マネできない!?サイバーエージェントのユニークな採用手法

注目されるサイバーエージェントの人事戦略

仕事柄、人事や経営者の方とお会いする事が多く、また独自のカルチャーや人事制度を持つリクルートサイバーエージェント出身という事もあってか、それぞれの人事制度や採用手法・ノウハウについて質問される事が多くあります。

また、転職者の方にも、どんなカルチャーやどんな人を求めているのかとよくご質問いただきます。

こちらにも、サイバーエージェントの採用・転職ノウハウについて、まとめていますし、

こちらのサイトにもサイバーエージェントへの転職ノウハウが多く掲載されているので別途ご参考ください。

特に最近は、リクルート以上にサイバーエージェントの採用手法や人事制度は世の中的にも注目されており、私も勉強のために、サイバーエージェントの人事担当役員の「戦略人事」をテーマとした人事向け勉強会に参加させていただいています。

サイバーエージェント社長の藤田さんご自身もブログ等で積極的に情報発信されており、IT業界の方でなくても注目されている方も多いのではないでしょうか。最近も以下の藤田さんの取り組みについてニュースで話題になっていましたね。

「氷水かぶるのはTL見てるだけでもう飽きちゃったので、私はこちらに100ドル寄附させていただきます」――サイバーエージェントの藤田晋社長は8月20日、世界的なムーブメントになっているチャリティー運動「Ice Bucket Challenge」(アイスバケツチャレンジ)に参加し、頭から氷水をかぶるのではなく、日本ALS協会への寄附を選んだことをFacebookで明かした。グリーの田中良和社長も同様に、100ドルを寄附したという。

出典:「頭から氷水」は「飽きちゃったので」 「100ドル寄附」を選んだサイバーエージェント藤田社長 ITmedia ニュース 8月20日(水)18時46分配信

そこで、今回は、弊社でもサイバーエージェントグループとは採用支援という形でお付き合いさせていただおり、また私自身のサイバーエージェント在籍時での経験、インターネット上の記事やセミナー・勉強会で得た情報をもとに、サイバーエージェントの採用・人事制度等について、こちらでご紹介させていただきたいと思います。

サイバーエージェントのカルチャーの独自性

サイバーエージェントと言えば、やはり独自のカルチャーではないでしょうか。

内定者が華やか過ぎるとブログが炎上したりと、何かと話題になるのも、カルチャーに特徴があるためと思います。

youtubeにアップされている社員によるフォーチュンクッキーのダンスも有名ですね。

実際に私は2010年に中途でサイバーエージェント社に入社しましたが、社員は男女問わず、見た目や、ファッション、性格等、どこか似た雰囲気やキャラクターの方が多く、何かしらの共通項があると感じました。

社員同士の何気ない日常会話の中でも大学時代の所属サークルについて教えてもらう事があったのですが、私自身が学生時代に、認識していた似たようなカラー・分野のサークル出身者が比較的多く、この事からも、カルチャーを重視した採用活動に力を入れているのだと考えられます。

高度経済成長期の日本企業は、効率・生産性を重視し、あえて金太郎飴採用・教育を重視していたと言いますが、急成長中のIT・インターネット業界も、高度経済成長期のようなところがあり、組織として求心力が求められる部分があるのかもしれません。

組織内コミュニケーションのスムーズさ・テンポを重視した採用

かと言って、サイバーエージェント社員が、悪い意味で用いられるような「金太郎あめ=無個性」である、という意味ではありません。

実際、優秀で意欲的、そして個性的な社員が非常に多い会社でした。

サイバーエージェントが属するIT業界は、形のある商品を扱うのではなく、無形の商品・サービスを提供する業界です。

競合との差別性・優位性は、人とコミュニケーションに帰する事が多い分野だと思います。

そこでは、人材の優秀さはもちろんの事、スピード感を持って、ストレスなく、社内コミュニケーションをとり、意思決定を行い、業務を進めていく事が求められるのです。

所謂「阿吽の呼吸」でコミュニケーションが円滑にとれる事が大切です。

そうした阿吽の呼吸のコミュニケーションを実現するために、サイバーエージェント社員に特に共通して見られるノリやコミュニケーション力を重視したカルチャーづくりや採用を行なっているのではないでしょうか。

リクルートにも共通するカルチャー・社内文化

これはサイバーエージェントに限った話ではなく、私が新卒で在籍していたリクルートも同じです。

リクルートも個性豊かな社員が多い会社であり、それぞれ仕事を「自分の自己実現の手段」と捉えている人が多く、「会社のために」といった気持ちが高い社員は多くはありませんでした。

社員によって「自己実現」の方向性や軸は、様々でしたが、「仕事=自己実現手段」と捉えるという志向は共通しており、そうした社員が社内に多い事が、相手を尊重する気持ちに繋がり、相互に刺激を受け、スムーズに仕事を進め、組織としてまとまっていたのだと思います。

やはりそこにはリクルート社員らしさ、阿吽の呼吸でコミュニケーションがとれる共通のコミュニケーション傾向、仕事へのスタンス・マインドがありました。

実際リクルートを退職したOB/OG同士でも仕事を発注し合う文化があり、その理由を聞いてみると、大抵のリクルート出身者が、「リクルート出身の人とはいちいち細かな説明をしなくても良く、理解してもらえるので、仕事がしやすいため」と言います。

