみると思った以上に合わなかった・・」なんてケースはよくあります。

実際に入社し体験してみて、それが本質的に自分が求めている価値ではなかったと初めて気がつくわけです。

では、自分は何を本当は求めているのか。なぜミスマッチしてしまったのか。なぜ辞める事に成ってしまったのか。

これを重く受け止めて、次に活かそうと思っている人は、腹が据わっており、次の選択先では強いです。

結婚においても、離婚歴がある人の方がモテると言う事があると思います。

それは一度めの結婚で自分なりに反省をした結果、多くを学ぶからではないでしょうか。

次の選択は「もう言い訳できないぞ」と、気合と覚悟を持って入社するはずです。

もちろんPDCAサイクルを回せている人に限ってですが、ある意味人生で初めて、キャリア教育と言うものを実地で学んでいるようなものだと思います。

ロイヤリティが高い(恩義を感じやすい)

これは、新卒では多くの大手企業から説明会でチヤホヤされ、受け身でいても、たくさんの内定を取得できていた人も、3年未満退職をして、中途市場で転職活動をしてみると、思った以上に厳しい世の中の評価を低さを痛感し、大きく反省する事になりがちです。

そこで、経験やスキルではなく、自分自身の人間性やマインドに賭けてくれた企業に対して、恩義を感じやすいと思っています。

入社後に、その恩を返そうと一生懸命働く方が多いのではないでしょうか。

若手離職者を批判せず、共に前進できる世の中に

このように、採用側にとって3年未満退職者を採用するメリットは、新卒採用や、即戦力の中途採用と同じか、それ以上にあると思っています。

にも関わらず、現状そうした第二新卒層への転職市場での評価は実態以上に低く、敬遠されているように思います。

今後、少子高齢化が進み、若い労働人口自体が減っていく中で、こうした認識が変わり、企業と個人の成長においての機会損失がなくなっていく事を願うばかりです。