市場が伸びており、成長スピードが早く、形のないサービスを扱うIT業界に属するサイバーエージェントにおいても、こうした事を重視し採用・組織を設計しているのではないでしょうか。

サイバーエージェントの採用手法

サイバーエージェントは採用においても、以下のような記事にあるように、ユニークな採用手法が注目を浴びています。

サイバーエージェントの採用は明確ですごいなーと思った話

面接を撮影してYouTubeにアップ! サイバーエージェントの採用手法がおもしろい

私自身が、中途でサイバーエージェントに入社した際も、その年に入社した新卒1年目の新人を子会社の社長に抜擢するという事が積極的に行なわれていましたが、そうした社内ニュースをすぐに社外に向けても広報していました。

もちろん上場企業の役員人事等は公開されるものと思いますが、ちょっとした抜擢についても、意図的に広報している印象を受けました。

リクルートでは、そうした社内の異動・抜擢等の人事を特に社外に公開はしていなかったため、非常に新鮮に感じられました。

社外に広報される事で、抜擢された当人は、自分の人事配置に対して、非常に誇らしく感じる事ができ、周りの同期や同僚も、「自分も負けてはいられない」と危機感を持つ等、刺激になります。

また、抜擢された本人や他の社員も、社外の学生時代の友人からも、FacebookやTwitter等で「サイバーはやっぱりすごいね〜!」と持て栄されたり、他社の社員にとっても「サイバーエージェントに行けば抜擢してもらえるチャンスが多い」といったイメージを持ってもらえ、採用広報として非常にメリットが大きいと思います。

私は、それまでリクルートで採用支援の仕事をしてきた事もあってか、「なるほど、すべてにおいて採用広報を意識した取り組みを非常に重用視している会社なんだな」と当時強く感じた事を覚えています。

サイバーエージェントの狩人採用

私が、サイバーエージェントの特に中途採用の戦略・取り組みとして驚いたのが、「狩人採用」でした。

最近日本でも取り組みが盛んになっているダイレクトリクルーティング支援事業を行なうビズリーチ社が提唱する「肉食採用」もこれと同義かもしれません。

元サイバーエージェントの人事マネージャーのコンサルタントの方の採用戦略セミナーに以前に参加させてもらった際にお話されていたコンセプトで、非常に目から鱗だったので、こちらでも少しご紹介をさせていただきたいと思います。

カナリ平たく言ってしまうと、今までのように受け身で候補者からの応募を待つのではなく、こちらから会いたい候補者に近づき、口説き・採用しにいこう!という採用コンセプトです。

具体的には、サイバーエージェントでは、人事が、ランチや飲み会等あらゆる手段を講じて、能動的に接点を持っていたそうです。

そうした手段は転職健在層ではないですし、候補者との接点数をコントロールしにくいと普通は考えますが、それでもサイバーエージェントの人事では面談数をKPIを設定していたそう。

これは実際に実行する事は非常に大変そうですが、あえて目標を数値で決める事で、やり切る覚悟が決まり、目標達成のために必死で考えるため、普通は考えつかないような方法・手段が思いつくようになるのかもしません。

サイバーエージェントのユニークな人事制度が生まれる秘密

また、非常にユニークな取り組みとして、採用したいと思う候補者のレベルに合わせて、自社の人事制度を新規で企画・構築していくというのです。

これには驚きました・・。

例えば、週次の定例企画MTGで、直近採用したい、口説きたい内定者をモデルに、その候補者に是非入社したいと思ってもらうために、必要な人事制度等は何か?という事を話し合い、制度を企画していくそうです。

あくまでその内定者はモデルであり、さすがに1人を口説くために、制度企画をするわけではなく、人事でしっかりと検討を行い、汎用性があると判断した場合、実際に構築をするとの事。

ここまで考え、実行している企業がどれくらいあるでしょうか。

長らく人材採用支援の仕事をしてきた中で、様々な業界・規模の企業の人事の方とお会いしてきましたが、制度企画や設計を行なう際のキッカケや背景は、経営陣や担当役員からお題目として要望されたり、経営・人事コンサルから提案を受けて、といった事が多いのではないでしょうか。

また、ほとんどの企業は、採用する候補者は厳しく選考・選定を行いますが、自社が選ばれる側でもあるという認識を持ってはいても、選ばれるようになるために制度自体を変えたり作ったりしようとまで考えている会社は稀なのではないでしょうか。

普通は、口説きたい、採用したい内定者や候補者がいても、最後の最後では、「自社の現状の規定はこうだから、それで魅力を感じて来てくれないのであれば、他社に負けてしまうのであれば、仕方がない」と諦める事の方が多いと思います。

狩人採用というコンセプトは、採用したい候補者に数打ち当たるだけでなく、「採用したい候補者が来たいと思う会社に自らが継続的に変わり続ける」というスタンス・思想に、本質があるのだと痛感しました。

正直、頭では理解できても、なかなか実行レベルでマネできる事ではないと思います。

ただし、マネできないからこそ、そこに差別化・優位性が生まれるものと思うので、競合他社がマネできないくらい徹底的にやり切るという事が何にしても一番大切な事なのかもしれませんね・・。

皆さんの会社で、「これは他社ではマネできないでしょう!」と自慢できるユニークな採用手法や、人事制度等があれば、是非教えていただけたら幸いです。

長くなりましたが、今回はここまで・・・。